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15-18 対決(4)

 グリムが部屋の中に入ると、そこに男に体を抱えられたセシールがいた。 男の背中には大きなコウモリの様な翼が生えていた。

(こいつもレッドアイズか)

 男はグリムに向けて拳銃を連射した。

「グリムーッ!」セシールが叫んだ。 グリムは右前方に転がり、起き上がったところで男の銃を持つ手を撃った。 男は銃を床に落とすと、これまでと判断したのか、セシールを脇に抱えたまま、ガラスを突き破って外に飛び出した。 男は闇夜を宇宙船の方に飛んで行った。


「チクショウ! 逃がさない!」 グリムはそう叫ぶと、窓枠に足をかけ外に飛び出した。

「無茶よ!」カエンが叫んだ。 カエンが外を覗くと、グリムは地面に降り立ち、男が飛んで行った方へ駆けだしていた。

「グレイブ、あたしをあそこへ連れて行って!」 カエンがグレイブに向って叫ぶと、グレイブは黙って頷いた。 カエンはグレイブの首につかまって背中に乗ると、グレイブは窓から跳びだし、空中で翼を広げた。 周辺のあちこちでは銃撃とその火花が飛んでいた。


 グリムは男を追って、宇宙船の方へ走った。 そしてその後をグレイブが追ってきた。 コウモリ男は宇宙船の側で地上に舞い降りると、そこに開いていた入り口から中に入った。 グリムがそこに到着した時には、扉が閉められていた。


「クソッ、どうやって入るか・・・」 グリムが考えている間に、グレイブとカエンがやって来た。

「ちょっと、見せて」 カエンは扉の周囲をチェックした。 カエンは背中のリュックから小型の端末機を取り出すと、扉の脇の一部を開きそこに接続し、しばらく端末を操作していた。

「カエン、どうにかなるか?」

「何とかなるかも。 旧いシステムだから良かったわ」 カエンがそう言っている間に、扉の脇のディスプレイに緑のランプが点灯すると、扉が開いた。

「よし、行くぞ」グリム達が中に入った。


 中はアルクオンにあった宇宙船と同じような巨大な構造になっていた。 どうやら機関部らしく良く分からない巨大な機械が並んでいた。

「グレイブ、セシールの匂いをたどれるか?」

「たぶん・・・」 グレイブは匂いをたどり、一つのエレベーターの前に来た。 グリム達が乗り込むと、グレイブが言った。

「一番上だ」 最上階のボタンに匂いが付いていると言うことだった。


 そこは司令室だった。 大きな幾つものディスプレイと多数の機器が並んでいた。 そしてそこにはクラウス、アレン、そしてコウモリ男とセシールがいた。


「ユーゴ、生きていたのか。 本当にしつこい奴だ、どこまで私の邪魔をするのだ」

「クラウス、セシールを返せ」

「そんなにこの娘が大切か? こんなガキが。 そんな小事にこだわっている奴にこの国を任せようとしている、セルタスやユリウス王の気が知れん」

「小事だと、俺には国よりも大切だ!」

「バカな奴だ。 ならばお前に見せてやろう。 あいつ等の誤った選択のせいでこの国がどうなろうとしているのか。 アリス、発射ゲートを開け」

「発射ゲート開きます」 スピーカーからAIの音声が聞こえた。

「バカな、まさか・・・・」

「私の警告を無視して兵を送ってきた事への罰だ。 王都に一発食らえば、目が覚めるだろう」

「やめろ!」 グリムが止めようとして前に出ようとすると、アレンがセシールに銃口を向けた。

「動くな! 黙って見ているんだ」とアレン。

「アリス、目標ニューアースのセルタスの邸だ」

「目標、設定しました」アリスの事務的な声が艦内に響いた。

(ダメだ、撃たせてはダメだ!)

 クラウスはパネルの前まで行くと、ボタンのカバーを開けて赤いボタンを押した。


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