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15-17 対決(3)

 午前3時、それは突然始まった。 闇夜に数本の白い炎の線が放物線を描きながらある範囲に落下していき、建物や地面に衝突すると同時に爆発、炎上した。 そしてそれを合図とするように、空に無数の青白い炎が浮かび上がった。 それに呼応するように、連続する射撃音と共にオレンジ色の光が各所で点滅した。 205特殊作戦部隊の兵達がジェットウイングでエリア35への侵入を試み、基地の警備兵が応戦したのだった。


 基地の上空は激しい戦闘が続いた。 ハルバードの兵達は、自在に空を舞うと地上からの攻撃を翻弄した。


「よし、行くぞ! 北側からは別動隊が侵入を試みているはずだ。 俺達はこの西側から侵入する。 グレイブ、頼む」

「承知!」 グレイブは巨大化しないままで、基地の防壁に向って爆炎を放った。 コンクリートの壁が、溶岩のように融けてそこに大きな穴を空けた。

「離れるな。 どちらに見つかっても、攻撃されるぞ」 グリムはそう言うと、中に走り込んだ。 カエンとグレイブが後に続いた。


 広大な敷地をグリム達は走った。 右手には迷彩柄のシートに樹木でカモフラージュされた葉巻方の巨大な塊が見えた。

(あれが宇宙船か・・・)

 敷地内ではあちこちで銃撃戦が行なわれていた。 グリム達は居住棟へ向っていた。 セシールがいるとすれば、そこが一番可能性が高いと思われたからだ。


 建物に近づいた頃、グリムは何かが近づいて来るのを察知した。 微かに空気を振動させる音がしたのだ。

(何だ、兵士では無いな。 ドローンか?) グリムがそう思ったとき、空中に数機のドローンが現れた。 30センチほどの丸い機体の真ん中には赤い光が点滅していた。 機体の下には銃身と思える物があり、グリムの方に銃口が向いた。

「撃たれるぞ!」 グリムがそう言うのと、拳銃で撃つのが同時だった。 ドローンは発砲する前に、グリムの銃弾で赤い光の脇を撃ち抜かれ墜落した。 次々と現れたドローンは、グリム達に攻撃を開始した。 グリムはカエンの前に立つとドローンを撃ったが、同時に別のドローンから肩に銃弾を受けてしまった。 グレイブが大きく咆哮すると、前を飛んでいた3機のドローンが不具合をおこし墜落していった。


「大丈夫?」カエンが心配そうに声をかけた。

「ああ、肩をかすっただけだ」


 グリムは居住棟に入ると、建物内にいる人の気配を探った。 建物は3階建てでほとんどの人間が出ていた。 残っている人々のほとんどが1階に集中していた。

(残っているのは20人というところか。 セシールはどこだ?)

 グリムは3階の一室に一人の気配を感じた。 そしてその隣に3人がいる。

(ここだ) グリムは、そこに目星をつけ、階段を駆け上った。 カエンとグレイブが後に続いた。


 グリムが3階に上ると、その通路に3人の兵士がいた。 兵士はグリムに気付くとすかさず銃を撃ってきた。 グリムは壁に隠れて銃撃をかわしていると、グレイブが素早く跳びだし、兵士の一人の腕にかぶりついた。 兵士がグレイブを振りほどこうとして苦戦している間に、グリムが他の兵士を撃った。 一人の兵士はグリムの2発の銃弾を頭に受けて、床に崩れ落ちた。 もう一人の兵士は部屋のドアを開けると、中に入っていった。 グレイブが噛みついた兵士には、異変が現れた。 腕が太く黒い獣のような毛が生えだし、顔は熊のような獣に変身していった。 兵士は腕を振り上げ、グレイブの体を壁に叩きつけた。 グレイブはそれでも兵士の腕を放さず、兵士の腕の骨を噛み砕いた。

「グワッ!」 兵士が苦悶の声を上げる間に、グリムが兵士の前に来ると、兵士の額に銃口を向けた。

「セシールは中か?」

「知らんな・・」 男はそう言うと、左手で拳銃を抜くとグリムを撃とうとした。 グリムはそれよりも一瞬早く、引き金を引いた。


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