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お気楽領主の楽しい領地防衛 〜生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に〜  作者: 赤池宗


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船が完成?

 翌日、優雅に朝食を食べていたところ、パナメラからウキウキした様子で声をかけられた。


「いつ船を造るのだ」


「今日作りますよ」


「そろそろ行くか?」


「デザートを食べたら行きますよ」


「そうか、待ち遠しいな」


 そんな会話をしながらのんびり食事をしていたが、それを見ていたロッソから苦笑と共に感想を言われる。


「まるで、ヴァン卿が保護者のようだな」


 ロッソのその一言に、パナメラがハッとした顔になって動きを止めた。


「そ、そのようなことは……」


 慌てて否定しようとしているが、パナメラ自身も何か思うところはあるのか。ロッソの言葉をきちんと否定することが出来ず、乾いた笑いを上げるのみであった。


 ロッソに指摘された途端静かになるパナメラ。流石に可哀想なのでデザートを急ぎで食べてしまうことにした。今日は果物の盛り合わせである。色々と種類があって嬉しい。


「……よし! 食べましたよ!」


「おお! それでは早速向かうか!」


「はっはっは、それでは準備をしようか」


 僕のデザート完食待ちだったらしく、食べ終わると同時に出発の準備が始まった。なんだかんだでロッソもフットワークが軽い。


 皆で準備して海まで向かうと、すでにディー達が大量の木材を砂浜に並べてくれていた。


「おお、ヴァン様! 船の材料はこれくらいでよろしいですかな!? 一応、ラダヴェスタ殿より船底は金属だったと聞いておりますが」


「ありがとう。金属についてはロッソ侯爵家より必要分をいただいてるから大丈夫だよー」


「なんと! それなら問題ありませんな!」


 そう言って、ディーは腰に手を当てて笑った。ふと隣を見ると、アーブやロウだけでなくオルト達も疲れ果てたような顔をしている。


「……プルリエルさんも伐採してたの?」


 驚いて尋ねると、プルリエルが肩を竦めて首を左右に振った。


「私は木材を運ぶための馬車を担当してましたよ。あんな大木を切るなんて無理ですよ」


「そりゃそうだよね」


 プルリエルの言葉に苦笑しつつ頷く。一方、若干痩せたような感じに見えるクサラが地面に座り込んで呻いていた。


「つ、疲れやしたぜー……」


「クサラさんもお疲れさま」


 笑いながら労いの言葉を口にする。すると、クサラの隣で仁王立ちするオルトが笑みを浮かべて口を開いた。


「ヴァン様、頑張りました。新しい武器をお願いしますね」


「セアト村に帰ったらね」


「よし!」


 オルトはよほど良い武器が欲しいのか。素晴らしい返事をして喜んでいた。しっかり働くのだぞ。


 そんなことを思いつつ、船造りを始める。


「それでは、船を作ります! まずは、船の底の模様付き装甲を作成!」


 そう宣言して、ロッソより譲り受けた純ミスリルを材料に薄い板を作成していく。船の底の形状に合うように形成しなくてはならない。ちなみに、断面で見るとV型に近いだろうか。


 繊細な溝の幅や長さ、深さにも気をつけて模様を描いていく。


 船の海中に沈む部分だが、ここが一番大切だ。きっちりと丁寧に仕上げた。


「……よし、出来た!」


 一時間近くかかっただろうか。ようやく、ボートのような形状の船底が出来た。いや、まだ外側の装甲だけだったか。ミスリルの外装は海に続くレールの上に載せているので、横からだけでなく下からも見ることが出来る。


「ハベルさん、どうかな?」


 声をかけるとハベルは険しい顔をして形状のチェックを始めた。無言で溝を触ったりなぞったりするハベルの姿を見ていると、何故か妙に緊張してくる。ふと周りを見ると、アルテとティルも何故か緊張した面持ちでハベルの行動を見守っていた。


 数分間もの間、じっくりと船底の出来を確認していたハベルだったが、ぐるりと一周してようやく顔をこちらに向けた。


「……ふむ、まぁまぁだな。やり直しは十五か所だったぞ」


「十五か所!? 嘘でしょ!?」


 ハベルの衝撃の発言に思わず大声を出す。しかし、ハベルは一切遠慮せずに指摘をしていく。


「この模型が最も実物に近かったという。なら、この丸い角は角度をもう少し絞る必要がある。後、この直線部分は長過ぎる。反対に船尾に向かう四角の線がバランスが悪くなっているぞ。それと……」


「こ、細か過ぎるよー!」


 悲鳴はあげつつも、ハベルの指摘する何センチ、何ミリのズレを一つずつ直していく。気がつけば、その作業で更に一時間も掛かってしまった。


「こ、これで良いかな……?」


 肩で息をしながら確認する。それにハベルは再び二分ほど掛けてじっくりチェックした。そして、頷く。


「うむ、なかなかだ」


「良かった…」


 なんとか合格だったらしい。それにホッとしつつ、すぐに船全体の作成を開始した。


「ここまできたら一気に完成させられるぞー! うりゃー!」


 気合いの声を発し、木材をどんどんウッドブロックに加工する。そして、今度はウッドブロックを変形させて船の形を成形していった。ちなみに、気合いの雄叫びには何の効果も無い。


 気がつけば、二本のレールの上に載った外装はすっかり船の一部になっており、近くで見ようと思ったら見上げるほどの大きさとなっていた。


「……こうして見ると、船って本当に大きいのですね」


「本当ですね」


 アルテ達からはそんな感想が出た。後方ではロッソ達の驚く声も聞こえてくる。確かに、海中に沈んでいる部分が想像以上に大きいのかもしれないが、海に浮かんでいる状態よりもずっと大きく見える。


「……よし! これで帆も出来たし、大丈夫かな?」


 そう言ってから、ロッソに振り返った。


「それでは、進水式を始めます!」




9巻が12月25日発売です!(*´ω`*)

アニメも1月からですので、是非ご覧ください!(*'ω'*)

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