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お気楽領主の楽しい領地防衛 〜生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に〜  作者: 赤池宗


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トライ&エラー

 ラダヴェスタの言葉を聞いて、慌てて乗船を取りやめる。


「ど、どこがおかしかったのかな? 模様で変なところある?」


 矢継ぎ早に尋ねると、首を左右に振られてしまった。


「いや、模様は問題ないはずだ。溝の深さの差異もないだろう」


「えー……大きさも一緒に作ったから、それもズレはないはずだし……」


 ラダヴェスタの言葉を聞き、思わず桟橋にあぐらをかいて座って考え込んでしまう。大きさも模様も問題ない。溝の深さも問題ない。なら、後は何が問題なのか。


「う~ん……」


 頭を捻って考えていると、ロッソやパナメラたちが静かに待ってくれている光景が目に入る。どうやら、こちらが集中できるように静かにしているらしい。


「あ、皆さんは船に乗って見学していてください」


 待たれても居心地が悪いので、船に乗るように促す。すると、ロッソが眉を八の字にして困ったような顔をした。


「む? しかし、今から船を作り直すのではないか?」


 そう尋ねられ、首を左右に振る。


「いえ、まずは原因究明です。それに、問題は外装部分だけなので……この船自体はそのまま使えますよ」


「おお、そうか。ならば、皆を連れて乗船するとしようか」


 ロッソは気を遣ってくれたのか、明るい雰囲気で皆を引き連れて乗船を始めた。それを横目に見て、パナメラもこちらに歩いてくる。


「私も乗って良いか?」


「はい、どうぞ。あまり深いところにいかなければ問題ないので、後で実際に船も動かしてみますよ」


「おお、楽しみにしているぞ」


 そう答えて、パナメラは足取り軽く船に乗り込んでいった。こちらは単純に船を楽しみにしていたらしい。あれ? 前回も乗ったと思うけど、そんなに船が好きだったのか。


 皆が乗船していく様子を眺めていると、今度はハベルが向かってきた。


「ヴァン様」


「ん?」


 名を呼ばれて顔を上げる。すると、ハベルが船の模型を片手に持って底の部分を指差した。


「この部分、角度は問題ないか?」


「か、角度? 多分、同じくらいの角度だと思うんだけど……」


「完全に同じか? 剣もそうだが、角度が僅かに違うだけで切れ味は全く変わる。強度も同様だ」


 再度聞き直されてしまった。角度。確かに、ラダヴェスタに確認してもらった時に角度は詳細に打ち合わせていなかったような気がする。いや、でも、何度も模型を作って確認してもらったから、角度も間違いないのではないだろうか……。


 そう思っていると、ラダヴェスタが腕を組んだまま唸った。


「……いや、角度も問題ないはずだ。小さな船を作った時に直してもらってからは、形も同じになった」


 ラダヴェスタは何かを思い出すように斜め下を向いてそう答える。形は同じだと聞き、本当にホッとした。なにせ、見本はもういなくなってしまったのだ。この状態から少しずつ角度を変えて作り直していたら、下手をしたら完成までに一年以上かかるだろう。


 そう思っていたら、ハベルが無表情で一言口にした。


「ならば、後は素材の問題だな。たとえ水といえど、強く波を受ければ木はたわむ。鉄も多少変化するだろう。場合によっては捻じれもするはずだ。ミスリルであっても震えるくらいはするんじゃないか?」


「た、確かに……」


 ハベルの一言に、思わず納得してしまう。素材が問題だと言われば、それに関しては調査出来ていないのだから仕方がない。とはいえ、遠目に見た感じではミスリル系統の素材の筈だ。それに、錆などが無かったということなので、金や銀、プラチナ、ミスリルといった錆び難い金属でなければならない。つまり、鉄などではないということだ。


 だが、そこまで考えて最悪のことに気が付いてしまった。


「……もしかして、合金かもしれない、とか?」


「…………そうだな」


 あのハベルであっても苦々しい顔である。それでもしっかりと同意した辺り、流石は物作りの大先輩ということだろうか。


「……合金ってのは、無限にある。混ぜ込む素材や割合が多種多様だからだ。後は熱だな。どれだけの温度まで上げて混ぜ込むか。一気に冷やすのか、ゆっくり冷やすのか。そんなものを一つずつ検証するのは、ちっと大変だな」


 そう言って、ハベルは深く息を吐いた。それはそうだろう。有名な合金にステンレスというものがあるが、一口にステンレスといっても種類が多くあると聞いたことがある。失敗作の合金も加えれば本当に物凄い量になるだろう。


「……ちょっと大変どころじゃないよね?」


「……まぁ、話を聞く限り水を受けて共鳴する必要があるんだから、硬いか柔らかいかを確認していけば、何とかなる。色を聞く限り、ミスリルが主だな。混ぜるなら銀だ。だから、後は割合だけ試行錯誤してみれば良いはずだ」


「ミスリルと、銀?」


「ああ、そうだ。ミスリルと銅は不思議と混ざり難い。鉄は混ざるが、錆つく可能性がある。だから、一番混ぜやすい銀が一番可能性は高いな」


 と、ハベルは簡単に予想を口にする。


 いやいや、予想がついたからといって、それは簡単だろうか。合金については詳しくないが、これは険しい道のりな気がしてきた。


 そう、この時までは……。





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