表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

転生いたしました…。

毎日更新したいと思います。

私の名前は、西城院さいじょういん椿つばき

前世、フィリアネット・フォルトゥーナです。


私は殺された後、何故か日本という国の華族の末裔である西城院家の令嬢として生を受けた。

そして、今日で、5歳と九ヶ月。

お父様とお母様、お兄様との四人暮らしで、お兄様は今、櫻坂学院というところの初等部三年生。

私はそこの幼稚舎だ。


櫻坂学院と言うのは、世界でも生粋の金持ち学校で、収められる寄付金によって、クラス分けから、学院内でのカーストまで決まってくる。

私とお兄様は、櫻坂学院の中でもトップクラスの桜のクラスにいる。


櫻坂学院は一般的な数字でわけるクラス分けではなくて、寄付金順に、桜、牡丹、百合、蘭、薔薇、金盞花の順に分かれている。

ただ、金持ちだけでは学校として回らないので、外部生として、頭のいい生徒を奨学生として受け入れている。

外部生のみ、クラス分けは寄付金ではなく、成績順であり、その人数も二十人に満たない。

1クラスの平均人数は、約20人なので、1学年120人が最大だ。

基本的には、下の方のクラスだと人数が多くて、上の方にいくと人数が減る。

私のクラスである桜なんて、10人しかいない。

その内、女子が3人で、残りは男子。

外部生が3人、内、二人が男子だ。


そして…桜の中でも最高峰。

文武両道、見目も麗しいと評判の東条院とうじょういんけいは、たぶん……私の前世の婚約者であるアーツナイツ様だ。

アーツナイツ様…東条院様に記憶があるかどうかは分からないけれど、これだけは確信して言える。


東条院=アーツナイツだと…。



「西城院さん、宿題だったプリント、貰えるかな?」


「先生に提出するものですね。ええ、少し待ってください」


そして彼、北上院ほくじょういんしゅう

東条院様の親友にして、東条院と並び、カーストトップに君臨する方だ。


私達3人は家の交流とがあり、年が近い事もあって、幼馴染だ。

良く、二人の家に遊びに行ったり、二人を招いたりしている。


因みに西城院、東条院、北上院ときて、最後に南條院なんじょういんを入れたこの4家が、日本の経済を司っている…らしい。

何せ、私は家の事をほとんど知らない。


初めて東条院様と北上院様に会ったころ、私は将来、どちらかと結婚するのだとだけ教えられていた。

もう少し大きくなったら、どちらかとの婚約を発表するのだとも。

東条院様=アーツナイツ様だと気付いてから直ぐは、少し会うのが気まずかったけれど、別に今は何も気にしていないし、向こうも気にする気配がないので、放置している。


話がずれたが、とにかく、4家が居なければ、日本の経済は崩壊する…と言われている。


軍事を司る東条院家。

ーー総資産、約十八兆十億五千万円。

医療を司る西城院家。

ーー総資産、約十一兆七千五百億円一千万。

産業を司る南條院家。

ーー総資産、約九兆九千七百億八千万円。

財務を司る北上院家。

ーー総資産、約十六兆百八十億三千万円。


世界の資産家を軽々と超える勢いで、日本の4家は成長していった。

そんなに日本だが、貧困がないわけではなく…むしろ、カースト制が表立ってではないが、表面上に現れてきた分、差は広がっていっている。


基本的にはどの4家も己家で孤児院や老人ホーム、その他、そう言った施設を経営してはいるし、西城院家の病院では、一部、治療費が払えない人に年金から計算を行い、人によっては大幅に値下げしている。


保険制度は、一応北上院家の領分だが、軍事、医療、産業、財務以外の仕事は、基本的に分担しているから、西城院でも可能だ。


因みに国務も4家で分担している。

立法、司法、内閣の三つを擬似的に四つに分け、どれか一家にだけ権力が固まらないようにはしてあるらしい。

すでに4家全て権力過多だとは思うけど。


私は、ファイルからいくつかのプリントをだし、その中からお目当てのものを探し出す。


「北上院様、これですね。遅くなってごめんなさい」


「構わないよ。提出期限は明日だし…ただ、桜が見せしめとして早く回収するようにって言われてるだけだから…」


「それでも、迷惑をかけてしまったのですから、謝るのは当然です」


「んー、まぁ、良いけどね」


北上院様が困ったように笑ってる。

まぁ、私達は詰まる所上流貴族のような扱いだから、自分が謝ることなんてほとんど無いのだろうけど。

…位の低い人たちに、媚を売られることはあるだろうけど。

それも、良い年した大人に、打算だらけのにやけた顔で擦寄られる。

正直あれは気持ち悪いし、あんなのを笑いかけなくてはならない自分が嫌になる。


そこへ、東条院様がやってきた。


「北上院、今日俺の家寄るか? 母が久しぶりに会いたいって言ってるんだ。簡単なティーパーティーの用意もしてある」


「ええ。東条院様がよろしいのであれば、お邪魔させていただきます。…せつくん、お元気ですか?」


「ああ。やっと歩けるようになったんだ。可愛いぞ」


「それは見に行かなくてはなりませんね」


東条院様の弟である東条院雪は、今年で齢3歳になる。

色素の薄い髪と、くりくりの目がとても可愛い。


「周も来るか?」


「京が良いなら行こうかな?」


「なら、二人とも家に連絡しておけ。迎えはいらないとな。俺の家の車で行った方が効率がいいだろう」


「「分かりました / 了解」」


私達は家へ携帯でさっと連絡を入れる。

おおよそ幼稚園児の会話とは思えないが、私達3人がどう話して居ても、誰も何も言わない。

ただ、褒め称え、媚を売り、物を乞い…ただただそれの繰り返し。

なんの意味もない日常。


親も何も言わない。

4家の子供とはそういうものらしい。

殺気と殺意の中で過ごしてくれば、早熟なのも頷ける、と、昔、4家の集まりで誰かが言っているのを聞いたことがある。

それが悪いことだとも誰も言わなかったけど、誰しもが心のどこかで思っているはずだ。

この日本は可笑しいと。


フィリアは花だった。

何も知らないでいるための無垢さを強要され、ニコニコと笑っているだけのお飾りの娘。

アーツナイツ様は、賢くいらっしゃったから、その分、勢力を分担させるためだけのお人形でしか無かった。


だから、私はこの世界が好きだ。

多少不便や不自由があろうとも、あの世界よりずっと自由で、私が私でいることをだれも咎めない。

私を見てくれる。


だから、私はこの世界が好きだ。

胸を張ってそう言える。

これからも続けていくので末長くお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ