砦建造
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さっさと帰りたかったのに、追加で仕事が出来てしまった。だが、自分より上位の爵位を持つ者が敵対しているのだから、陛下を味方につけないと困る。流石にパナメラやフェルディナットにお願いするのは申し訳ない。
そう思い、すぐさま砦の建設に取り掛かることにした。
「さぁ、取り掛かろうか。目標は夜までに完成だね」
「え? 夜までに、ですか?」
僕の言葉に、ティルとアルテが反応した。馬車を道の端に寄せて固定していたカムシンも、驚いた顔でこちらを振り返っている。そして、出来たばかりの道路で静かに戦う準備を行っている兵士たちを見た。
馬車が二台並んで進めるかどうかの細い道路とはいえ、それを埋め尽くす騎士団たち。その大人数が収容される砦など作れるだろうか。
皆、そう思っているに違いない。確かに、建造中に気づかれたら砦を建てている暇などなくなるだろう。それどころか、準備も出来ていないのに戦闘開始だ。あれだけ上々だった陛下の機嫌がジェットコースターのように急降下してしまうに違いない。
「とりあえず、考えている策はあるんだ。協力してくれるかな?」
笑いながらそう尋ねると、顔を見合わせていたアルテとティルが振り返り、すぐに首肯した。カムシンも後ろで「はい」と返事をしている。
「ありがとう。じゃあ、静かに行動を開始しようか。騎士団の皆に木を集めるように言ってくれる? あと、オルトさん達に要塞の方で動きがないか監視をしてもらうように伝えて」
「わかりました」
「はい!」
指示をすると、カムシンとティルが返事をしてすぐに動き出す。そして、アルテは僕が作った椅子に座り、口を開いた。
「どんな策なのか、聞かせてもらえますか?」
期待したような目で聞いてくるアルテに、笑いながら頷く。
「おい、それはこっちに積んでおけ」
「違う、こっちだ」
「え? これもですか?」
声を潜めながら、騎士団の男たちがウッドブロックでできた壁や床、天井を運んでいく。部品自体はそこまで多くはないため、意外とすぐに準備ができた。丘の斜面にはこれでもかとウッドブロックによる建材が並んでいる。
「よし、準備が出来たね……それでは、陛下?」
確認のために振り向いて尋ねると、陛下は腕を組んだまま頷いた。その後ろにはほかの貴族達も並んでこちらを見ている。
「うむ。それでは、砦の建設を始める。土の魔術師達よ、ヴァン男爵の指示の下、魔術を行使せよ!」
陛下の号令に合わせて、丘を見上げるように立つ僕の前に二十人ほどの土の魔術師達が隊列を作った。各騎士団から選抜された一流の魔術師達だ。
これは、なかなか迫力のある光景である。大体の者が魔術師らしいローブやマントを羽織っているが、それぞれ背中や獅子などにその騎士団の紋章が描かれている。イメージカラーでもあるのか、意外と魔術師の衣装の中にはカラフルなものもあり、中々面白い。
その魔術師の一団が、揃って僕の方を見ている。
その視線を一つずつ見返してから、咳払いをして口を開いた。
「おほん。それでは、皆々様。準備はよろしいでしょうか。改めて言うこともないでしょうが、今回大事なのは皆さんが息を合わせることです。相手に邪魔されないように、一気に形を作ってしまいましょう。特に正面の壁を作る方は速さと正確さが求められます」
改めて砦づくりの要である魔術の使い方について伝える。魔術師達も半信半疑といった表情の者が多いが、僕の後ろには陛下を始めとした貴族の顔が並んでいる。それ故か、不承不承ながらも全員頷いて同意する。それに息を漏らすように笑いつつ、斜め後ろで待機していたディーを見上げた。
「それじゃ、ディー! 配置につこうか」
「はっ! お任せくだされ!」
ディーの返事を聞きながら、丘の上に向かって歩き出す。ディーは素早く作ったばかりの巨大なタワーシールドを手に持ち、斜め前へ出てきた。
「ヴァン様……」
後方でティルの心配する声が聞こえた。僕も危ないことはしたくなかったが、今回ばかりは仕方ない。何よりも速さを優先するには僕が最前線に出るしかないのだ。
丘の上まで移動すると、視界が嘘のように開けた。そして、急な下り坂と細い橋のかかった小川があり、奥には思った以上に大きく頑丈そうな要塞がある。黒い壁の四角い建物だ。見るだけで威圧感を覚える重厚さである。
城壁の上では見張りの兵士たちがこちらに気が付き、何か騒いでいるように見える。ダラダラと時間を掛けてしまうと、こちらに無数の矢が降り注ぐことだろう。
ディーが盾を手に城壁を睨んでいるのを横目に、僕は背後を振り返った。
「魔術師の皆さん! 壁の展開をお願いします!」
大きな声で叫んだ瞬間、魔術の詠唱を終えた魔術師から順番に僕の前後左右に巨大な壁が立ち上がる。
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デコードしてくださった方、ありがとうございます(=´∀`)人(´∀`=)




