001 レアリーさん、転生を決意する。
私は、魔女レアリー・ホワイトウェル。
幼いころに、とある強力な呪いにより、私の身体の成長は止まってしまった。
成長だけではない。時間そのものが固定されたように、老いや病気は私の肉体を避けて通った。
幸いその効果は肉体的なものに限られ、精神や知能、魔力の成長には問題が無かった。
いつの間にか数世紀の時が過ぎ、私はティルナノーグで一番の魔法使いと言われるようになった。
膨大な魔力を持ち、数多くの呪文を使いこなし、ルーンを利用した様々なマジックアイテムも作った。
ドラゴンともコズミックホラーとも戦ったし、帝国と絶賛戦争中だった冥王ダグザを滅ぼしたのも私だ。
けれど、私が欲しかったのは力ではなく、普通の人生だ。
当時の私は、あるものを手に入れるために必死で研究を続けていた。
――そして私は、ついに解決策を見つける。
なんで今まで気が付かなかったのだろう。
簡単じゃないか。この体にかけられた呪いが原因だというのなら、体を捨てて転生してしまえばいい。
新しい体になりさえすれば、きっとこの呪いも解けて『アレ』も手に入るはずだ。
ついでに、レアリーなんて名前も捨ててしまおう。こんな名前、有名なだけで怖がられるだけだ。
いや待て、落ち着け私。名前だけ捨てたところで、顔や魔法でバレたら同じではないか。
うん、そうだ、この世界に未練はない。まったく新しい世界で、第二の人生のスタートを切るのだ!
さよなら、ティルナノーグ。こんにちは、普通の人生。
幼児体型とはおさらばし、ナイスバデーを手に入れるのだ。
目指せ、ステキな恋愛。そして結婚!
そして、夢にまで見た『 巨 乳 』を手に入れるため、私は転生の術を行使した。