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お邪魔いたします。

幼稚舎は昼までしかない。

よって、初等部である兄とは迎えが別になっている。

だが、東条院様の家に寄るということを伝えるため、私は初等部を訪れていた。

東条院様と、北上院様は、既に車に向かっている。


「あ、幼稚舎の子かな? 誰を探してるの?」


私が初等部三年桜に顔を覗かせると、後ろから声をかけられた。

胸のバッチから見るに薔薇らしい。


この学園では、制服についた校章の下に純金で出来たバッチを付けることが校則となっている。

桜なら桜、薔薇なら薔薇といった様に、位によって分けられたバッチを付ける。


そして、外部生は、バッチも違う。

桜のバッチであっても、薔薇のバッチであっても、それこそ、金盞花のバッチであっても、純金では作られていない。

純銀製だ。

金と銀じゃ価値が結構変わる。

銀のバッチだと言うだけで、差別やいじめまで起こっているそうだ。


そして、私に声をかけてくれた彼女のバッチは銀色だった。


「あの…お兄様を…西城院せいじょういんすぐるが、どこにいるか分かりますか…?」


これは、一種の警告。

遠回しに、自分が西城院の娘だと言うことを伝えている。

外部生でもわかる様に。

まぁ、初等部から通っているなら、お金がないわけじゃないだろうけれど。

来年には内部生になれる訳だし。


幼稚舎から入れるのは、特殊な家か、もしくは受験。

ただ、どちらにしろ高等部まで通うと思えば相当な金がかかる。

だから、今銀バッチの人も、初等部に上がれば内部生になれる。

まぁ、ならなくてもいいのだけど。


そして、初等部に上がれば、また、新しい外部生が入って来る。

そして、その人たちも中等部に上がれば内部生になれる。


だが、中等部の外部生は、一定以上の寄付金がないと高等部に上がっても内部生になれない。

中等部から高等部に上がる時に内部生になる人は、大抵、外国から出張で帰ってきたとかいう帰国子女か、もしくは成り上がりかのどっちかだ。


因みに、外部生も内部生も学費は同じだけれど、強要される教養と、寄付金が全然違う。

外部生は勉強だけで良いのに対し、内部生は、茶道に花道、書道に、社交ダンスなど、淑女としての対応を求められるから。


「え? あ…えと…西城院様ですね…少々お待ちください…」


私の言葉で悟ったのだろう。

逃げる様にして彼女は教室へと入っていった。

しばらくして戻ってきた彼女は、凄く申し訳なさそうな顔をしてトボトボと歩いてきた。


「…すいません…西城院様はいらっしゃらなかったみたいです…」


「そうですか。手間を取らせてしまい、申し訳ありませんでした」


「い、いえ。こちらこそ。お役に立てなくて……」


「そんな、お構いなく…「椿…?」…へ…あ、お兄様!」


そんな話をしていると、何処かへ移動授業に行っていたのか、お兄様が私を見つけ声をかけてくれた。


「南條院様も、御機嫌よう」


「久しぶりだね、椿ちゃん。また大きくなって…元気だった?」


彼は、南條院なんじょういんゆづる

お兄様の同級生で、親友らしい。

よく、うちの家に遊びにきている。

私は行ったことないが、よく、お兄様は南條院様の家にお邪魔しているらしい。


あ、さっきの彼女、いつの間にか居なくなってる。

本格的に逃げたのだろうか。

名前も聞いてない…よし、今度見かけたら名前を聞いておくことにする。


「椿、何か用があったのかい?」


「ええ、お兄様。私、今から東条院様の家に寄って行きますから、帰りは遅くなると思います。お父様とお母様に伝えておいてもらって良いですか…?」


「それは勿論。迎えはどうする?」


「多分、東条院様が送ってくださると思うけれど…一応帰る時には連絡を入れますね。お父様にした方が良いですか?」


「うーん。お父様もお母様も居ないかもしれないからな…一応僕に連絡を入れてくれるかい?」


「分かりました。では、私は失礼いたします」


「気をつけてね」


私は、ぺこりと頭を下げて、ちょっと小走りで進み出す。

東条院様と北上院様を待たせてしまった。

機嫌が悪かったらどうしよう。


後ろで、南條院様が「また僕の家にも遊びに来てねー!」と言っていたので、振り返ってにこりと微笑んでおいた。

どうだったでしょうか?

出来れば評価や感想を貰えると嬉しいです。


今までの作品放置でごめんなさい。

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