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【6・ルール】

「このゲームは、ボーンヘッド商会会長の座を含めて私が持つ財産のほとんどを、私の死後受け継ぐ、すなわち私の後継者を決めるものだ」

 途端、空気がざわめいた。財務局、しかも相続担当の役人が三人も同席していることから誰もが「もしかして」とは思ったが、「まさか」という気持ちも強かった。

 そんな空気の変化にもかまわず、グランディスはセバスから一抱えはある大きな箱を受け取り、テーブルに置いた。

 蓋を開けると、中には紙の束が入っている。

「これは私の財産の目録だ。ひとつひとつオビヨンにチェックしてもらい、問題のないものばかり書き記してある。このゲームの勝者が、ここに書かれているものを全て手に入れることになる」

 蓋を閉めると、奇妙な紋様の装飾が施された鍵をかける。これで蓋が開かないことを確認して

「ゲームのルールは簡単だ。この箱を開ける鍵は、この別荘の敷地内のどこかに隠されている。それを見つければ良い」

 セバスが平らな石とハンマーをテーブルに置く。グランディスはためらうことなく手にした鍵を石の角に置き、ハンマーで思いっきり叩いた。

 鍵は真ん中でぽっきりと折れた。

「これで、この箱を開けるには隠された鍵を見つけるしかない。見つけた鍵が正しいかどうかは、この箱を開けられるかどうかでわかる。言っておくが、この鍵を直して本物を見つけたふりをしても駄目だ。隠してある鍵は、これとは別の装飾が施されている」

 セバスが小冊子を取り出し、五人の子供とベルダネウスに一部ずつ渡していく。

「ルールはそこに書いてある通りだ。ひとつずつ説明する。便宜上、我が子五人とベルダネウスを加えた六人をまとめて参加者と呼ぶ」

 皆に小冊子が行き渡ったのを確かめると、グランディスはひとつひとつ確かめるように内容を読み始めた。

「ゲーム期間は明日の昼十二時から十日後の十二時までとする。

 参加者が鍵の場所を判断、見つけ出す時にはその旨を宣誓した上で、審判員の内最低二人及び他の参加者一人を同伴の上行う。ただし、不慮の事故などでこの条件を満たすことが困難な場合はこの限りではない。また、他の参加者は同伴を求められた時、明確な理由なくしてこれを拒むことは出来ない。全員が同伴を拒んだ場合は、上記の不慮の事故と認める」

「審判員というのは?」

「言い忘れた。審判員は財務局の三人のことだ。そのために来てもらった」

 皆が財務局の三人を見た。

「説明を続ける。

 鍵を発見する際には、どうしてそこにあると判断したのかその理由を説明すること。理由は審判側が定めたものと一致する必要はないが、審判員を納得させられるものでなければならない。

 鍵を見つけ出す際に、屋敷及びその中のものを物理的に壊してはいけない。例えば壁の隠し棚を開けるならば、正規の手順に従い棚を開けること。壁を破壊し、棚の中身を取り出すことは認められない。

 鍵の発見宣言は参加者一人につき三回とする。三回ならば同じ日にまとめてもかまわない」

 聞いていてルーラにもわかってきた。これは宝捜しゲームだ。だからこそ、宝、この場合は目録の入った箱を開ける鍵だが、それはルールにのっとった見つけ方をしなければならない。

「期限を過ぎても誰も鍵を見つけられなかった場合、参加者以外の人間にも一回ずつ鍵の発見宣言を行うことが出来る。ただし審判役三人及びセバスはこの数には入れない。

 参加者以外の人間全員が発見できなかった場合、三回の回数制限を使い切った参加者にも一回ずつ新たに発見宣言が出来る」

「あの……」

 サラが手を上げた。

「参加者以外で審判役とセバス様を除くもの。ということは、もしかして私たちも」

「一度だけだが鍵を見つける参加資格を得ることになる。もちろん、それで鍵を見つけた場合は、目録に書かれたものは発見者の物だ。お前が発見すれば、お前のものだ」

 サラの顔に期待が浮かぶのを見て、セバスが咳払いをした。

「失礼しました」

 真っ赤になってサラが黙り込む。

「ゲーム期間中は、審判員、セバスを除いて館の敷地から出ることは認められない。出た場合はその時点でその参加者は失格となり、参加者以外は再び館に戻ることは出来ず、後述の報酬を受け取る権利も消失する。

 各部屋の中のものを持ち出すことは基本的に認められない。参加者や従業員にあてがわれた部屋のものの場合は、その部屋の者の許可があれば認められる。何らかの事情により、部屋の主と連絡が取れない場合などは、審判役の許可を得た上で持ち出すことが出来る。ただし、食器など複数の部屋の移動を前提とした物はこの限りではない。

 鍵を見つけるために意図的に館や調度品などを破壊した場合、その時点でその者は失格となる。偶然壊してしまった場合などは審判役の判断に委ねられるが、数日の鍵発見宣言停止など、ペナルティを必ず受けるものとする。ペナルティの具体的内容は審判の決定に従うものとする。

 他の参加者及び審判を殺したり傷つけたりした場合は、それが意図的なものであろうと、偶然であろうと自動的に失格とする。ただし、被害が今後のゲーム継続に何ら問題を及ばさないと審判が判断した場合に限っては失格とならない。ただし、失格にはならなくても破壊時同様、何らかのペナルティは受けるものとする。

 何らかの事故により発見宣言とは別に鍵が発見された場合、その時点でゲームは中止、財産の分配は最後まで鍵が発見されなかった場合と同じとする。

 上記のルールでは判断のつきかねるケースは、三人の審判役の判断に従うものとする」

 ページをめくり、ゲーム終了時における財産分与の説明に入る。小冊子を見つめる参加者達の目に力が入るのが、ルーラにもわかった。

「鍵の発見者にグランディス・ボーンヘッド名義の財産目録に書かれたもの全てが相続される。目録に書かれていない財産はメルサの国庫に入る。

 以下の分配は遊技の結果とは関係なく譲り渡されるものとする。

 料理人ヒュートロンに二百五十万ディルの現金及び、サブリック通りのボーンヘッド商会第三営業所跡地。

 執事セバスに現金五百万ディル。

 魔導師バルボケット及び、ゲームを手伝ってくれた三人のメイドにそれぞれ現金五十万ディル。

 ザン・ベルダネウスに参加者としての報酬をゲーム期間一日につき一万ディル。他にボーンヘッド商会で販売されている包丁五本一セット(商品番号S071-5)を十セット。

 最後まで鍵の発見者がいなかった場合、失格とならなかった参加者(ザン・ベルダネウスを除く)に各50万ディルずつ分配され、残りはメルサ国庫に入る。

 以上だ。わからないこと、ここに定められていないことはすべて審判役三人の協議で決定される」

「父さん、本気でボーンヘッド家の財産分与をこのゲームで決めるつもりですか?」

 スケイルの頬は引きつっていた。

「これまでの働きは一切考慮なしですか。私たちがこれまでボーンヘッド商会のためにどれだけ働いてきたと思うんですか」

「そうです。せめて参加者はボーンヘッド商会のために尽くしてきた人達にすべきです。どうして数日前にここに来たばかり、しかもカブスの遺品を届けただけの自由商人や、このゲームを手伝うだけのメイドや料理人にまでこれだけ多額の遺産を与えなければいけないんですか? メイドに50万ディル? ここから出ちゃ行けないという条件付きでも、たった十日程度の働きで?」

 ジェンヌやフェリックス、ロジックもスケイルと同意見のようだ。

「本当。ここにいる面子で報酬に関係ないのは、セバスとお役人とルーラさんだけかい」

「私どもは職務で来ております」

「ルーラも同じです。私の護衛兼使用人としてここにいます」

「へぇ、ルーラさんは興味ないの?」

「興味がわかないというか、自分の関わる問題という実感がありません」

 それがルーラの素直な感想だった。

「それよりも、まだまだ元気な内にこんな相続の話をして。死ぬまでの間にまた何かあったらどうするんだろうと思います」

「そのことなら心配ない。私は今夜死ぬ」

 あまりにもあっさりと口にしたものだから、誰もがすぐに理解できなかった。

「心の臓に悪いできものがあってな。治療師や治癒術専門の魔導師にも見てもらったがどうしようもない。遅くともあと100日ほど、早ければ今日にも発作がおきて終わりらしい。

 いつ来るかわからないのをおどおどして待つなど私はしない。準備をし、時を選び、自ら死ぬ。今がそうだ。

 お前たちが鍵を見つけ出すと信じよう。では、さらばだ」

 言うと、グランディスは残った紫茶を一気にあおる。

「!」

 ベルダネウスが駆けだした。その意味に気がついたルーラも走る。

 自分に向かって駆ける二人を見て、グランディスはにやりと笑い、大きく目を剥くと、そのままテーブルに倒れ込んだ。

 それが、グランディス・ボーンヘッドの最期だった。


「あなた方は、グランディスさんが自ら死ぬのを知っていたんですね」

 ベルダネウスの言葉に、セバスと三人の審判は静かに頷いた。

「どうして止めなかったんですか?」

「言って止める人ではありません。心臓の病は本当のことですから」

 セバスは骸となった主に歩み寄り、開いたままの目をそっと閉じさせた。

「葬儀はこのゲームの終了後に行います。それまで遺体は冷凍保存いたします。お願いします」

 頭を下げられ、思わずバルボケットは後ずさる。

「わ、私がですか」

「そうです。このために冷気魔導の使い手であるあなたをお呼びしたのです。葬儀の時まで腐らないようにしてください」

「そ、それは……確かに前に、遺体の保存に冷気魔導を使ったことはありますが……。でも、今は冬ですし」

「念のためです。遺体は地下室に運びます。どなたか手伝って戴けませんか」

 あくまでも冷静なセバスに当てられたのだろうか、戸惑いながらも慌てふためく者はいなかった。

「それではゲームは明日の昼十二時から始める。それまでにルールをよく読んでおくように。今から敷地内を探索してもかまわないが、けっして敷地の外には出ないように。物を調べるのははかまわないが、壊すことはないように気をつけること。動かしたら元の位置、向きに戻すこと」

 小冊子を手に皆を見回すオビヨンの姿に、一同は反論する気力もなくなっていた。


(私がこれまでしてきたことを、父は何ら評価してくれなかったということか)

 スケイルは机に飾った絵を見た。これはもともと部屋にあったものではない。彼が自宅から持ってきたものだ。つたない、落書きにしか見えないような男の絵。絵の横にはこれもひどい字でパパと書いてある。

 娘が描いた彼の絵だった。五歳の娘が描いたこれは、彼にとって何よりも大切なお守りだった。これを見る度に彼は親子には他者にはないつながりが存在すると感じ、自分と父もそうだと思っていた。

 スケイルの母はグランディスがまだボーンヘッド商会を作る前、自由商人であったころ雇っていた使用人だった。金勘定は苦手だったが、馬車の扱いがうまく料理も得意で、彼を陰ながら支えてきた。それが、彼が自由商人を止め、店を構えると同時に彼女はあっさり解雇された。当時、彼女は既にスケイルを身ごもっており、グランディスに結婚を迫ったが、彼はそれを断った。それどころか、腹の中の子供が自分の子供ではないと言い放ったのだ。今にして思えば、当時、既にグランディスは商売上のつきあいのあった資産家の娘を狙っており彼女が邪魔だったのだ。

 結局、彼女は一人でスケイルを産んだ。

 スケイルが十歳の時、グランディスが彼を息子として引き取りに来た。当然ながら彼女は反対した。

 しかし、それを受け入れざるを得ない事態が発生した。既に彼女は働いていた牧場の息子の一人と結婚していたのだが、突然の事故で夫は大怪我をし、分けてもらった牧場も盗賊の襲撃を受け、家畜が全滅してしまった。

 金に困った一家に、グランディスは多額の資金援助と引き替えにスケイルを要求したのだ。迷う両親に、彼は自らグランディスの下に行くことを決めた。

 別れの時聞かされた、母の言葉をスケイルは今も覚えている。

「生き延びたいなら、あの男の役に立つ男になりなさい」

 母は、事故と盗賊の襲撃をグランディスの仕業と思っているらしいし、彼もそう思っている。だが、どうしようもない。グランディスの援助なしでは、生活が成り立たないのだ。

 スケイルはボーンヘッド商会で仕事をするようになった。救いだったのは、彼自身、その仕事を面白いと感じたことだった。

 仕事を覚え、伸ばし、成果を出せば周囲の評価も高くなった。ましてや彼はグランディスの息子なのだ。両親が死んだという報告を受けても、彼はもうボーンヘッド商会から離れる気はなくなっていた。

 結婚し、娘が生まれた。彼はどうしてもこの幸せを壊されたくなかった。それにはグランディスを敵にしないことだ。彼は今まで以上に働き、今やボーンヘッド商会の大幹部であり、多くの人がグランディスの後継者と言うようになった。彼自身、それだけの実績を上げた自信がある。

 それだけに今回のゲーム自身が残念だった。

 自分が他の弟妹と同じに扱われている。いや、弟妹ならまだいい、ベルダネウスとかいう数日前に現れた自由商人も同じ扱いなのだ。今までの努力と実績を否定されたような気分だった。

「あの自由商人は父とどんな関係なのか?」

 ベルダネウスはカブスの遺品を持ってきたというが、それだけで父があれだけ肩入れするはずがない。裏で何かつながっている可能性はある。出来れば自分で調べたかったが、別荘から出てはいけないという今の状況では難しい。実際、別荘から出てはいけないというルールは、明らかに参加者達が手に入れられる情報を限定するのが目的だ。

 スケイルは大きく深呼吸した。出来ないことを考えても仕方がない。今やるべき事は、鍵を見つけてこのゲームの勝者となることだ。

「待ってろよ。パパは勝ってみせるからな」

 娘の絵からは、妻の娘の姿が感じられた。

 しかし、事態は様々な経過を予測しておかなければならない。自分が勝つのが一番だが、他の者が勝つことも想定しなければならない。

(ジェンヌは私の実力をよく知っている。勝っても私を即追い出すことはしないだろう。しかし、自分の地位を脅かす存在として徐々に閑職に追いやり、いずれは追い出すことも考えられる。

 フェリックスは自分では働きたがらないだろう。話しの持って行きようでは、私を実質的な経営者として雇わせることも可能だ。だが、それだけはしたくない。あいつの下で働くのだけはごめんだ。例え名目だけであっても。

 ロジックは、喜気として私を追い出すだろうな。

 カリーナは……権利を全て私が買い取ることも可能だろう。だが、その場合はジェンヌと争うことになるだろう。

 けれど、どれも推測だ。実際に手にしたら、欲が出てきたなんて当たり前にある)

 スケイルはベッドに入った。こんなときではあるが、少しでも眠っておきたかった。

 ランプを消し、目を閉じる。彼の耳に、ここに来る時、妻が彼に耳打ちした言葉を思い出した。

「二人目が出来たの」

 父の死より、子供誕生の方が彼の心を上回り、自然と顔がほころんだ。


「私達、試されているってこと?」

 自室のランプを明かりを大きくしながらジェンヌはつぶやいた。

「死ぬ時ぐらい穏やかに死んで欲しかったわ」

 正直なところ、彼女にとって今回の別荘生活はいい休日になるとほっとしていた。成果と競争の日々からわずかでも解放されるのだ。

 ジェンヌは生まれた時から成果を求められた。彼女の母はメルサの貴族・サブリナート家の娘だった。グランディスの正式の妻となったのは彼女の母だけだ。

 だが、それはグランディスが彼女の母を愛していたわけでは無い。サブリナート家は没落貴族と言っても良いが、王族とのつながりは大きかった。そこを彼が目をつけ、口説いたのだ。その証拠にボーンヘッド商会が王族とつながりを持つにつれ、彼はサブリナート家とは疎遠になり、結婚当初は行っていた経済的支援も少なくなり、やがて全く行われなくなった。家を助けて欲しいという妻の哀願を彼は拒みつづけた。

 サブリナート家はジェンヌが十五歳になった当日に滅びた。屋敷で火事があり全焼。家族は全員焼け死んだ。唯一、ジェンヌだけがグランディスから「せっかくだ。食事に連れて行ってやる」と家を離れていたために助かった。そのタイミングの良さから、ジェンヌは今でもあの火事はグランディスの陰謀だと思っている。だが証拠はない。

 その後、グランディスはジェンヌにいくつも縁談を持ってきたが、どれも明らかな政略結婚だったため全て断った。

 それから彼女の戦いが始まった。グランディスの要求を断るには、それだけの力を持つしかない。ただの成果では駄目だ。女である彼女には、いつも妻となり、母となれという周囲の要求があった。それを撥ね返すには、男と同じ成果では駄目だ。男を超える成果を出さなければ。

 彼女はがしゃむらに働いた。並の社員ではかなわないほどの成果を出したが、商会にはスケイルがいた。スケイルがいるからお前はいらない。そんなことを言われないためにも彼女は彼に匹敵する成果を出し続けなければならなかった。

 それが彼女の地位向上につながり、今やスケイルと並ぶ派閥が生まれ、ボーンヘッド商会の幹部として、グランディスを支える存在になっている。

 しかし今、グランディスは死んだ。これで解放されるという安心感と、死んでもなおゲームという形で自分を操ろうという事に対する怒り。思い通りになるものかという反発と、今まで自分が気づいてきた地位などを失いたくないという気持ち。

 彼女もまた、なんだかんだ言っても今の仕事に充実を感じていた。

 このゲームに絶対勝つと言うほどの気迫はないが、むざむざ負けるのも癪だった。

(仕事の実績はほとんど無意味と考えた方が良いわ。でも、やはり一番の強敵はスケイル兄様。父様のやりそうなことはよく知っている。

 フェリックスはああ見えて抜け目がないわ。今後、自分を優位にするために案外本気で鍵を探しに来るかもしれないし、油断は禁物。

 ロジックはあまり気にすることはないと思うけど、一応動きには注意しておいた方が良いわ。

 カリーナは、最初から捜す気なんてないでしょうけど……)

 考えてジェンヌは慌てて首を振った。

(間違えないで。あたしの相手は兄弟じゃない。父様よ)

 部屋の明かりが徐々に小さくなっていく。ランプの明かりが切れかかっているのだ。

「いけない」

 慌ててランプに予備の油を補充する。明かりが戻り、闇が払われるとほっとする。

 暗闇は嫌いだった。

 子供の頃、グランディスにおしおきと称して倉庫に閉じ込められた。光の全くない闇。物はもちろん、自分の手すら見えない。

 ジェンヌは激しく首を振る。あの時のことなど思い出したくもない。いや、例え記憶の中でも、もう一度あんなことに身を置けば心が壊れてしまう。実際、あの後彼女の記憶はない。あの時も倉庫から出た時、彼女の心は完全に飛んでいたらしい。

 あれ以来、ジェンヌは闇が駄目になった。夜も月の光があればなんとか耐えられるが、それの届かない室内は駄目なのだ。だから、彼女は夜になっても明かりを消さない。

「負けたくない……」

 家族を奪い、闇への恐怖を植え付けた父・グランディス。あの男に奪われっぱなしで終わるのは嫌だった。

 このゲームが遺産を手に入れるためならばちょうど良い。

「最後は私が奪う側になってやる。他の誰にもその役はさせない」

 ジェンヌが浮かべた憤怒の笑みは、グランディスそっくりだった。


 ベッドに倒れ込んだフェリックスは大きく息をついた。

「面倒くせえなぁ。親父もこんなくだらねえゲームなんか止めて、子供達が山分けでいいじゃねえか。あんな自由商人まで入れてゲームなんてすんなよ」

 わかっていた。このゲーム、勝たなければ間違いなく自分はボーンヘッド商会から追い出される。

 彼の母は高級娼婦だった。最初からグランディスの金が目当てで彼に近づいたのだ。そして見事彼を身ごもり、出産した。

 グランディスは養育費と称して多額の金を出したが、彼の母はそれで満足しなかった。

 幼い彼を連れて度々ボーンヘッド商会に押しかけては結婚を求めた。グランディスはちょうど妻を火災で亡くしたばかり。その後釜に入ろうとしたのだ。

 そして、彼女はファズの東を流れる川に死体となって発見された。

「母ちゃんはやり過ぎたんだ。養育費で満足してりゃよかったのに」

 母の死は彼にとって、「まぬけな女がどじった」程度のものだった。

 それからフェリックスはグランディスに引き取られ、ボーンヘッド商会で働くようになった。ただ、彼がスケイルやジェンヌと違って仕事での成果をほとんど出せなかった。それも当然で、彼は

「仕事なんて面倒くさい」

 と、ほとんど働かなかったからだ。だから周囲も彼を重要な地位には就けなかった。でも、やはりグランディスの息子だからだろうか、地位の割には給金は高かった。普段からちょっとした贅沢が出来るぐらいに。

 フェリックスはそれで満足だった。へたに高い地位について仕事や責任に追われるのはまっぴらだった。ロジックのように仕事に取り組んで無様な失敗をやらかしでもしたら、追い出す格好の材料を与えることになる。

 スケイルやジェンヌの仕事っぷりなど、彼にとってはご苦労さん以外の何物でもない。それなりの給料がもらえれば地位が低い方が気楽で良い。なんだかんだ言ってもグランディスの息子と言うこともあってそこそこ女が寄ってきたし、彼もそれを利用して女遊びもした。人妻に手を出してトラブルになったこともあったが、会社の方でもみ消してくれた。

 おかげで女と別れるのに困ることはなかった。最近はわざと人妻と遊び、頃合いを見計らってわざと亭主に見つかり、ちょっとした追いかけっこ楽しんだ。刃物を持って亭主が追いかけてきても、彼もボーンヘッド商会で働いているのだ。いずれは泣き寝入りすることになる。おかげで彼の評判は悪いがそんなことは気にならなかった。中にはヤケになって自分を襲う者もいたが、こんな時のために習い身につけた空拳が役に立った。

 だが、グランディスが死んだとなれば事情が変わってくる。兄弟姉妹が自分を快く思っていないことはわかっている。誰がグランディスの跡を継いでも、やり方に強弱あるぐらいで、いずれも自分を会社から追い出すだろう。そうなれば収入も自動的にストップだ。

 小冊子によると、鍵が見つけられなくても失格にならなければ五十万ディルもらえる。しかし、

「五十万ディルぽっちで追い出されてたまるかよ」

 彼にとって五十万ディルなど一年分の生活費にもならない。蓄えなんぞほとんどない。

「なんとか俺が鍵を見つけるしかないか」

 鍵がどこに隠されているか。彼は真面目に探す気などなかった。答えを知っている奴から直接聞けば良い。

 三人の役人。審判役なら当然正解を知っているはずだ。セバスも知っているだろうが、彼が教えるはずはない。

 目当てはただ一人、女役人のカーレだ。もちろん普通に聞いて教えてくれるはずがない。審判役に選ばれた以上、かなり口の堅い女に違いない。冗談めかして聞くならともかく、強引に聞き出そうとして他の審判に訴えられたら即失格にされてしまう。

「一発勝負だな」

 チャンスは一度、その一度で彼女を陥落させ、鍵のありかを吐かせなければならない。

「……こいつを使うか」

 ケースから小さな革袋を取り出し、ピンク色のカサカサになった葉っぱをつまみ出した。


 部屋を歩き回りながら、ロジックは溢れる興奮を抑えきれずにいた。

「チャンスだ。これは父上が僕にくれた最後のチャンスなんだ!」

 鍵を見つけることが出来れば、ボーンヘッド商会の次期会長は間違いない。それはスケイルやジェンヌよりも上に立つことを意味する。

「来た。ついに僕が本気を出す時が来た」

 ロジックは荷物から黄金のメダルを取りだした。フライト王家の紋章を象られた物でに代々伝わる物で、翼を広げた精霊獣ヴァンクが彫られている。ヴァンクと言っても、先の物語でルーラ達が出会ったヴァンクとは違う。空に生得する「空のヴァンク」で、初代王が一度目の当たりにして、その麗しさに感動し、国鳥として崇めたのだ。

 これそが彼がフライト王家の血を引く証でもあった。

 彼の母はユーラシアといい、アクティブとの戦争で滅びたフライトという国の王族だった。国と共に王族は皆殺しにされたが、唯一、幼い王女だけは逃げ延びた。それがロジックの祖母である。彼女は王族を捨て、このメダルも王家の証と言うより、単なる親の形見として持っていた。そして一人の職人と結婚し、何の変哲もない市民として死んだ。

 しかし彼の母は王家の血筋を誇りに思い、現在の庶民と何ら変わりない生活はあまりにも理不尽なことといつも怒っていた。王族に相応しい生活をと贅沢を続け、家族から白い目で見られていた。

 彼女がグランディスに近づき、関係を持ったのも、ボーンヘッド商会の財力を利用して生活水準を維持し、あわよくばフライトを再興するためだ。だが、ロジックを産んでも彼はフライト再興には動かなかった。そんなことには微塵も興味を示さなかった。

 ユーラシアは怒った。彼女はグランディスが

「私のような庶民があなた様のような高貴な方を妻に出来るなんて。生涯をあなたのために捧げます」

 となるのが当然と考えていたのだ。

 怒ったユーラシアは商会の幹部達に働きかけ、グランディスに対し反乱を持ちかけた。フライト再興の暁には、貴族にするという条件で。だが、それに乗る者は一人もおらず、みんなから笑いものにされた。かつてフライトだった土地も、今は年寄りを除いてフライトに思い入れを見せる者はいない。フライトは、既に過去の忘れかけられている国だった。

 王族というプライドは庶民に笑われるという屈辱に耐えられなかったのか、ユーラシアは自ら命を絶った。

 それ以後、ロジックの生きる目的は偉くなって周囲を見返し、フライト王国を再興することになった。だが、彼は勢いだけで実力が伴わなかった。少なくとも、現時点ではそう評価されても仕方がない。独断専行による失敗の数々はさすがの家族もかばいきれず、つい最近、閑職に回された。

 だが、ロジック自身はそれを自分の失敗とは思っていなかった。

(みんなして僕の妨害をする。僕の血筋や才能がそんなにうらやましいのか)

 である。彼に言わせれば、自分の失敗は全てスケイルやジェンヌの妨害工作が原因であり、仕事仲間も妬みからわざと失敗しているということなのだ。

(仲間も閑職に回されるなんて言うけど、僕がいなくなればすぐに元に戻れるよう密約が出来ているんだ)

 そんな彼にとって、今回のゲームは、グランディスが自分の命をかけて用意した逆転のチャンスに思えた。さすがに失敗したのは事実だからそれをなかったことにして後継者にすると周りがうるさい。だからこうしてゲームをし、彼が後継者になるのを正当化する理由を作ったくれたのだと。

 ベッドに倒れ込むと、一人含み笑うロジック。

 彼の頭の中には、どうやって鍵を見つけるかという考えはなかった。とにかく、自分が見つけるのだ。それが確定事項なのだととしか考えていなかった。

 当然ながら、他の参加者のことなど頭になかった。


 別荘地下。階段を挟んで食材をしまってある倉庫とは反対側に浴室がある。今、その扉には「使用中」の札がかかっており、扉自体も鍵がかかっていた。

 小部屋の中には棚には大きめの籠がいくつも置かれ、上には乾いたタオルが積んである。そして通路側とは反対側にもう一つ扉があり、その奥は二、三人は充分は入れそうな浴槽があった。

 その浴槽には熱いお湯が張られ、ルーラがその身を肩まで沈めていた。

「あ~、やっぱり気持ちいいわ。ボーンヘッド家の人達には悪いけど、毎日入らせてもらおうっと」

 湯から腕を出すと、肌を湯が玉となって滑り落ちていく。

 さすがにグランディスがあんな死に方をしたその晩に、のんびり湯船に浸かろうという人はいなかったのだろう。遠慮して遅い時間を選んだのだが、モームの話だと風呂を使ったのはジェンヌだけだという。彼女たちメイドも風呂を使うが、さすがにもう誰も入らないだろうという遅い時間に限られている。

 肩どころか顎まで湯に沈め、ルーラはうっとりと目を閉じる。普段はお湯で濡らしたタオルで体を拭く程度、町によっては蒸し風呂に入る日々のなか、体をすっぽり湯に浸らせるのは本当に久しぶりだった。

 乾燥瓜で体をこすり、排水管が詰まるのではと思ってしまうほどの垢をこすり落とし、石鹸で全身を包むように洗ったせいで、体全体が新品になったような感覚がある。しかもここには髪用の石鹸まで用意してあった。髪全体が汚れのつまりが取れたようにすっきりしている。

「これだけ大きいなら、ザンと一緒に入れるなぁ」

 知らずにつぶやき、慌てて首を振った。

「何か、最近こんなことばっかり考えるな」

 誕生日で結婚の話が出て以来、この手の妄想をするようになった。妙に体がうずく。今まで以上に、彼が娼館泊まりをするのが不快になる。

 体が女になりたがっている。ベルダネウスの子供を宿したがっているのがわかる。

「欲求不満かなぁ」

 豊かに盛り上がった胸を持ち上げてみては、さすがに不謹慎だと息をついた。仮にも家の当主が自殺した夜なのだ。しかも残された子供達は遺産相続に絡むゲームに挑まなければならない。きっとみんなピリピリしているはずだ。

 いくら人の死を何度も目の当たりにし、すっかり慣れてしまったとはいえ、こんな時にこんなことを考えるのは無神経すぎると思い、反省した。

 浴室から出たルーラは、濡れた体を乾いたタオルでぬぐう。一拭きで肌の湯の玉が綺麗に拭き取られていく。汗臭さが消え、代わりに微かな石鹸の香りがする。

「まさか下着まで用意してくれているとは思わなかったな、しかもこれ、絹製だよ」

 別荘側が用意した真新しい絹製の下着を身につけた。至れり尽くせりもここまでくるとちょっと気持ち悪くなってくるが、せっかくの機会だからと、遠慮なく贅沢に浸ることにした。

 もう一度浴室を見る。言われた通り湯は落としたし、髪や垢が残っていないことも確かめる。

「ん?」

 部屋に戻る途中、厨房に明かりがついているのに気がついた。

 誰かいるなら紫茶でももらっていこうとルーラがそちらに行くと

「ひどい。最初から約束なんか守る気はなかったんだわ。あたしを騙したんだわ」

 カリーナの声だった。扉越しなので聞き取りづらいが間違いない。

 思わずルーラの足が慎重になる。気づかれないように、そっと厨房に近づいていく。

「お願いだから、そんなことを言わないでください」

「あたしに嘘をついた事実は変わらないわ。絶対に許さない」

(痴話喧嘩?)

 知らず知らずのうちに、ルーラは耳に神経を集中させ、扉に耳を寄せた。さすがに扉を開けるのははばかられた。

「落ち着いて。すぐ感情的になるのは君の悪い癖だ」

 相手の声はヒュートロンだった。

「カリーナ!」

 一際大きな声と共に、勢いよく扉が開き、ルーラの耳を直撃した。

 たまらず耳を押さえで後ずさる彼女を、扉から顔を出したカリーナが唖然として

「ルーラさん?」

「あ……こんばんわ。紫茶、もらえません?」

 耳を押さえながら、ルーラは気まずそうに笑うのだった。


「そうですか、お二人はそういう仲だったんですか」

 並んで腰掛け、気まずそうにうつむいているヒュートロンとカリーナを、ルーラは紫茶をすすりながら見比べた。

「別に隠さなくったって。お嬢様と専属料理人の恋なんてよくあるんじゃないですか」

 ルーラから見れば、どんな関係だろうとお互い好き合っているのはうらやましい話である。

「父さんが許すはずないです。あたしのことは、政略結婚の道具に使うつもりだったんですから。あたしは姉さんと違って仕事で優秀なわけじゃないですし」

「でも、そのグランディスさんも死んでしまった」

「変なゲームの参加を強制して。あたしが一番怒っているのは、父さんがこのゲームを母さんの墓参りより優先したことです」

「そう言えば、ヒュートロンさんの店の前でもめた時もそんな事言っていたけど」

 ヒュートロンとカリーナの話しによると……

 カリーナの母はシャマラといい、ファズの端の方で小さなパン屋を営んでいた。そこへボーンヘッド商会を興して間もないグランディスはよくパンを買いに来ていた。夫を亡くし、店の経営が苦しい時に彼は多額の援助をした。その過程で二人は関係を持った。

 だが、ボーンヘッド商会が大きくなるにつれてグランディスの性格は変わっていった。他にも多くの女と関係を持ち、子供を産ませていたことを知ると、シャマラは次第に彼を恐れるようになった。だが、その時にはすでに彼女のお腹にはカリーナが宿っていた。

 シャマラはファズを離れ、遠く離れた別の町でカリーナを生み、新たな生活を始めた。この辺の所はスケイルと似ている。違っていたのは、彼女はとことんカリーナのことを隠し続けたことだ。だが、三年前にそれはグランディスの知るところとなった。

 あとはスケイルと同じである。突然、シャマラは事故に遭い、パン作りが出来なくなった。カリーナは母を養うためにボーンヘッド商会に入ったのだ。だが、スケイルと違って彼女はどうしても仕事になじめなかった。

「そして先日、母が死にました。せめて、せめて母の墓前で一言、つらい思いをさせてすまなかったと父に言って欲しかった。父は時間ができ次第、そうすると約束してくれました。

 うそつき!

 母の墓参りなんてする気なんてなかった。このゲームのための準備をしていたんです。そして母のことなど一言も触れずに、勝手に自分で死んでしまった。もう、あたしがここにいる理由はありません。あんな男の用意したゲームなんかに参加してたまるもんですか。明日になったらここを出て行きます。失格にでも何でもすれば良いです。会社だって辞めてやります」

「それはもったいないです」

 背後の声に、ルーラは驚いて振り返ると、入り口にポットを手にしたベルダネウスが立っていた。

「失礼、紫茶を入れるお湯が欲しかったのですが、声が聞こえたものでつい聞き耳を立ててしまいました。無礼をお許しください」

「メイドを呼べばよかったのに」

「自由商人をしていると、細かな用事は自分でする癖がついてしまいまして」

 ベルダネウスはポットをテーブルに置くと、手近に椅子に腰を下ろした。

「お節介を承知で申し上げます。カリーナさん、会社はやめても、ゲームはやめない方が良いです。何もしなくても五十万ディルが手に入りますし、何かの弾みで鍵の場所を見つければ遺産の大半が手に入ります」

「そんなお金いりません」

「会社を辞めた後のことを考えてください。お母さんの跡を継いでパン屋を目指すのか、独自の道を目指すのかわかりませんが、なんにせよ当座の生活費は必要です。もらえるお金はもらうべきです。それとも、あなたはすでに即、独り立ちできるほどのパン職人としての技術があるのですか? それとも、ヒュートロンさんの妻となって家庭に入るんですか?」

「それは……」

「一人前になるまで、どうやって生活するんですか? お金があれば幸せになれるとは言いませんが、世の中の不幸の大半はお金で回避できます。生活に必要なお金は確保すべきです」

「こんな会社のお金なんて!」

 睨み付けられ、ベルダネウスは哀しげに目を伏せた。

「カリーナさん。

 私たち自由商人にとって、お金は全てと言って良いです。商売でお金がたくさん手に入ればうれしくなるし、失敗して懐が寂しくなれば悲しくなる。お金があれば次に商う品物や訪ねるお客様にも幅が出来ます。お金がなければ出来ることも限られてしまう。

 私たちはお金によって笑い、哀しみ、未来を夢みて歩く道を決められる。お金は私たちにとって友であり、仇であり、愛すべき存在であり、憎しみの対象でもある。お金は人間にとって家族と言って良い存在なんです。

 金は使っても使われるな。お金のつきあい方一つで、人は幸せにも不幸せにもなる。だからこそ、『お金なんて』などと言わないでください。お金への憎しみは、様々な不幸となってあなたに返ってくる。

 お金を、自分が幸せになるための相方とするためにも、あなたはゲームに最後まで付き合うべきです。そして五十万ディルもらって、会社の退職金をもらって、それを自分が幸せになるために使うべきです。

 お金がないためつかめない幸せはあっても、お金があるためにつかめない幸せなんてないんですよ。

 グランディスさんを嫌っても、お金は嫌わないでください。ましてや、商会のお金はそこで働く人達の頑張りの結果なんですから」

 哀願するような彼の姿勢にカリーナもさすがに気が引けたらしい。

「……わかりました」

 うなだれると、もう休むと自室に戻っていった。

「ありがとうございます。彼女、母が倒れたという報告を受けてから、ああなんです」

 ヒュートロンは礼を言うと、二人に紫茶を入れた。

「彼女と結婚するんですか?」

「いずれは。でも、今は自分の店を持つ準備で精一杯です」

「そういえば、あなたへのゲーム参加の報酬は」

「二百五十万ディルの現金及び、サブリック通りボーンヘッド商会第三営業所跡地。お察しの通り、店を出す土地と開店資金です。何とか店を成功させて、彼女と新生活に入りたいものです」

 彼が入れた紫茶は、ほんのり甘かった。


※次回更新「一日目、ゲーム開始」

 ゲームが始まり、最初の鍵発見宣言がなされる。

 悲惨なゲームは他人事であるほど楽しい。


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