表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/157

14-10 カーセリアルとの戦い(2)

 夜明けと共に、キランとレビンは兵達に食事をとらせた。

「グリム殿、それではこれから手はず通りに進めますがよろしいですか」とレビン。

「うん、お願いします。 あくまで秘かにお願いします」

「では私も行きますが、グリム殿もお気をつけて」とキラン。 そう言うと、周りの兵士がいつの間にか少しずつ減っていた。

「それでは我々も行きますか」 残ったのはグリムとサラとグレイブだけだった。

 グリムは一人で大丈夫だからと言ったのだが、それはダメですとレビンとキランが食い下がり、結局サラが一緒にいくことになったのだった。


 グリム達は、空から見られていることを知った上で、進軍を続けた。 ただし、隊列を整えて進むのではなく、数名ごとに別々のルートで進ませたのだった。 レビンは前からいた兵と今回連れて来た兵を組ませた。 迷子にならないようにするためだ。 グリム達は三日後に集合地点を決め、それまでは自分達の判断での行動を許したのだった。


 ブレイガーの軍中

 「師団長、マザーからのデータが更新されました。 敵軍が消滅しました」

「何だと! そんな事は有り得ないだろう」 ブレイガーはマップを確認した。

「これは、奴ら軍を解いて個別に進軍させたのか。 こちらに狙いをつかませないためか?」 マップ上に敵を示す赤い輝点の塊がきれいに消えていたのである。 地図を拡大し感度を上げれば、細かい輝点が現れるかも知れない。 しかしそうすると、動物や魔獣まで検知してしまい。 それだけでは敵か動物か判別が難しくなってしまうのである。

「うーむ、奴らこちらの事を知っているかのような動きだな」

「どういたしますか」

「このまま進む。 いずれにしろ、奴らの狙いは東の砦のはずだ。 砦を守らなければならない」

「承知いたしました」


 三日目の朝

「それではやるか。 グレイブ頼む」 朝食を済ませた後、グリムはそう言って立ち上がった。 グレイブは巨大化すると翼を伸ばした。 サラは何度見ても慣れなかった。 二人がグレイブの背に乗ると、グレイブは空に飛び立った。 サラは初めての経験だった。

「大丈夫ですか」

「は、はい。 大丈夫です」 そうは言ったものの、顔は青ざめていた。


 グリム達が向ったのは東の砦だった。 グリムの索敵の能力は更に上がり、広範囲に感知することができるようになっていた。

(敵の行動は予定通りだな) グリムは約1万のカーセリアル軍が、東の砦に向って進んでいるのが感じられた。


 前方に砦が設けられた岩山が見えてきた。

「良いか、グレイブ狙いは一つだ。 それ以外は無視していい」

「分かった。 指示してくれ」


 グレイブが砦の上空に達した。 守備兵達が慌てて外に出てくると、自動小銃でグレイブを攻撃した。 しかしそんな攻撃はグレイブには効かなかった。

「グレイブ、アレだ。 あの青い四角い箱だ」 グリムは砦の真ん中に設置されたシステムユニットのコンテナを指さした。 だがそれと同時に砦の隅に設置された丸いパラボラアンテナが目に入った。

(どうする)

「サラ、あの丸いヤツを打ち抜けるか?」 グリムは白い円盤を指さした。

「まかせて!」 サラは背中から弓を取り出すと、矢をつがえた。 グレイブが口から爆炎を吐くと、青いコンテナが炎に包まれ、チョコレートででもできているかのように融けだした。 サラは動いているグレイブの背という厳しい条件にもかかわらず、違わずパラボラアンテナの真ん中を撃ち抜き破壊した。 グリムはそれを見て言った。

「良し、十分だ。 引き上げるぞ」


 グリム達はその後、他の砦も急襲し同様に指揮所のシステムを破壊した。

(これで少なくとも半日以上は時間を稼げるはずだ。 だがこの森のどこかにバックアップのシステムを隠しているだろう。 しかも一つとは限らない、明日までには指揮所が復旧しているに違いない)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ