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13-1 遺跡の秘密

 クオールは兵士達に、“グリム将軍”を紹介した。 ただ本名も経歴も伏せ、女王からの特命を受け、特別に八番目の将軍に就任したとだけ告げた。


 その日の内に、新たな遺跡調査作戦についてのチームが編成された。 グリムの他に軍からはクオールとキラン、女王との連絡役にサウゲラ、学術院からポーラという学者、それから何かとグリム達の世話役をやってくれているリオンことラウラ。 この五名を基本メンバーとして、必要に応じてその分野の専門家を加えることになった。


「それではまず、その遺跡について話していただきたい」 グリムは一同に言った。

「それは必要ない。 遺跡が問題なのではなくて、魔獣が問題なのだ。 あなたは如何にして魔獣を排除するかについてだけ考えてくれれば良い」とサウゲラ。

「ならば、俺は降りさせてもらう」 そう言うとグリムは立ち上がった。

「何と! 無責任ですぞ! あなたは女王様と約束されたはずだ」

「そうだ、そして女王は俺に全権を委ねられたのだ。 自分が知る必要があると考えることが知り得ないならば、俺は責任を全うできない」

「待て、何故遺跡にこだわる。 魔獣排除には関係無いはずだ」サウゲラは慌てたように言った。

「あんたは何も分かっていない。 遺跡の近くで魔獣と戦う事になった場合、遺跡の構造や大きさなど知っておかなければ、遺跡を破壊してしまうかも知れない。 使える武器や戦術も制限されるだろう。 俺に遺跡の中身を教えたく無いのかも知れないが、俺にとってはそんなものはどうでもいいことだ。 それとも魔獣が駆逐されれば、遺跡がどうなろうと女王様は気にしないのかい?」

「むむむ、・・・・」

「サウゲラ殿、グリム殿の言われること、もっともです」とクオール。

「分かった。 ポーラちょっとこちらへ」 サウゲラは栗毛のショートカットの女性を呼んだ。 女性が側にいくと、サウゲラは何か耳打ちした。 ポーラと呼ばれた女性は軽く頷いた。 女性は自分の席に戻ると、話し始めた。

「それでは遺跡について、私の方からご説明いたします。 その遺跡はアルカラという都市から約100キロ北にある、ガルマ山脈とアレグ山脈の間の谷に存在します。 南北約3キロ、東西に約1.5キロの小高い岡状になっています。 遺跡の本体はその地中約20メートルに埋められております。 丘の真ん中には石碑が建っているはずです。 遺跡の本体は強固な作りになっており、余程のことが無い限り内部の破壊は起きないだろうと考えておりますが、丘に直接攻撃を加えるようなことは避けていただきたいです」

「なるほど、了解した。 次は、今まで二回失敗したと言うことだが、その時の様子を教えてくれ」

「それについては、私の方から説明しよう」クオールがそう言うと、二回の作戦について説明した。

「初回は200名の兵士を率いて、我々は遺跡のある谷へ向った。 しかしアルカラから50キロも行かないうちに、次々と魔獣に襲われ、半数以上の者が死傷したため、やむなく撤退した。 それから一月後、私は1千名の兵士を連れ、重装備で進軍した。 今度は数度魔獣の襲撃は受けたが、こちらの数に向こうも警戒したのか、谷の手前までは近づけた。 しかし谷に近づいたところで、あいつが襲って来た」

「あいつ、とは?」

「魔獣の種族は分からない。 巨大な鳥の様な魔獣だった。 他の魔獣とは別格で、他の魔獣達も、そいつを恐れているようだった。 そいつのはばたき一つで数十人の兵が吹き飛ばされ、口から吐き出す炎で100名以上の兵が焼き殺された。 それでも何度か突破を試みたが、被害が大きくなるばかりで結局は撤退を余儀なくされた」 クオールは無念そうに唇を噛んだ。


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