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お気楽領主の楽しい領地防衛 〜生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に〜  作者: 赤池宗


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修復している内に

次にくるライトノベル大賞への投票に協力してくれた皆様。

本当にありがとうございました(*⁰▿⁰*)

 翌日、朝早くから壊れた城門にムルシア、アルテ、ティル、カムシンを連れて出向く。眠い目を擦りながら、激しく歪んだ鋼鉄の門や崩れかかった城壁の一部を見上げる。間近で見ると本当に大きくて迫力がある石の壁だ。


 せっかく修理した城壁などが一部壊されてしまった。更に、唯一無事だったイェリネッタ王国側の城門やその周りの城壁が壊されてしまったのは悲しい。


「……仕方ないから大砲対策をするために壊れたと考えるとしようか。まず、あんなにドカドカ撃たれるような状況が問題だよね」


 そう呟きつつ、壊れた城門の奥に行き、イェリネッタ王国の領土である土地と街道を眺める。ここから見ても昨晩のイェリネッタ王国軍が攻めてきた侵入経路が全く見えない。もしかしたら、イェリネッタ王国になる以前は別の国が守っていた重要な地だったのかもしれない。


「ヴァン様? その、タイホウというものはあの鉄の筒のことですよね? それをどう使うのかも、使われないようにするということもよく分かりません」


 ティルが不思議そうな顔でそう呟くと、カムシンが難しい顔で顎を引いた。


「……タイホウが使われた時は城を守るために城内でバリスタを操作していましたが、そこから見えたのは大きな音とともに煙が上がり、城門に何かがぶつかるところでした。多分、黒色玉を使っていたんだと思いますが……」


「おお、正解!」


 カムシンの推理に僕は驚いて答える。それに、ムルシアが首を傾げた。


「正解って……ヴァンはあれが何なのか分かるのかい?」


 不思議そうに尋ねるムルシアに、僕よりも先にアルテが微笑みながら頷く。


「ヴァン様は何でもご存じですから」


 微妙に意味ありげなアルテの言葉。それに苦笑しつつ、目を細めた。


「……まぁ、黒色玉を初めて見た時から考えてましたからね。黒色玉を使えばどんなことが出来るか……色々と考えられますが、もし戦いで使うなら、あの筒の中に黒色玉を入れて鉄の弾とかを入れて飛ばします。計算上ですが、矢で射るのと同等の速度で超重量物を飛ばすことが出来ると思います。更に、黒色玉を入れ込んだ球を飛ばすことが出来たなら、撃ち込んだ先で爆発させることも出来るでしょう。その威力は、一流の火の魔術師をも凌ぐ可能性があります」


 遠く、街道の先を見据えながらそう説明すると、ムルシアたちは目を丸くして固まる。


「……そんなことを考えるのは、ヴァンくらいだろうと思うけど」


 数秒以上もの時間が流れて、ようやくムルシアが口を開き、そう言った。それにティルが苦笑して頷き、カムシンが目を輝かせる。


「まだちゃんと理解できませんが、そんな凄いことが出来るんですね」


 カムシンが感心したように呟いた。一方、アルテは眉根を寄せて口を開く。


「あの黒色玉が、戦い以外にも使えるのですか?」


 信じられないといった様子でアルテが質問をする。確かに、あの爆発を見て他に何に使うのかと思うだろう。その気持ちはよく分かると頷いてから、ウルフスブルグ山脈の方向を指差す。


 すると、皆の目が僕の指に釣られるように山脈の方に向いた。


「例えば、黒色玉を使えば硬い岩肌の山に穴を空けることも出来ると思う。あれだけ大きな山脈を貫通することは難しいけど、一つの山くらいなら穴を空けて道を作ることも出来るんじゃないかな? 後は、鉄鉱山とかでも使えると思う。水害を防ぐために川の幅を広げる工事にも使えるだろうし、考えれば考えるほど有用な道具だと……あれ?」


 思い浮かぶことをそのまま口にしていたのだが、気が付けば皆が山脈から視線を外してこちらを見ていた。首を傾げながら皆の顔を見回していると、ムルシアが呆れたような顔で口を開く。


「……黒色玉を初めて見てから、そんなことを考えていたのかい?」


「……そうですね。新しい道具なので、どんな使い方が出来るか色々と……」


 本当は知識として一部知っているものが含まれているが、その部分は隠して答えている。しかし、よく考えたら、いくら天才で知られるヴァン君といえど、まだ十歳にもならぬ身。流石に不自然だっただろうか。


 少し心配になったので、自分のフォローを自ら行うことにする。


「……まぁ、領主になってから色々と教えてもらっていますからね。治水工事とか、街道についてとか……」


 簡単に補足説明をしてみたが、あまり効果は無かった。どうしたものかと思っていると、タイミング良く伝令の兵が向かってきた。


「ヴァン様! セアト村より応援が到着しました! 冒険者の方々とベルランゴ商会よりランゴ殿も来ています!」


「本当? それは助かった!」


 待ちに待った報告に歓声を上げる。ムルシアには申し訳ないが、早くセアト村に帰って大浴場に入りたい。此処にいては買える物もないし、食べる物も種類が全然ないのだ。好きな物を食べてお風呂に入って、発展してきたセアト村の中を歩いて回りたい。


 ということで、笑みを浮かべて皆に振り返る。


「それじゃあ、今日か明日にでも城塞都市を改造しましょう! ムルシア兄さんには最強の城塞都市を贈ります!」


 僕がそう告げると、ムルシアは目を瞬かせた後に苦笑した。その姿はティルやアルテがよく見せるものにそっくりだった。




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