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お気楽領主の楽しい領地防衛 〜生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に〜  作者: 赤池宗


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王都に移動

 トリブートの町で出立の準備を整え、すぐに王都を目指すことにした。海岸線を進んでいけば馬車で三週間ほどだろうか。


「ヴァン様、ご無理はなさらないよう……」


「大丈夫。タルガさんも気を付けてね」


「はっ! ありがとうございます!」


 トリブートから王都を目指すのはパナメラとパナメラ騎士団。そして、僕とディー、セアト騎士団の内十人だけである。あ、もちろん、アルテとティル、カムシンは僕と一緒に王都へ行くことになった。


 タルガとエスパーダ、残りのセアト村騎士団の団員達は長期の領主不在を埋める為にセアト村に戻るようにお願いしている。


 ちなみに、オルト達はいまだに魔獣狩りから帰ってきていない。


「さて、そろそろ出発ですね。ロッソ侯爵閣下、大変お世話になりました」


 挨拶をすると、ロッソは残念そうに頷いた。


「出来たら、私も一緒に王都へ向かいたかったのだが……一週間後には出立出来るように準備するとしよう」


 と、ロッソは苦笑する。トラン達を見送るまでトリブートにいた為、ロッソは一旦自身の城がある城塞都市まで戻る必要があった。色々と溜まっている仕事もあるのだろう。結果、最短でも一、二週間は遅れて王都へ向かうことになってしまったのだ。


 本来ならロッソの領地で起きたことの報告である為、ロッソ自身が陛下へ報告するのが筋だ。しかし、今回はこれまで知られていなかったフィエスタ王国の艦隊船長との接触や同盟についての報告がある為、急を要するとして特別にパナメラがその任に就くことになった。


 僕が同行するのは船の有用性を説明する為だが、ロッソに言われなければトリブートに残って船造りをしていただろう。


 仕方なく王都へ行く準備をした。保存食になる魚の干物なども大量に購入したので我慢しよう。ちなみに、水槽も買ったので道中はいろんなミニチュアの船を作って研究するつもりである。


 タルガとエスパーダよりも先に僕たちが出発することになり、ロッソを含めて皆に見送られるような形でトリブートの町を出た。


 さぁ、急いで王都を目指すぞ。


 そう思った矢先、聞きなれた声が街道に響き渡った。


「ヴァ、ヴァン様ーっ!」


「待ってくだせぇやー!」


 オルトとクサラの声を聞き、馬車を止めて窓から顔を出す。すると、背後から全力疾走してくるオルト達の姿があった。馬車を持っていたと思ったが、どうしたのだろうか。


「オルトさん達、魔獣狩りは?」


 肩で息をするオルト達にそう尋ねると、片手を左右に振って答えた。


「いや、それなりに討伐出来たんですがね。馬車いっぱいに魔獣の死体を積んで三日間も帰れなかったんで、臭い消しも間に合わないし、馬車ごと冒険者ギルドに売り払ってきました」


「中々良い金になりやしたぜ!」


 どうやら魔獣狩りは大成功だったようだ。ホクホク顔の二人に対してプルリエルは不満そうだが。


「……一日で帰れる距離までって話をしたのに、この馬鹿共は……ヴァン様、遅れてしまい申し訳ありません」


「あはは。まぁ、儲かったようで何よりということに……」


 そう答えると、プルリエルは深い溜め息を吐いて首を左右に振っていた。


「まだヴァン様の護衛兼案内役の依頼を果たしていないのですから、もっと早く町に戻ってこなければならなかったのに……」


「まぁ、そんなに気にせずに」


 プルリエルに軽く返事をしつつ、前を指差す。


「皆が戻ってきてくれて助かったよ。先頭を進んでるパナメラさんにも連絡をしておいてね」


「わ、分かりました。ほら、オルト!」


「りょ、了解! 行ってくる!」


 リーダーであるオルトはプルリエルに名を呼ばれてパナメラの下へ走っていった。パナメラさんは怖いぞ。頑張れ、オルト。


 ある意味で冒険者らしく大雑把な仕事をしているオルト達だったが、旅に慣れたオルト達が案内人として先導してくれるお陰で予定より早く進めるようになった。なんだかんだで仕事が出来る男である。


 道中は船を作ったり水に浮かべてみたりしながら楽しく過ごしたので、王都までの道のりもあっという間だった。


 ただ、到着は夕方と遅くなってしまったので、謁見は翌日となってしまった。仕方ないので、王都近くの海岸に行ってみることにする。王都は広く、人口も多い。しかし、海岸の方に行けば行くほど町は質素になっていき、当の海岸付近は家すら少ない有様である。目の届く範囲までしか行けないような小舟がいくつもあるが、それだけだ。つまり、細々と漁をして生活する漁師たちの家があるだけなのである。


 ここに大型船が来るようになれば、この景色も大きく変化することだろう。そういったことも考慮して、大型船を開発、運用しなくてはならない。


「いや、それは陛下がお考えになることか」


 王都に面する海岸を眺めながらそう呟き、オルト達を見た。


「あ、そうだ。オルトさん達にもお願いしたいんだけど、木材をいっぱい集めておいてくれるかな?」


「え? 木材ですか?」


「あ、もしかして……」


 オルト達に新たな依頼をしようとすると、皆の目がハッとなった。それに頷き返して答える。


「明日の朝にでも、ここに船を浮かべてみようと思って」






前々から書きたかった新作を掲載しました!(*'ω'*)

タイトルは『僕の職業適性には人権が無かったらしい』です!(*'▽')

是非読んでみてください!

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