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15-19 対決(5)

 前面の巨大なディスプレイには、闇夜に青白い光と炎を吹き出しながら、力強く飛んで行くミサイルの姿が浮かび上がっていた。

「ターゲットまで2分36秒です」 アリスが非情な声で言った。

(クソッ、どうする) グリムはダメ元で、ミサイルに意識を集中した。 ミサイルを自爆させようとしたのだ。 しかし、何も起こらなかった。

(クソッ、時間がない)

「クッソー! 動けー!」 グリムが叫んだ。 すると、ミサイルに異変が起こった。

「ミサイルの軌道がターゲットから外れていきます」とアリス。

「何だと、お前が軌道を変えたと言うのか? アリス、修正しろ」

「修正不能です。 どんどん外れて行きます。 このままでは東部の海に落下します」

「クソ、二発目、三発目発射用意だ」

「させるか!」

「娘が死ぬぞ!」 アレンが引き金に力を入れた時、突然脇から赤い塊がアレンの手に襲いかかった。

「グワッ!」 アレンは思わず銃を落とした。 アレンを襲ったのは、シックルだった。 セシールはその隙に逃げだそうとしたが、脇にいたコウモリ男に捕まってしまった。

「またこのクソ猫か。 今度こそ殺してやる」 そう言うと、アレンの右手の指がナイフの様になった。 シックルは「シャーッ!」とアレンを威嚇したかと思うと、目が金色に輝き体が変化しだした。 シックルの体は、虎ほどの大きさになり、上あごから二本の長い牙が伸びていた。

(これが、シックルの真の姿なのか?)

「バケモノが」 アレンがシックルに斬りかかった。 シックルはしなやかな動きでアレンの手をかわした。 アレンの左手は長い剣のようになったかと思うと、それでシックルを突き刺そうとした。 シックルはそれもかわしたが、背中を刃がかすった。 シックルはアレンの剣のような手にかじりつくと、それを噛み砕いた。

「ギャーッ」 アレンの左手の手首から先が無くなっていた。 アレンはそれでも右手を振り下ろしシックルを攻撃した。 シックルは、普段のぐだぐだした姿からは考えられないほどの素早さで後ろに下がると、逆にアレンの胸を前脚の爪で引き裂いた。 アレンは胸を押さえながら、床に崩れ落ちた。


 クラウスはアレンの戦いに気を取られていたが、ハッとしてミサイルのボタンを押そうとした。 しかしグリムは一瞬で間を詰めると、クラウスの顔を殴った。 クラウスは床に倒れた。 コウモリ男は銃でグリムを撃ってきたが、弾はかすめて壁のディスプレイの一つを破壊した。 男が続けざまに撃とうとしたが、その前にグレイブの牙が男を襲い、首の骨が折れる音が聞こえた。


「クソッ、私は負けん!」 クラウスはよろめきながらも立ち上がった。 手にはアレンが落とした拳銃が握られていた。 クラウスはセシールの体を捕まえると、グリムに向って銃を撃ちながら、部屋の出口の方へ走った。

「グリム」セシールが叫んだ。

「待て!」グリムも後を追った。


 通路に出ると既にクラウスの姿は見えなかった。 グリムは耳を澄ませ足音の方へ走ると、多くの人の気配を感じた。

(チッ、兵が集まってきている。 しかも前後からだ) グリムがどうするか思案しているうちに、前から10数人の兵士が現れグリムに向けて発砲を始めた。 グリムはすぐ近くの部屋に入った。 兵達がかけて来るのが分かった。

(クソッ、予備弾倉はあと一つ) グリムがドアの方へ向けて銃を構えていると、突然反対側から銃声が聞こえた。 そして銃撃戦が始まった。

(守備兵とハルバードが交戦しているのか) グリムはしばらく様子をみていた。 すると銃撃はじきに静かになった。 そして次の瞬間入り口に見慣れた黒い戦闘服の男が二人現れた。 グリムは一瞬、引き金を引くのをためらった。 男達はグリムを見つけると、発砲しようとした。


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