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4-8 マザー襲撃(3)

 グリムは15分ほどで戻ってきた。 巡回している様子で、指揮車に近づいて来た。 その時、無線が入って来た。


「ボリス、どうした? さっきバックアップの方へ行っていたようだが、何かあったか?」同僚からの無線だった。 グリムは慌てず応えた。

「いや、バックアップの近くで何か音がしたので、気になって見に行っただけだ。 クスマ(大型のネズミのような動物)だった」

「そうか。 交替までもう少しだ、頑張ろう」

「ああ」


 大分薄暗くなってきた。 30分もしないうちに、辺りは暗闇に飲み込まれるだろう。 グリムは指揮所に近づいた。 距離は約30メートル、指揮所のドアの前には二人の警備兵が銃を持って立っていた。 グリムは右手をズボンのポケットに入れると、リモコンのスイッチを押した。 すると南の森で突然爆発音が起きた。 近くを警戒していた兵達が驚いたように爆発音の方へ移動を始めた。 しかし指揮所前の兵は動かなかった。 少しして今度は50メートルほど離れたバックアップの車両が爆発して炎上した。


「敵襲か?」「何が起きている」「早く調べろ!」ヘルメットの中には無線の声が行き交っていた。 指揮所前の兵士も動揺しているようだった。 グリムは兵達の所へ駆け寄った。

「おい、ここは大丈夫か? バックアップが破壊されたぞ。 爆弾が仕掛けられているかも知れないぞ」 グリムがそう言うと、二人の兵士は慌てて二手に別れて車両の周辺や下を確認し始めた。 グリムは一人の兵士について行き、下を覗いている隙に銃床で後頭部を強打した。 兵士はそのまま地面に倒れた。 すかさずグリムは電源供給部分を銃で破壊した。 そして車両の周囲を監視するカメラとアンテナも破壊した。 もう一人の兵士が異変を感じて慌てて走ってきた。 グリムは車両の影から飛び出すと、手刀で兵士の喉をつぶし、声が出ないようにした。 それと同時に、アクロの力で兵士に銃の引き金は引かせなかった。 倒れた兵士も銃床で気絶させると、銃を取り上げた。

(早くしろ、銃声を聞いてもうすぐ他の兵士がやって来る) グリムは外からドアを開くことが出来ないため、内から開くのを待っていたのだ。 それと同時に最悪の場合に備え、車両の下部に爆薬をセットした。


 指揮車内部

 グリムの電源破壊によって、一瞬電源が落ちたが、すぐに内部のバッテリーに切り替えられた。 内部には指揮官を含め5名がいた。

「敵襲か? 周囲の画像を写せ!」指揮官が叫んだ。

「ダメです。 カメラを破壊されました」

「アンテナも破壊されたようです。 衛星画像も出ません!」

「何だと。 それじゃあ、何も分からないじゃないか」

「外に出て見ます」ドアに近い兵士が立ち上がり、ドアを開けた。

「バカ、待て、危険だ!」 指揮官が叫んだ。 兵士が振り返り、指揮官を見た時には遅かった。 ドアの間に銃床が挟み込まれ、閉めることが出来なくなった。 グリムは扉を強引に開けると、壁に向って銃を連射した。 兵士達は頭を押さえしゃがみ込んだ。 グリムは手榴弾のピンを抜くと言った。

「早く逃げないと死ぬぞ!」 そう言うと手榴弾を投げ入れ、その場を離れた。 兵士達は慌てて扉に走り、外に飛び出した。 最後の兵士が扉を通るのと爆発が同時だった。


 周囲の警備兵が指揮所の方へ走ってきた。 グリムはリュックを隠した藪に走り、素早くジェットウイングを背負った。 警備兵達はグリムに気付き、銃撃を開始した。 グリムはリュックを肩にかけると、兵士達に銃で反撃した。 そして兵士達が怯んだ一瞬に、ジェットウイングに点火し空に飛び立った。 兵士達は暗闇の中を闇雲に撃ってきたが、グリムは一気に高度を上げて銃撃を避けた。 グリムは指揮車とバックアップの両方が暗闇の中に、赤く炎上しているのを確かめると、満足して進路を南にとった。


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