表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/157

15-12 もう一つの救出作戦(2)

 南の庭ではグレイブとキラン達が暴れていた。 グリムの指示は明確だった。 殺す必要は無い。 暴れて警備員達を引きつけておくことだけだった。 時折銃撃を加え、時折侵入を試みようする振りをする。 厳命したのは一言「死ぬな!」だった。


 北の庭

 グリムはイラついた。 レッドアイズの兵達と警備員達の銃弾の雨を受け、飛び出せずにいたのだ。

(このままでは、ラチが空かない) グリムが隠れたライオンの石の彫像には、次々と銃弾が当り、石の破片が飛び散った。

「クソッ!」 グリムは手だけ出して拳銃を撃った。 その銃弾は高速で軌道を変えて有り得ない角度で警備員の胸に当った。 その警備員はその場に倒れた。 グリムは同様に銃弾をアクロの力で曲げながら、次々と敵を倒した。 しかし警備員は更に増員された。


 グリムは戦術を変える事にした。 庭にあった石の彫像を空中に浮かび上がらせると、警備員達のいるところへぶち込んだのだった。 警備員達は慌てて逃げ出した。 彫像が無くなると、近くの太い木を根元から引き抜き、木を空中で回転させながら、警備員達をなぎ倒した。


(今だ!) グリムは敵が怯んだ隙に、走り出した。 庭を一気に突っ切り、建物の二階のベランダまで跳ぼうとした時だった。 倒れた木の枝の隙間から、20センチほどの鉄の針が無数に飛びだした。 グリムは空中で体をよじりかわしたが、それでも数本の針を背中や腿に受けた。 グリムはバランスを崩し、地面に体を打ち付けた。 木の枝の陰から出てきたのは、両腕に無数の針が生えた男だった。


 グリムは体から針を抜いた。

(クッ、体がしびれる。 毒か・・) 更に右から無数の白い紐のような物が飛び出し、グリムの体に巻き付いた。 そしてそれはグリムの体を締め付けていった。 身動きができないところへ、もう一人の男が現れた。 その男の右腕は赤く燃えていた。

(まずい、このままじゃ、やられる)

「グリムー!!」 二階の窓から、セシールが泣きながら叫んだ。

(ハハ、情けない姿見せちまったな・・・。 俺はまだ死ねないんだよ!)


 グリムの髪が逆立ってきた。 更に瞳が金色に輝くと、体に巻き付いていた紐のような物を断ち切った。 そして手に持っていた鋼鉄の針を投げると、炎の拳を持つ男の顔面に突き刺さり、そのまま崩れ落ちた。 グリムの動きは止まらず、拳銃を抜くと指から紐を飛ばす男の額に二発食らわした。 更に鋼鉄の針男の頭をアクロの力でねじると「ゴキッ」という音とともに首の骨が折れた。


 更に建物の中から、レッドアイズと思われる男達が出てくるのが見えた。

(ああ、面倒だ!!) グリムが意識を集中させると、男達の周りの空間が一瞬歪んだように見えた。 すると次の瞬間、爆発が起こり男達が吹き飛ばされて、建物の壁や庭の木に打ち付けられて倒れた。


 グリムは一気に跳び上がり、二階のベランダに降り立った。 部屋の中には、セシールとその側には若いメイドの姿が見えた。

(良かった、元気そうだ)

 窓ガラスを空けて部屋に入ろうとした。

「セシール、助けにきたぞ!」 グリムがそう言った時、セシールの後ろに拳銃を握った男が現れた。

「このままこの子を渡す訳にはいかない」男は言った。

「アレン、セシールから離れろ!」 グリムは怒気のこもった声で言った。

「近づくんじゃない」 アレンはセシールに頭に銃口を当てた。 グリムの動きが止まった。 二人の睨み会いが続いた。

「グリム」

「大丈夫だ、必ず助ける」


「うまくいくかな」 アレンがそう言うと、手に持ったリモコンのような物を押した。 すると天井から2メートル四方の立方体の箱が降りてきた。 そしてグリムはその透明の箱の中に閉じ込められた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ