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お気楽領主の楽しい領地防衛 〜生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に〜  作者: 赤池宗


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電撃戦の準備

「あのワイバーンやドラゴンについてはどうする」


「傀儡の魔術師だろう? ならば、魔術師を狙えば……」


「こちらは前々から言われているように、操る相手との相性と魔力量が関係してくるため、あまり多くの人数は用意出来ないだろう。それゆえに数は知れている」


 と、気が付けば議論は次の話題に移っている。黒色玉の脅威については理解しているが、どうにかそれを手に入れようという話題にはならなかった。有用性への理解がまだ出来ていないということか。


 火薬があれば銃や爆弾だけでなく、発破による採掘も可能だ。近代的な罠も作成できるだろうし、考え方によっては様々な使い方が可能になる。


 そんなことを思いながら会議の内容を聞いていると、陛下がこちらをチラリと見た。


「……こちらの進軍経路としてはそんなところか。ヴァン男爵。卿はどう思う?」


 そう言って、陛下はこちらに意見を求める。気が付けば話は相手の戦力から進軍についてへと移行していたようだ。僕は咳払いを一つして、口を開く。


「今回の戦いはいわば奇襲です。まずは、当初の予定通り山道を抜けてイェリネッタ領地へ騎士団を送り込むことが第一。しかし、この山道は細く長いため、人数が多くなると行軍中に魔獣に襲われる危険が高いでしょう。なので、重要なのは山道の途中に安全な拠点を仮設すること。そして、素早く安全に移動するにはベルランゴ商会が販売する装甲馬車(ウォーワゴン)がオススメです。今なら無料でバリスタも貸し出しますので、そのままイェリネッタとの戦いに持ち込めます」


 そう言って皆の顔を見る。すると、陛下とパナメラが揃って吹き出した。


「ふ、はっはっは! ついでに商売にするとはな!」


「少年は商人になっても大成しそうだな」


 二人は笑ってくれたが、ダディことジャルパは仏頂面になって息を吐く。そして、話が途切れたところでベンチュリーが確認のために口を開いた。


「イェリネッタの領地には山道を封鎖する形で砦があるが、敵国の王族の情報を信じて作戦を考えて良いものか」


 ウニモグから聞き出した情報が偽りではないかと心配している様子である。それには他の貴族達も頷く。


 だが、その不安の声に陛下が不敵な笑みを浮かべて口を開いた。


「安心せよ。頭の足りぬ輩だったが、十分に責め立てた。嘘は吐けぬ」


 陛下がそう言うと、何人かが顔色を変え、その他の者達は素直に成る程と頷いていた。陛下の尋問は色んな意味で定評があるのかもしれない。


 ちなみにフレイトライナは最初から協力的であり、いまやセアト村に永住したいと言っているので、エスパーダから文官的教育を受けている最中だ。


「では、まずはヴァン男爵よりその装甲馬車とやらを買い上げて山道へと入り、拠点を作る。かなり距離があるため、拠点は三ヶ所に設置する」


 そう言って、陛下は円卓の上に広げられた地図上で拠点の場所について説明する。


「どうやらイェリネッタ軍が通過した際はワイバーンと共に進んで魔獣を近寄らせないようにしたようだが、我らにその手は使えない。それ故、拠点は頑丈かつ短い距離で複数必要となる。それには山道での行動が得意な冒険者の協力が必須となるだろう」


 陛下はそう言うと、地図上に作った拠点候補地を指さす。


「次に拠点についてだが、これはヴァン男爵の手を借りようと思う。現地で出来るだけ素早く組み立てることができ、なおかつ大型の魔獣から襲撃をされても破壊されない拠点を用意してもらいたい」


 その言葉に、皆の視線がこちらへ集まった。


 あれれ、おかしいぞ。急に仕事を振られてしまった。それもかなりの無理難題である。だが、それを可能にする男がいる。みんなのアイドル、ヴァン君である。


「かしこまりました」


 即座にそう返事をすると、何人かが驚いたような顔をする。ふふふ。これは是が非でも面白いものを作らないといけない。皆をアッと言わせてやろう。


 そんなこんなで、それから僅か三十分ほどで軍議は終わった。陛下がこうすると告げたら、皆がそれを実現するためにはどうするか、と話すような流れである。中々、陛下の言葉にノーと言える者はいないようだ。


 いや、王政の場合はそれが普通なのかもしれない。


 一先ず、僕が考えるのは簡単に作れる拠点についてである。国王と貴族の関係性は今はどうでも良い。どうやったら簡単で、頑丈な拠点を作れるかが考えどころだ。




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