表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
153/157

15-21 対決(7)

 セシールの叫びに、グリムが反応した。

(俺は負ける訳にはいかないんだ!!) グリムの瞳が金色に輝いた。 グリムは立ち上がると、クラウスの鎌を避けながらカウンターで左拳を顔面に食らわせた。 今度はクラウスが顔面にモロに打撃を受けて、後方へ吹き飛んだ。

「フーッ、フーッ・・・」 グリムは荒い息づかいと供に、怒りが爆発し銀髪が逆立っていた。


 二人の戦いは更に激しさを増した。 広い艦上を所狭しと飛び交い、もみ合いながら転がり、お互いにかなりのダメージを受けていた。


「そろそろ決着をつけてやる」 クラウスはポケットから赤いカプセルが入ったビンを取りだした。 蓋を開けると、上を向いて10数個のカプセルを口に入れると、噛み砕き呑み込んだ。 するとクラウスの目は更に赤く輝き、両腕も赤い光をまとい始めた。

「バカな、そんなことをしたら、取り返しの付かないことになるぞ!」

「大丈夫だ。 お前を殺すことが出来れば、もうこんな物は必要なくなる」

「死ねえ!」クラウスは、灼熱の鉄塊のようになった右腕を、グリムに叩きつけてきた。 グリムは冷静に最小の動きで体を捌くと、左の貫手がクラウスのみぞおちを背中まで貫いた。

「グハッ!」 クラウスは口から血を吐き出した。 グリムが左手を抜くと、クラウスはよろめいて倒れそうになったが踏ん張り、次の瞬間最後の力を絞って素早く走り出した。 その先にいたのはセシールだった。


 クラウスはセシールの所までいくと、左腕を払ってセシールを吹き飛ばした。 セシールは為す術も無く飛ばされ、艦上から落ちていった。

「セシール!」 グリムは素早く走ると、セシールの体に飛びついた。 クラウスは艦上に落ちていた拳銃を拾うとグリムめがけて連射した。 クラウスはその後、力尽きて拳銃を取り落とすと、艦上に突っ伏した。


 グリムはセシールを抱きしめた時、二発の銃弾を背中に受けた。 そこは地面までは100メートルぐらいの高度があった。

(だめだ、このままでは助からない。 意識が遠のいていく・・・) グリムは落ちていく中で、自分の力が抜けていくのを感じた。

「グリム!」セシールの声で意識を取り戻した。 だがその時には、地面まであと僅かだった。

(間に合わない) グリムはセシールの体を強く抱きしめた。 その時、グリムの体の下に何かが潜り込むような感覚があった。 それは大きくなったシックルだった。 シックルはグリムとセシールを背中で受け止めると、そのまま地面に軽やかに降り立った。


「シックル、ありがとう。 やっぱりあなたは強いのね」 セシールはシックルの首に抱きついた。

「ナー・・」シックルが優しく鳴いた。 グリムがゆっくり体を起こした所で、セシールがグリムに向き合った。

「お、お父さん・・・」

「いつから気付いた・・」

「分かるわ、あいつが何度もユーゴって言うから。 でも勘違いしていると思ってたの。 だけどグリムがお父さんで良かった」 セシールはグリムに抱きついた。

「そ、そうか・・・」 グリムもセシールを抱きしめた。 その時カエンを乗せたグレイブが降りてきた。


「良かった、無事だったのね」カエンはグレイブから飛び降りると、セシールを抱きしめた。

「クラウスはどうした?」

「宇宙船の上で死んでいたわ。 だけどあの体・・・」

「ああ、例の薬を大量に飲んでいた」

「自業自得ね・・・。 あなたもひどい顔よ」 カエンはグリムの頬をさわった。

「大丈夫だ。 さあ、作戦は終了だ。 帰ろう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ