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お気楽領主の楽しい領地防衛 〜生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に〜  作者: 赤池宗


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町の拡張をしてみる

書籍版1、2巻重版しました・:*+.\(( °ω° ))/.:+

コミカライズ版も重版してます・:*+.\(( °ω° ))/.:+

皆様、ありがとうございます!





 とりあえず、急ぎの案件であるベルランゴ商会の倉庫はササッと作って対応した。今回は地下室も作ったので、土地問題にも貢献している。


「これで素材は暫く大丈夫だから、その間に商業ギルドとの話をまとめようね。その辺はベルランゴ商会に任せるから」


「分かりました!」


 ランゴが喜んで元気な返事をした。


「ありがとうございます。他にもヴァン様にお願いしたいことがあるのですが、もし良かったら今から……」


 そこへ、タイミングを見計らった様子でベルが口を挟む。丁寧だが、目は血走っている。なんとかお願いを聞いて貰おうという気配がするが、今回は僕も忙しい。


「あ、ごめん。今から町を拡張するから」


「え?」


「町を、今から……?」


 さらっと口にしたお断りの理由に、二人は一瞬目を丸くして僕の言葉の一部を反芻し、顔を見合わせた。


 そして、すぐにこちらに向き直る。


「ど、何処に!? 冒険者の町よりも手前ですか!?」


「あ、新しい敷地が確保出来ましたら、是非ともベルランゴ商会に!」


 大興奮で距離を詰めてくる二人。どうやら商人魂が刺激されたらしい。


「冒険者の町をウルフスブルグ山脈側に拡張だよ。とりあえず、城壁の一部を解体して町の大きさを二倍くらいに拡げようと思ってるけど」


「二倍!」


「二倍!」


 二人のテンションも何故か二倍になった。まぁ、セアト村を訪問する冒険者も人数がどんどん増えているからね。住民の増え方は一ヶ月で五百人ずつくらいだけど、冒険者は下手をしたら一ヶ月で千人増えることもある。もちろん、依頼で来ている場合はその後すぐに次の町へ向かってしまうが、一度来てくれた冒険者は再びセアト村を訪れる割合が高いらしい。


 結果、平均滞在人数は右肩上がりで増え続けることとなった。


 ちなみに、近隣の村の住民はもう大半がセアト村の新規住人となっている。仕事もいっぱいあるし、家もあるので皆大満足のようだ。


 そんな状況下のため、ベルランゴ商会は恐ろしいまでの勢いで成長するとともに、深刻な人材不足でもあった。


 ベルランゴ商会は色々と困っているのだ。


 しかし、ヴァン君も困っている。忙しさのあまり、分身の術を習得した方が良いかと本気で考えるくらいなのだ。


 だが、残念ながら分身の術の習得方法が分からない。


 なので、今の状態で出来ることは優先順位をつけて仕事をこなすことくらいである。


「とりあえず、冒険者や行商人の人達が三千人は滞在できるようにしようと思ってるんだ。それにもうすぐ陛下達が帰ってくるだろうからね。その時のためにも、町を拡張しておかないと」


「むむむ、そう言われてしまうと何も言えませんね……それでは、後日お願いいたします」


「はいよー」


 軽く返事をしてからベルとランゴに別れを告げた。


 その後、カムシンを連れて現地の調査を行うために、町の外へ出る。すると、後方から走ってくる一団が現れた。


「ヴァン様! お待ちを!」


 その声とともに現れたのは、ボーラが率いる機械弓部隊である。なんと、騎士団最年少のポルテちゃんも一緒だ。急ぎで人を集めてきたのか、十人ほどで機械弓と短剣のみの軽装だった。


「町の外は危ないので我々が護衛いたします!」


 健気にもそんなことを言ってくれるボーラを見て、嬉しい反面心配にもなる。


「いやいや、みんなも長い行軍で疲れてるでしょ? 休んでいていいから」


 そう言うと、ボーラは呆れたような顔でこちらを見た。


「ヴァン様こそ、帰ってからずっと休んでないって聞いてますよ。村の人達だけでなく、冒険者の人まで心配してるんですから」


「え? そんなに心配されてるの?」


 ボーラの言葉に驚いて聞き返す。困ったなぁ、やっぱり人気者だから仕方ないのかな。


 そんなことを思って照れていたのだが、ボーラは至極真面目な顔で頷いた。


「もちろんです。ヴァン様が倒れてしまったらセアト村は終わりですから。建物も武器もまだ自分たちで作ることは出来ていません。やはり、ヴァン様がいてこそのセアト村です」


 凄い笑顔でボーラはそんなことを口にする。僕はそっと「僕の価値は物作りだけなのね」と傷ついていたが、それは言葉にはしなかった。そっと枕を涙で濡らすとしよう。


「……じゃあ、みんなも付いてきてもらおうかな」


「はっ!」


 溜め息混じりにそう告げると、ボーラ達はきちんと正しい姿勢で敬礼をした。ポルテちゃんもそうだが、なかなか堂に入ってきている。訓練の成果だろう。


 ただし、次は僕の心のケアにも気を使ってもらいたいものである。


 ヴァン君は褒めると伸びる子なのだ。





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