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5-9 護衛(2)

 グリム達は10階まで上った。

「武器はここで、こちらにお出しください」 グリム達はテーブルの上のトレイに、銃を出させられた。 部屋に入ると真ん中に大きな丸形のテーブルがあり、向こう側に三人の男が座っていた。 真ん中に黒髪で鼻の下と顎に髭を生やした男。 右側に白髪の背の高い細身の男。 左側に頭の薄くなった小太りの男。 グリムは奥の両側の部屋に不穏な動きを感じた。 グリムはクレイに近づくと耳打ちした。


「奥の部屋に5人ずつ、武器を持った男達が隠れている」

「何だと。 本当か? なぜ分かる」 クレイは驚いた顔をグリムに向けた。

「今説明している時間ない。 信じてくれ」

「分かった」


 「ゲイツ、良く来てくれた。 まあ座ってくれ。 今日はお互い腹を割って話そう」 真ん中の男が笑みを浮かべながら言った。

「ほう、後ろに武器持った兵隊10人も隠しておいて、何が腹を割って話そうだ。 こっちの銃は取り上げておいて良く言うぜ!」とクレイ。

「な、何。 何故それを・・・」 左の小太りの男が、そう言ってから『しまった!』と言うように慌てて口を塞いだ。

「ちっ。 済まなかった。 悪意はない。 こちらも万一に備えて置いただけだ。すぐに出させる」 右の白髪にメガネをかけた男が言った。 すぐに両方の部屋から男達が出てきて、通路に出た。

「さて、これで条件は同じだ」 真ん中の男が言った。 クレイはグリムの顔を見た。 グリムはそれに黙って頷いた。

「ではそちらの護衛にも出てもらおう」と真ん中の男。 クレイはグリムに頷いた。 グリムと、ゲイツの護衛が廊下に出た。


 グリムは盗み聞きの趣味は無かったが、話し合いがこじれた場合、いつ殺し合いになるかも知れないため、中の話し合いに意識を集中させた。


「ゲイツ、それで我々の提案は考えてくれたかい? 我々が一つになれば、あの忌々しいサイクロプスよりこちらの方がでかくなる。 そうすりゃあ、ガーバンの奴にでかい顔はさせねえ。 おめえにもボスの一人として席を用意する。 悪い話じゃ無かろう」

「それじゃあ、ケルベロスじゃなくなるな。 四つ頭の犬は何と言うんだ?」とクレイ。

「だまれ、お前に聞いていねえ!」と小太り男。

「確かにサイクロプスの勢力拡大は脅威だ。 だが俺達は、あんたらがやっているしのぎには同意出来ないものもある。 例えば人身売買だ」 ゲイツが葉巻に火を点けながら言った。

「これは人聞きの悪い。 我々は人身売買なぞやっておりませんよ。 人でない物なら売買しておりますが」 メガネの男が言った。

「詭弁だ!」とクレイ。

「お前は黙っていろ!」と小太り男。

「それは今まで通りと言うことで、役割分担すれば大丈夫だろう」

「それに、対等合併のように言っているが、実質はケルベロスの吸収合併じゃないのかい?」とゲイツ。

「それは考えすぎですよ。 我々は四人で協議して運営していくつもりですよ」とメガネ。

「協議だあ、3対1でこちらの意見は通らなくなるのが目に見えている。 そんなことが信じられるか。 第一、テメエ等一昨日俺の命を狙ったろう?」とクレイ。

「ああ、チンピラ。 一度吐いた言葉は飲み込めないぞ。 証拠があって言っているんだろうな」

「まだ犯人は吐いちゃあいねえが、時間の問題だ」

「お待ちください。 拷問で吐いたとして、その言葉は本当に信じられるのですかね。 サイクロプスが我々の話をぶち壊すために送り込んだとは思いませんか。 我々は平和裏に今回の話をまとめようとしているのに、自分で壊すようなまねはしませんよ」とメガネの男。

「ちっ、ああ言えばこう言う。 サイクロプスの刺客と言うことにして、今回の件に反対している俺を殺しておけば、ボス一人ならば丸め込めると考えたんじゃないのか」

「それは言いがかりだ。 それ以上言うならこちらも考えがあるぞ」

「それくらいにしておけ、クレイ」ゲイツは制した。

「我々はあんた方と一緒にはなれない。 理由はしのぎに対する考え方の違いだ。 ただ、サイクロプスの脅威はもちろん認識している。 そこで我々は今後もあんたらと敵対はしない。 ケルベロスとの不戦の協定、それが我々の答えだ」 ゲイツはキッパリと言った。

「ぬるい! それじゃあ意味ねえんだよ」と小太り。 そして三人は顔を見合わせた。


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