第七話:死んだ死神
夢幻。
とは、何か?
まだ、知らなくていいことだ。
知らなくていい言葉。
ディガルは、笑った。
「死ね」
そう言って。
***
玲子は、ディガルを殺して、赤く赤く光る宝石に触れた。
それは、心無一族が代々受け繋いできた宝石。
"龍の魔石"
だった。
龍の魔石は、大量の魔力を含む宝石で、その総量は、過去に時を戻そうと思えば、できるほど含まれている。
そして、その龍の魔石を掲げて、玲子は、言った。
「反逆走時間」
玲子は、そう言って、笑った。
すると、ときは、みるみるうちに戻ってゆき、あの朝になった。
そして、玲子は、死んだ。
***
俺は、跳ね起きた。
ディガルと呼ばれた化け物に殺された。
その恐怖が消えない。
怖い。
怖い。
やめて。
そんなことで甘えている自分が嫌いだ。
そう思った。
そして、冷静になって整理した。
すると、気持ち悪くなった。
玲子の死体は、たくさん増えていったこと。
玲子は、何度も死んだこと。
それが、俺の頭から離れない。
どれだけ振っても、振るっても、落ちない。
脳に焼き付いている。
刻み込まれた苦い記憶。
俺は、その場で嘔吐した。
床にピチャピチャと食べたものが飛び散る。
汚い。
最初にそれを思った。
ドロドロとした液体。
そして、黄色い胃酸。
口の中に酸っぱい味が広がる。
そして、もう一度吐きたくても、吐けない。
目が潤んでくる。
これが、悲しいという感情。
しかし、その発生源は、よくわからなちゃいます。
何について悲しいと思ってるのか。
何なのか。
よく分かっていない。
しかし、わかることが一つだけある。
誰かが俺を殺した。
ということだけだ。
俺は、ふっ。と笑った。
しょーもないな。そう思った。俺は、しょーもないことだけを知っただけなのだ。
そして、また、ふっ。と笑った。
しょーもない事を知って、安堵している自分に。
死んだ。俺。
そして、また、ムキになった。
安堵?安堵?安堵って言ったのか?殺すぞ?なんで安堵してんだ?なんで安堵なんか?殺すぞ?ざ、けんな!なんで冷静にしていられるんだ!なんで、なんで、冷静なんだ!殺すぞ!殺すぞ!!
そして、オレは、誰にも知られないで、決めた。
殺した誰かを殺す事。