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41話 来訪

「いいな、二度とあんな真似はするなよ?」

「おう、気を付けるぜ」

「まったく……」

 美味そうにスープとパンを食べながら怒る。適当に謝りながらリンファが微笑した理由を考える。


 アイツらは俺が死んだと思っているはず。実際パルメもバルデンも俺が生きている事に非常に驚いていた。

 確かバルデンとパルメが抜けた後も残りの三人は旅を続けたと言っていた。


 リーザスは途中で辞めたようだが、まだリンファとディアラが一緒にいるとしたら彼女が驚かなかったのも頷ける。

 つまりリンファかディアラを捕まえて締め上げれば必ずもう片方も助けるために姿を現すはずだ。


 いよいよ俺の復讐も終わりが近づいてきた。捕らえるならばリンファの方がいいだろう。司祭になったおかげで探しやすくなった。

 世界樹の根本の町にいればその内姿を見せるだろう。


「どうした、食わないのか?」

 自分の分を口に詰めて俺の方に手を伸ばしてきた。その手から皿を遠ざける。

「ちょっと考え事してただけさ」

「ほう、言ってみなさい」

 食べながらリンファの反応やそこから出した考えをゼルに語った。話し終えると腕を組んでゼルは唸った。


「その説が正しいとして、奴らは何を企んでいると思う?」

「何を企んでる……って言われてもなぁ」

「いいか、スフィアを集めれば神獣を従えられるんだぞ。世界をその手に収める事も容易いんだ。創世神がいない今なら止める手だてはない」


「世界征服が目的だって言いたいのか?」

「それぐらいしかスフィアを集める理由なんてないだろうよ。加えて私の魂まで集めていたんだからな」


 言われてみればそうだ。スフィアだけでなく一騎当千の力を与えられるゼルまで探していた。

 これだけの力の塊を集めて慈善活動に使おうという物好きはそうそういない。


「やっぱり早めに潰すか」

「ああ、事が始まってからじゃ遅いからな」

 会話にも一段落ついたところで、背後に突然気配を感じた。まるで俺達の話しが終わるのを待っていたかのようなタイミングだ。


「誰だって訊くまでもないか」

「久しぶりねユーリィ」

 陰から現れたのは白フードを被ったリンファだった。壁に立て掛けた剣を抜いて彼女に向ける。


「わざわざやって来るとは、探す手間が省けたな」

「ディアラが言ってたのはホントの事だったのね。どうかしらユーリィ、もう一度私達と組まない?」

「バカ言ってんじゃねぇ。今すぐ殺してもいいんだぜ?」


「うふふ、冗談よ。別に私を殺してもいいけど、後々面倒になるわよ。教徒達にもし私が戻らなければユーリィを探しなさいと伝えてあるから」

「そいつらも殺ぜばいい」

「貴方にできるのかしら? 絶対に他人は巻き込まない事を徹底してた貴方が、無実の教徒達を殺せるのかしら?」


 リンファの言っている事は事実だ。絶対に無関係の奴に迷惑をかけたくない。だからここでリンファを殺す事のは得策ではない。


「そこで、ディアラと話し合ってユーリィと決着をつけることにしたのよ」

「遂に観念したか」

「ええ、三日後世界樹の紋章の前に来なさい。そこで終わりにしましょう」


 それだけ言うとリンファは陰に紛れて消えてしまった。気配が完全に消えたのを確信してから剣を鞘に納めて椅子に座り直す。


「三日後に世界樹の根元、か」

「いよいよだな。私の力を存分に貸してやろう」

「それはありがたいけど、そんな素直に戦うと思うか?」

「つまり?」


「ディアラは確実に勝てる戦いしか挑まない。そんな奴がゼルと、その力を借りた俺に真っ向から戦うとは思えない」

 大陸でも上位に食い込むほど強かったが、戦い方は繊細で慎重だった。引き気味に戦って相手を分析し、弱点を見つけたらひたすらそこを狙っていた。

 そして、俺はアイツに一度も負けた事はない。


「……秘策があると見ていいだろうな」

「スフィアに封じられた神獣と何か……うーん、世界樹に関係があるのかなぁ」

「わざわざそこを指定してきたからな。世界樹の近くだと神獣も元気が出るのかもな」


「そんな大雑把な作戦立てるような奴らじゃないんだけどな……ま、悩んでも仕方ない。三日後までに力を蓄えとくぞ」

 夕食のゴミを片付けて窓の外を見る。まだ祭りは続いていて、先程よりも盛り上がっていた。


「……全部終わったらどうしよう」

 無意識のうちに口をついた。そう、復讐を果たしたところでその先に何が待っているというのだろうか。

 だがここで止めるつもりはない。


「ここに来てビビったか?」

 ぐいっと肩を組んでゼルがくっついてきた。

「いや、最後までやり通すさ。ただその後が思い付かないんだ」


「そんな事か、なら私と世界を巡らないか?」

「世界を?」

「長い間封印されてたから色々と見てもたい。それに私の時代よりも旨い飯がふえてるしな。だから一緒に旨い飯を食いにいこう」


「オーケー終わったら美食巡りでもしようか。んで、料金の方は誰が払うんだい?」

「……ユーリィ持ちで頼む」

「だろうと思ったぜ」

 金なら大量にある。それこそ飛空挺貸しきりにして世界を一周しても余るほどにだ。

 色々と見たいと言っているし徒歩や船でゆっくり旅をするのも悪くはないだろう。


「何を笑ってるんだ?」

「明るい未来についてさ」

 ゼルの腕をどけてベッドに寝転ぶ。

 決戦は三日後。そこで全てを終わらせる。

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