表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お気楽領主の楽しい領地防衛 〜生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に〜  作者: 赤池宗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

183/361

最強の城塞都市計画2

 凄い勢いで木々を中央広場に運び込んでいるセアト村騎士団の団員を横目に見て、ディーが目を瞬かせる。


「中央広場に木材を運び込んで、何を作るのですかな? まだ城壁が完成しておりませんぞ?」


 と、ディーに聞かれたので、切迫した状況であると伝える。ディーは率先して木材を確保に行っていたため、話の流れを説明しないといけない。


「なんと! それは大変ですな……! しかし、城壁作りの方が重要な気がいたしますが……!」


 こちらの状況に理解を示しつつも、やはりディーは防衛の観点を外すことが出来ない。当たり前なことだが、魔獣がいるこの世界では安全が第一である。とはいえ、お風呂に入れないのは看過できないのだ。


「そうだね。ディーの言いたいことは分かるけど、今日に関しては生活環境を整えることが優先かな。ちゃんと防衛の設備として砦の上部にバリスタを設置するから安心して」


「むむ、それならば大丈夫でしょうか……装甲馬車もありますからな! ならば、建築資材を揃えましょうぞ!」


 ディーは僕の方針を聞くと、すぐさま気持ちを切り替えて準備の手伝いへと向かってくれた。素晴らしい限りだ。


 走り去っていくディーの後ろ姿を感慨深く見送っていると、カムシンが何かを期待したような顔で口を開いた。


「ヴァン様、かなり素材が集まりましたが、どんな建物を建てるのでしょうか」


 そう聞いてきたカムシンの背後にワクワクという文字が見える気がする。何やら新しい建物を期待しているらしい。とはいえ、既に星型要塞や巨大なドワーフの炉、バロック様式の建築物なども建てている。更に悪ふざけにも似たノリで凱旋門から陽明門まで建ててしまったのだ。これ以上、何を作れば良いものか。


 そんなことを思って記憶を辿っていると、不意に実際に行ったことのある名所が思い浮かんだ。


 九州最強の城、熊本城である。他にも大阪城や名古屋城も見たことはあるのだが、最後に行ったのが熊本城であるため、記憶に新しい。


 入口辺りで眼鏡を掛けたおじさんに解説をしてもらったのだが、武者返しを備えた石垣は二十メートルにもなり、大小の天守閣だけでなく、巨大な櫓もある。まさに要塞。立地的に堀を作るには時間が掛かるが、最終的には長堀も作って最強の要塞とすることが出来るだろう。


 思い立ったが吉日。早速城壁作りで疲労困憊状態の土の魔術師を召集する。その間にもセアト村騎士団の面々は材料の収集を続けており、山のように材料が集まっていた。


 その石材や木材の前に立ち、若干青い顔をした土の魔術師達の顔を見る。


「えー、初日から物凄く働いてくれた皆様に、まずはお礼を申します。本当にありがとうございます」


 一礼してそう告げると、魔術師達は少し驚いた様子を見せた。珍しい貴族だと思われたのだろう。とはいえ、それなりのレベルの四元素魔術師達だから、他の貴族にもそれなりの待遇を受けている筈だ。その証拠にあまり謙った態度を取ることはない。


「それでは、最後にもう一仕事ということでこれから山を作ってもらいたいと思います。範囲はこの広場全体です」


 笑顔でそう告げると、全員の顔から血の気が引いた気がした。





 それから僅か二時間後、広場の中心に石垣が出来上がっていた。ちなみに魔術師達は地面に座り込んでしまっている。流石に可哀想だと思ったので、ティルにバーベキュー大会の準備をお願いしておいた。十分な建材が揃っていたので、セアト村騎士団総出でバーベキュー大会の準備に入る。


「……さて」


 そう呟き、巨大ビルのような石垣を見上げた。反り返った石垣は物凄い威圧感を与えている。正面には巨大な鋼鉄の門があり、今は開け放たれていた。


 馬車が入れそうな通路が石垣の中に続いていて、石垣の中はウッドブロックによって出来た倉庫となっている。三階建ての倉庫を登ると、屋上が石垣の最上段と同等となっている。後は、石の床を敷き詰めて、更に四方を壁で囲む。もちろん和風な屋根付きの城郭だ。防護用の戸板付き窓もある。


 それから中心に出来るだけ大きくなるように一階部分を建設した。最終的に熊本城のような形になるように長方形にしておいた。高さ二十メートルの石垣の上に作っているため、十分周囲を見回す高度は確保しているのだが、まだまだ大きくなる。なにせ、熊本城は六階建てだったはずだ。


 一階に駐屯する兵士たちの食堂や厨房、浴場を作り、二階と三階は寝泊まりするための部屋を幾つも用意した。四階にはバリスタを設置したため、予備の矢も作って置いておく。他にも城内に敵が侵入した時のことを考えて階段上から攻撃出来るように槍を置いてみた。


 五階は貴族用の浴室と寝室。六階は僕のための天守閣である。眺めは下を見るのが怖くなるほど良い。イェリネッタ王国側を見下ろすと、街道が線になって先が見えなくなるほど遠くまで見通せる。


「よし! ギリギリ夜までに間に合ったね! バーベキュー大会をして今日は寝よう!」


 天守閣のテラス部分から振り返り、部屋の中を見回しているアルテ達の顔を見て満足感たっぷりでそう言った。


 すると、ティルとカムシンが呆れた顔でこちらを振り向く。


「……流石に驚き疲れました」


「まさか、こんなに個性的な要塞が出来るとは……」


 二人がそんな感想を漏らす中、アルテは目を輝かせて部屋の中を見て回り、こちらを振り向いた。


「素晴らしいです、ヴァン様! 私はこのお城が一番好きです!」


「そ、そう? それは良かった」


 アルテの勢いに押されつつ、頷いて答える。


 何かが物凄くヒットしたのか、アルテは大興奮で城の中を見て回ったのだった。






お気楽領主3巻!

コミカライズ版2巻!

絶賛発売中です!

https://over-lap.co.jp/お気楽領主の楽しい領地防衛 3 ~生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に~/product/0/9784824002723/?cat=NVL&swrd=

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ