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お気楽領主の楽しい領地防衛 〜生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に〜  作者: 赤池宗


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【別視点】兄弟

【ムルシア】


 連れ歩いている全員から笑われながら、城塞都市の中心である城の天守閣へと皆を案内した。顔から火が出るほど恥ずかしかったが、陛下やベンチュリー達上級貴族の当主たちが色々と話しかけてくれるようになったので、結果としては良かったのかもしれない。


 どうやら、皆は私が城塞都市の管理と防衛に自信を持っていると思ってくれたようだった。


 個人的には十歳以上も年が離れている弟の造った物を我が物のように自慢している情けない兄でしかないと思ったのだが、良い方向へ転んだらしい。


 心の底からホッとしつつ、最後の階段を登りきってから振り返った。ベンチュリー、陛下の順番で上がってきて、すぐにその絶景に目を奪われることとなる。


 二人の今の感情はすぐに理解できた。全ての階がそうだが、どこからでもバリスタや機械弓を使うことが出来るようにしつつ、どの窓にも頑丈な戸を設置している。つまり、城内の景色は面白い構造ながらも薄暗い部屋と廊下、階段が続くばかりなのだ。


 しかし天守閣に上がれば、全方位に最大限に開かれた開き戸があり、眩いばかりの陽が差し込んでいる。更に、後方のウルフスブルグ山脈はともかく、それ以外の方向は美しい青空だ。


 その青空へ吸い寄せられるように陛下達はテラス部分へと進んだ。そして、その光景に感嘆の声を上げる。


「おお!」


「これは凄い!」


 そんな声を聞きながら、同じようにテラスへと出た。何度も見た景色なのに、それでもその景色に感動する。


 奥には真っ青な空と、地平線まで見える平野があり、大地を切り取るように街道が続いている。手前には改修されたばかりの綺麗な城下町。左右を見れば視界の端にウルフスブルグ山脈の一部が見え、心地よい風が流れてくる。


 閉塞感を覚えながら延々と階段を登った先に、この景色だ。自分自身も経験したことだが、この解放感は胸がすくような爽快感を得ることができる。


 だが、ヴァンは戦略的にこの部屋を設けた筈だ。そう思い、皆にこの天守閣の価値を伝える。


「この最上階のことを天守閣と呼びます。この城塞都市は全体が丘の傾斜に沿うように階段状に設計されています。つまり、イェリネッタ側の城壁、城門が最も低い位置にあり、その手前の櫓、次が小城の天守、その次が二つ目の小城、その次が三つ目の小城……そして、最も高い場所にあるのがこの天守閣となります。それぞれの城が独自に防衛戦が出来るように作られていることも要の一つですが、城壁や櫓以外からも常に周囲を警戒出来るように作られていることも重要な防衛の仕組みです。そして……」


 説明をしながらテラスの縁に移動して、手すりに手を置いてから街道の先を指差す。


「一つ下の階に設置してあるバリスタならば、ここから見える街道の中ほど……あの辺りまで射程範囲となるのです」


 そう告げると、どよめきが起こった。振り返ると、先ほど指し示した街道を見て皆が驚愕している。


「なんと……!」


「それはこの城を攻める者からすれば脅威だな」


 驚きの声は多数上がっている。それはそうだろう。実際にバリスタを使ってみて、製作者のヴァン自身も驚いていた飛距離なのだ。狙いは流石に正確ではなくなるが、それでも十分過ぎるほどの脅威である。


 それは普段、戦場を支配する立場である強力な魔術師にとってより強く感じる部分だろう。


「これだけ作り上げられていて、それでもまだ何か仕掛けを作ろうとしているのか。何を作ろうとしているのか、気になるな」


 陛下が笑みを隠せない様子でそんな感想を口にした。それにベンチュリーが何かを思案するような表情で顎を引く。


「……ふむ。例のイェリネッタの新兵器……あれに対抗は出来るのか?」


「ヴァンの言を聞く限り、今の精度であるならば問題はないとのことです。もともと命中率が低いのですが、飛距離が延びればその分更に低くなるようです。もしあの辺りから届く場合であってもこの城塞都市の何処かに当たれば上出来というくらい、と申しておりました」


 ヴァンから教えてもらったことをそのまま伝えると、陛下とベンチュリーはあっさり納得した。


「なるほど」


「それならば問題はありませんな。もし相手がこの城塞都市の防衛力を知ったなら正攻法以外の手段を模索する。何か抜け穴がないか、そこをどれだけ考えられるかに掛かっているでしょう」


 ヴァンが黒色玉について最も研究をしているためか、陛下とベンチュリーからかなりの信頼を得ているようだった。


 そのまま他の貴族達も交えて議論をしているところに、後続として遅れて到着した貴族達も天守閣へと上がってくるのが見えた。


 その中に、一年ぶりに見る懐かしい顔がある。


「……兄上?」


 目を丸くするヤルドとセストが、私を見てそんな声を上げたのだった。




皆さまのお陰で次にくるライトノベル大賞2022にて、単行本部門3位の快挙☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

本当にありがとうございます!

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