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お気楽領主の楽しい領地防衛 〜生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に〜  作者: 赤池宗


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無人島か

「いくら流されたといってもそれほど遠くではないだろう。いずれ迎えが来るはずだ」


 アルテとティルが不安そうにしていると、パナメラが豪快に笑いながらそう言った。その楽観的な言葉に二人も少し元気になる。前向きな思考は大切である。


「それじゃ、とりあえず仮の住まいを作っておこうかな」


 パナメラが二人を元気づける様子を眺めつつ、森の手前部分に移動して木々に手を当ててウッドブロックにしていく。普段伐り出してもらっている木材や流木と違い、生えている木はウッドブロックに加工するのが少し難しい。


「う~ん、これは時間かかりそうだなぁ」


 もどかしい気持ちでブツブツ言いながら、とりあえず一軒家を建ててみる。せっかくだし、丸太で作ったログハウス風の家にしてみよう。あ、テラスも欲しいよね。ついでに庭に簡単な東屋とガーデンテーブルとイスも、と。


「……まぁ、こんなものかな?」


 そう言って、出来上がったマイホームを見上げる。なんだかんだで凝ってしまった。庭造りって楽しいよね。


「……これは……」


 その時、背後から声がして振り返る。すると、そこにはパナメラ達の姿があった。


「あ、ちょうど仮の住まいが出来たところですよ」


「……仮?」


 パナメラは僕の言葉に首を傾げてからログハウスを見上げる。


「……ここに永住するつもりか?」


「え? まぁ、気楽に来れるようになったら別荘として使っても良いですけど」


 パナメラの発言に曖昧に返事をする。唖然とした様子のパナメラとは対照的に、アルテとティルは一気に表情が明るくなった。


「すごい……!」


「すごいです! 可愛いお屋敷ですね!」


 二人は嬉しそうにそう言って喜んでくれた。パナメラはなんとも言えない顔をしていたが、二人が喜んでいる姿を見て苦笑とともに受け入れたのだった。







 謎の怪鳥の鳴く声が響く中、森からパナメラが戻ってくる。ウッドブロック製の軽量の鎧を着たパナメラは、鹿に似た魔獣を担いで笑顔で手を振っている。いや、鹿が成人男子くらい大きいのでバランスがおかしい。


「今帰ったぞー!」


「お帰りなさーい」


 パナメラが帰宅の挨拶をしたので、庭に作ったバーベキューサイトに座って返事をする。そこへ、食器を持ったアルテが歩いてくる。


「パナメラ様、お帰りなさい」


「おお、アルテ嬢。お手伝いか」


「は、はい」


 アルテは真剣な顔で返事をしつつ、テーブルに皿を並べていく。不慣れな様子だが、真面目に頑張るアルテにパナメラも笑顔で見守っていた。アルテはティルが布の無事な部分を縫い合わせて作った服を着ている。少し露出の多いドレスのような衣装だが、意外と似合っていた。


「パナメラ様、ありがとうございます。すぐに準備をいたしますので」


 遅れてティルもやってきた。こだわりがあるのか、ティルは無人島でもメイド服だ。ただし、布が足りなかった為スカートが短く、フリルなども無い。ティルは森で見つけた果物を使った果実水をウッドブロック製のティーセットに入れてきた。ちなみにウッドブロック製の配膳台も用意している。パナメラは無人島版メイドのティルの言葉を聞き、頷いて仕留めた鹿風魔獣を地面に下した。


「うむ。私も火を熾すとしよう」


 そう言って、パナメラはバーベキューサイトの前に設置した焚火台に火の魔術で火熾しを行う。あっという間に石で作った焚火台に大きな火が出現し、準備しておいた木の枝がパチパチと音を立てて燃え出した。


「これを焼くか?」


 そう言って鹿風魔獣の後ろ脚を掴んでみせるパナメラ。それに苦笑しつつ、首を左右に振った。


「それは後で捌くしかないので、とりあえず朝獲った魚から食べませんか?」


「ふむ、それも良かろう」


 どうやら納得してくれたらしい。パナメラの返事を聞き、苦笑しつつティルに目を向ける。すると、ティルは笑いながら塩と内臓だけ処理した魚を並べていく。気になるのは魚の見た目だけだ。何故かは分からないが、串に刺さった状態で青や赤、黄色の魚が並んでいる。


「……本当、なんでこんなに色とりどりの魚が獲れるんだろ。毒は無さそうだけど、ちょっと見た目が怖いよね」


 テーブルに並ぶ魚を眺めてそう呟くと、アルテが不思議そうに首を傾げた。え? アルテは意外とイケる感じ?


 アルテの反応に驚いていると、串の端を手に持って魚を火で炙り始めたパナメラが口の端を上げる。


「何を言っている。トリブートで食べた魚の中にもこのような色合いのものはあったぞ? まぁ、この辺りでは一般的なのだろうな」


 パナメラがそう告げると、ティルもいそいそと魚を火の上に持っていって焼き始めた。


「私はこの美味しそうな黄色にします!」


「え? 美味しそう?」


「え?」


「ん?」


 思わず、ティルと顔を見合わせて同時に首を傾げる。赤ならば真鯛などがいるから何となく分かる。青も食べたことはないが、そんな魚がいたような気がする。だが、黄色は解せぬ。


 もやもやしていたが、どうやらそんなことを気にするのは僕だけだったらしい。皆はティルの言葉に違和感を持たず、それぞれカラフルな魚たちを焼いて笑っていた。


「……まぁ、良いか」


 結局、細かいことを気にしても仕方がないと思い、自分も唯一食欲をそそる赤い魚を手に取った。いや、顔は少し怖いが、それでもまだマシだと思える見た目である。


「じゃ、僕はコレ食べようかな」


 そう言って、皆に交じって魚を火で炙るのだった。


 ちなみに、食べた中では黄色の魚が一番美味しいという結果だった。解せぬ。




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