表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/157

12-5 七将との戦い(1)

 その翌日、グリムはまた王宮に呼ばれた。 女王には会えなかったが、サウゲラから王命を伝えられた。

「ユーゴ・ケンシンに対して特命を与える。 更に命令遂行のための期間、将軍職を任ずる」

「何だって! 本気か、そもそもアルクオンの人間でもないのに・・・」

「我々とて不本意だ」 クオールが憮然としながら言った。

「確認するけど、断ると言うことは・・・・」

「出来るか! そんなことをすれば死刑だぞ」

「はあ~っ、どうしろって言うんだ」 グリムは頭を抱えた。

「これから、作戦について話し合う。 だがその前にあんたには、我々と戦ってもらう」とクオール。

「はあ?」

「軍において将軍は最高職だ。 王国内には伝統的に七人の将軍がいる。 臨時とはいえそれが八人になるのだ。 兵士達は納得しないだろう。 昨日あんたが言ったように、このままでは兵士は従わないだろう。 だからあんたは兵士達の前で力を示さなければならない」

「そう言うことか」 グリムは男の言うことがもっともなことだと思った。

(クソッ、どんどん話しが俺の望まない方へ行っているぞ)

「戦いは午後から練兵場で行なう。 この件は作戦自体が極秘だから、当然公にはされない」 クオールは有無を言わせない雰囲気で言った。

「分かった」 グリムはそう言うしか無かった。


 練兵場へ向う車の中

 リオンもこの展開には驚いて、興奮気味に言った。

「グリム、これはとんでもないことですよ。 クオール将軍は、我々と言っていました。 つまり相手は七将だと思われます。 しかも一人とは限らないでしょう」

「だろうな」

「現在王都にいる将軍は四人です。 いずれも武芸には秀でていて、特にクオール将軍は七将の中の筆頭で、強さは半端じゃないですよ。 あなたが強いことは知っていますが、たぶん銃は使えないでしょう」

「そうだろうな」グリムは憂鬱そうに言った。

(剣や槍で戦うとすれば、俺の勝てる確率は1%もないだろう。 無手に持ち込めれば、ある程度いい勝負にはなるかもしれないが・・・)


 王都から一時間ほどで、郊外の練兵場に到着した。 そこには三千人ほどの兵が訓練を行なっていた。 グリム達が車を降りて兵達の方へ歩いていった。 グリムに対して兵達が好奇の目を向けた。 兵達の前にはクオールの他に三人の明らかに将軍と分かる者たちが立っていた。 その内の一人は女性だった。


 四人はグリムの前にやって来た。

「この兵士達の見ている前で、我々と戦ってもらう。 もちろん得物は訓練用の木剣や槍だ」クオールが言った。

「一人ずつか? それとも四人一度にか?」

「何だと、我々を一度に相手すると言うのか? 身の程知らずめ!」 黒い鎧を着けた大男が怒鳴った。

「スエル、まあ待て。 そいつのペースに乗せられるな」 緑の鎧を着た、長身の男が言った。

「俺としては、やる前に決めごとはハッキリしておきたいだけだ。 後から次々と来られるのはおっくうなのでな。 四人ともやるなら、一度に相手した方がいい。 戦場じゃ順番を待ってはくれないのでな」

「なるほど、それじゃあやるのは二人だ。 一人ずつな」

「二人一度にだ。 それとも二人一度にやられたら、兵達の前で面目が立たないか?」

「どこまで我々を愚弄するの! このカーセリアル人は」 大柄の女が言った。

「マリアも熱くなるな。 それがそいつの作戦だ」 また緑の男が言った。

(まずいな、この男だけが俺の作戦を見抜いている)

「どうでもいいが、誰が相手してくれるんだい?」

「私が相手しよう」緑の男が言った。

「俺もやるぞ! ぶちのめしてやる!」 スエルと呼ばれた、黒の大男だった。

「いいだろう。 ではスエルとキランで決まりだ」とクオール。

「勝敗はどうして決める?」

「動けなくなるか、明らかに致命的な打撃を受けたと見なされた場合だ。 審判は私がやる」

「くれぐれも公平に頼むよ。 それから、アクロの力は使ってもいいのか?」

「かまわない。 ただし相手を死に追いやるのは無しだ」

「分かった」

「では体に合った鎧を着けて準備をしてくれ」

「いいや、このままでいい」 グリムは慣れない鎧を着けて、思うように動けなくなるのを心配したのだ。

「何だって! 貴様、死ぬぞ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ