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お気楽領主の楽しい領地防衛 〜生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に〜  作者: 赤池宗


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メインストリートの充実


お気楽領主の書籍版2巻、コミカライズ版1巻がもうすぐ発売です!

それぞれにオリジナルの番外編あります!

是非チェックしてみてください!




 冒険者の街に新たな店を建築するにあたり、カムシン達に店の経営が出来そうな人を選定してもらっているが、やはり時間が掛かるのだろう。まだ戻ってきてはいなかった。


 後はベルランゴ商会に新たな出店を依頼したのだが、早速ランゴが見習い商人らしき人々を引き連れて歩いていた。


「こっちに食品と日用品の店舗を。本店とある程度在庫の融通は出来るが、この店舗でも独自に仕入れや在庫の管理をしなければならない。メアリ商会との交渉も本店と支店の担当者が三者集まって行う。反対側には素材買取と販売の店を予定している。こっちは常に人が溢れることになるだろうが、本店から応援を出して対処するから安心してほしい。後は安い武器と防具の注文も増えてきたため、武器や防具を置く店も用意する。本部との連携もあるため、そちらの店員は半数を本部の者とする。今までのところで、何か質問はあるか?」


 慣れた様子でランゴはざっと説明すると、見習いの人たちを見回す。年齢や性別は様々だが、皆が素早く手を挙げて口を開く。


「素材買取についてですが、従業員は何人ですか?」


「買取五人、販売三人、店長一人と副店長一人で考えている」


「冒険者の方の多くはこちらの街にいると思います。本店の方の人を減らしてこちらに集中させた方が良いのではないでしょうか」


「間に合わなければ応援は出すが、基本的には人数の変更は考えていない。時間が無くて急いでいる者は本店に行かせたら良いし、ドラゴンのような貴重な素材は本店のみとする。また、解体に関しては冒険者ギルドが増員すると言っていたので、そちらに取られていた人員ももうすぐ減る筈だ」


 と、皆の質問にランゴは的確に答えていった。何か、仕事が出来る男感が出ている。


「はい」


 試しにと僕が手を挙げると、ランゴが振り向いて目を見開いた。周りに立っている商人見習いの人たちも目を丸くしている。


「これまで僕が作っていた武具とかは戦争に参加させられると、その間供給が止まってしまいますが、その場合は代わりとなる武器、防具は準備できてますか?」


 そう質問すると、ランゴは顔を引き攣らせた。


「……戦争で使う物資や食料などをこちらで運んで販売しますので、帰りの馬車に作成していただいた武具を載せてもらう、という形では……」


「鬼じゃない? 出張先でも武器作りするの? 死んじゃうってば」


「そうですよね……では、やはりセアト村に帰っている間に在庫を補充してもらう形で……」


 ランゴのそんな回答に肩を落として溜め息を吐く。


「やっぱり働くしかないのか……新しく来た人の中には生産系の魔術を使える人はいなかったの?」


「はい、おりません。それと、鍛冶をやっていた者に見せたのですが、複製は不可能だと言われました」

 

「そうだよね」


 ランゴの言葉にがっくり項垂れる。仕方がないことだが、領主の仕事も大工仕事や治水工事のような仕事も行う中、さらに武器製作となるとかなり大変である。


 そんな過密スケジュールの中、鬼と悪魔が剣や勉強の修行をいれてくるのだ。


 なんとか、この負の連鎖を断ち切らねばならない。


「よし。大工と鍛冶屋、家具屋を早急に準備しよう! 特に鍛冶屋さんは最高の腕が必要だね。確か、何人か経験者がいた筈だけど、どうなったかな?」


「それが、中々鍛冶場のほうが出来ず、大工の経験がある者が集まっても、炉を作ったことの無い者ばかりで……」


 と、ランゴが困ったように言う。今のところはメアリ商会に頼んで最高品質の武具などを購入して在庫に充てているが、今後は出来たら自領で目玉になるような武具を作りたい。


「とはいえ、炉を作るって難しいよねぇ」


 独り言を呟いて唸る。テレビで見たことはあるが、明確な作り方はわからない。恐らく、設計図さえあるなら形までは作れると思うけれど。


 そう思っていると、遠目に見ていた冒険者の一人が片手を挙げた。


「あのー、今それこそ有名なドワーフだけの冒険者パーティー、酒の神(バッカス)が来てますぜ。確か、ダンジョン攻略とかで……」


 そんな情報に、僕よりも先にランゴの方が反応する。


「なに!? そのパーティーはまだダンジョンにいるのか!?」


「え? いや、確か今朝はギルドで見たと思うけどよ」


「なんと……!」


 冒険者の情報に目を血走らせて、ランゴがこちらに振り向く。


「ヴァン様! 今からお時間は!?」


 未だかつて、これほど情熱的なお誘いがあっただろうか。さしものヴァン君も思わず頷いてしまう。


「だ、だいじょうぶだけど?」


「よし! すぐに行きましょう!」


 勢いは大事である。瞬く間にそんな流れになって、僕は店を建てる時間を奪われてしまった。


 そのままの勢いで出来たばかりの冒険者ギルドの支部に突入するランゴ。下手したら殴り込みと思われてしまいそうだ。


 扉の開閉をする大きな音を立てて屋内に入ると、広い冒険者ギルドの受付兼酒場のエリアにいた冒険者達が一斉にこちらを見た。


 そして、その中には明らかに背の低い一団の姿が。


「いた……!」


 ランゴがドワーフ達を指差しながら叫ぶと、気難しそうなドワーフ達が眉根を寄せて振り返った。


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