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お気楽領主の楽しい領地防衛 〜生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に〜  作者: 赤池宗


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陛下の驚愕

「船はどう? 動かせそうかな?」


「ふむ……帆の張り方は覚えましたが、やはり実際に動かすのは難しそうですな。小さめの船で運用の練習をした方が良いでしょう」


「船を動かし慣れた人じゃないと挙動が予測できないかな? 風の魔術師も何人も揃えられないし、中々難しいよね」


 皆を指揮しながら船の動かし方を確認しているディーとそんなやり取りをしていると、カムシンが走ってきた。大型船なら大丈夫なのか、それともようやく慣れたのか。カムシンはいつもの表情で甲板を走ってきている。


「ヴァン様! パナメラ様がこちらへ! 陛下もご一緒です!」


「え? もう謁見が終わったの? 僕、呼ばれてないけど」


 驚いて甲板を移動し、陸地の方に目を向ける。すると、確かにパナメラの乗る馬車とは別に豪華な馬車が並んでいた。馬車の横には王家の紋章旗が掲げられている。


「どうせなら船を動かして驚かせたかったけど、それは無理だったか。残念」


 そう呟くと、ディーが真剣な顔で頷いた。


「どうにか人材を集めねばなりませんな。しかし、風の魔術師に関してはどうしたものか……」


「難しいよねー」


 ディーとそんなやり取りをしていると、舷側に取り付けたラダーを登ってパナメラと陛下、そして宰相のアペルタが乗船してきた。


「陛下、お久しぶりです!」


「む! ヴァン子爵! 初めて王都まで来てくれたというのに、一番に海岸に行くとはどういうことだ!」


「あ、ごめんなさい」


「うむ」


 陛下は不満げにそう言ったが、こちらの謝罪の言葉に頷き、すぐに船へと興味の先を移した。


「おお、これは凄いな……! 遠目から見てもとんでもない大きさだったが、船に乗ってみるとまた冗談のように巨大だ!」


「ふむ、このような船を運用している国があるとは……かなりの脅威ですな」


 陛下とアペルタは甲板の広さやマストの大きさに驚き、感嘆の声をあげながら船を見て回る。パナメラはそんな二人を横目にこちらに歩いてきた。


「謁見の申し出はしたのだが、船の話を聞いて陛下もアペルタ殿もすぐに城からお出になったのだ。まだ海洋国家フィエスタ王国の話も、この大型船の話もまともに出来ていない。どうする?」


「それじゃあ、一度船の見学会をして船橋でお話をしますか?」


「ふむ、それが良いか。確かに、陛下もアペルタ殿も初めて大型船を見たのだ。船の有用性を説くには船の見学を先にした方が良いかもしれんな」


「じゃあ、僕が陛下を連れて見学会をしてきます」


 パナメラと軽く流れを確認、決定して陛下の下へと移動する。ディーが帆を畳む様子を見学していた陛下とアペルタに近付き、声を掛けた。


「陛下、アペルタ様。僕が船の説明をしましょうか」


「おお、ヴァン子爵! それはありがたい!」


「頼みましょう」


 二人は喜んで快諾した。


「それでは、まずは三階から行きましょう。甲板から見たら地下一階ですね。こちらは積み荷を保管する倉庫と……」


 そう言って、僕は陛下とアペルタに船の設備や機能の説明をしながら船内を案内した。


 フィエスタ王国の船はよく考えて作られており、お風呂が無いことを除けば十分過ぎるほどの船だった。まぁ、水の魔術師がいれば貯水タンクに水を入れてシャワーを浴びることは出来るが。


「……と、フィエスタ王国の船はこのような形となっています」


 案内を終えた僕は船橋に作った休憩エリアに皆を案内して、最後の船を動かした場合について説明した。


 それを黙って聞いていた陛下も、全てを聞いて重い溜め息を吐く。


「……これは、想像以上だったな」


 陛下のその呟きに、アペルタが神妙な顔で頷く。


「そうですな。まさか、馬車よりも速く動けるとは……その上、移動しながら攻撃までされたら、船を持たぬ国はなす術がありません」


「これでは、海近くの町や村全てに魔術師を配置するなんてことになるだろう。しかし、魔術師で対抗するにも限度がある。我が国はヴァン子爵のバリスタがあり、イェリネッタ王国にはまだ残りの大砲があるが……」


「もし、フィエスタ王国がソルスティス帝国と同盟を結べば、最悪の事態も考えられるということですな」


 二人のそんな会話に、空気は一気に緊張感を帯びる。


「それに関しては、ロッソ侯爵領にてフィエスタ王国のトラン殿とかなり親密な関係を築くことが出来たと思います。スクーデリア王国が先んじてフィエスタ王国と同盟を結ぶことが出来るのではないでしょうか」


 パナメラがそう口にするが、陛下とアペルタの表情はあまり変わらなかった。


「難しいところだな。ソルスティス帝国の方が国としては大きい。同盟を結ぶなら大国と、だろう。後は、距離だな。我が国の方が帝国よりもずっと近ければ、相互の貿易も行い易い。利点は大きくなるだろう」


「ある意味、ヴァン卿の能力を見せたのは良かったやもしれません。造船技術にしてもそうですが、バリスタもそうです。フィエスタ王国からすれば味方にしたいと思わせる驚異的な能力でしょう」


 二人はそんな会話をして、こちらを見た。




前々から書きたかった新作を掲載しました!(*'ω'*)

タイトルは『僕の職業適性には人権が無かったらしい』です!(*'▽')

是非読んでみてください!

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