献身的な女
あなたっていつもそう。
朝はすぐに仕事に行っちゃって、夜は遅くまで帰ってこない。
私は外に出かけたりもせず、ずうっとあなたを待ち続けてるの。
おとといは会社の飲み会…だったかしらぁ?それでなくてもゆうべは日付が変わってから帰ってきた。
それでも私はあなたのために、あったかいご飯を食べさせてあげたいって。そのためだけに起きて待っているのに。
遅くなっても連絡もよこさない、帰ってきても私のことなんかほっといてすぐ寝ちゃうのよ。
こんなのあんまりじゃない!
休みの日だってそうよ。
逢ったばかりのときは私を車に乗せてドライブに連れてってくれたでしょ。真っ暗だったから景色なんて見えなかったけど。
それでも、私大事に扱われてるんだなぁって嬉しかったの。
それが今じゃどう?
床に寝そべってマンガ読んでるあなたに睨みをきかせてもこっちになんか見向きもしないじゃない!
私はあなたのことちゃんと見てるっていうのに。
知ってるのよ?あなたが私に内緒で最近料理の勉強を始めたこと。
私が作った料理を振る舞う機会が少なくなっちゃうのは残念だけど、キッチンに立っているあなたの目がキラキラ輝いてるの、私にはわかるよ。
そのときはちょっと距離が縮まったような気がしたし。
でも今回はホントに限界。どこからもらってきたのか知らないけれど、他の娘がたくさん載ってる写真集なんてありえない!
へぇ~キレイだしいろいろできるんだな~、じゃないわよ変態!
しかもなんでそれを私がいる前で堂々と読むのよ!アンタバカじゃないの!?
今日という今日はホントに許さないんだからっ!
明日までは何があっても手を貸さないからね!
少しは私のありがたみをわかりなさい!冷たいご飯を食べて頭を冷やせばいいのよ!
ちょ、ちょっと何なのよ急にこっち来て…
あっ、やめてぇ!ムリヤリはダメぇ!!
そんな…やぁっ!!開かないでよ!!今日はそんなこと…はぁ、ん!
うぅ~…そんな目でまじまじと見ないでよぉ…
ぅあぁっ!!ヤダ、急に入れられたらわたs・・・あぁん!!
動かさないでぇっ!ひぃ、真ん中じゃないとぉ…中心じゃないとらめぇ!!
ひゃあん!!はぁ…っぁ、乱暴に叩きつけないでよぉ…痛いじゃない…ふ、ぅん
もぉ~、そんなとこ、ぁん!いじらない…っで!つつかないでぇ!!
アンタなんて最低よ!!ひぃ…ぁん!ひどいわよこんなの!!あんっホントありえないーっ!!
ピピピッ!ピピピッ!ピピピッ!
「ようやく温まったな。あぁー腹減ったぁー。」
冷凍チャーハンを取り出し、食卓につく。
「あれ、まだ中のほう凍ってんじゃん。おかしいなぁ。」
僕はがっかりしながらキッチンに向かう。
「やっぱり調子悪いのかなー。」
ボタンを押しても何の反応も示さなかった。
あぁーこれは
「イってるな」
もう替え時だろうか。
テーブルに置きっぱなしの電子レンジのカタログに目が行った。
さぁ、最初から読み直してみよう。