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22/22

【22・エピローグ、馬車一台分の荷物】


 一同が別荘からファズに戻ってから、ジェンヌは多量の事後処理に追われることとなった。相続関係の手続きのような手続き上のものから、スケイルの遺族への説明など人間関係まで。特に今までスケイル側についていた幹部達の処置について彼女は悩むことになる。

 別荘での出来事から少し休んでからという声もあったが

「みんなが商会の未来について不安になっている。こんな時だからこそトップが胸を張って見せないと」

 と、むしろ積極的に動き回った。

 そんな彼女にロジックとヨロメイも手伝おうと言ったが、二人は治療のためほとんど軟禁状態で治癒に専念、ようやく仕事に復帰したのはファズに戻って三日目だった。

 ベルダネウスとルーラは戻ってからボーンヘッド家のお世話になっている。ベルダネウスが治療に専念するためにもそれが良いという判断だったし、反対の声は出なかった。無理がたたったのか、彼の治癒は二人に比べて時間がかかり、こうして日常生活が普通に出来るようになったのはここ数日である。

 ファズに戻って十日目。様々な仕事をある程度こなし、やっと一息つけたジェンヌは自宅のベルダネウスにあてがわれた部屋で、彼と二人、と向かい合って座っていた。

「レミレの正体、わかったわ。カブスの母親よ」

「子供達の母親は皆さん亡くなられたと聞いていましたが」

「カブスの母親だけハッキリしてなかったわ。他の母親の例から死んでいるだろうと決めつけられていただけで。どうして彼女だけ死から免れられたかはわからない」

「人質だったのかも知れませんね」

「人質?」

「母親が生きている限り、カブスはいつか必ず戻ってくるというね。母親が死んでしまえば、本当に彼がメルサに戻る理由がなくなってしまう」

「あるいは、父様はレミレさんを他の女達よりも深く愛し、死なせたくなかった。いずれにしても、真相は父様の心の中」

「そうですね」

 ゆっくりと立ち上がるベルダネウスに彼女は

「行ってしまうの?」

「私たちがファズに来てからもう二十日以上経っています。さすがにこれ以上の長居は出来ません。次の仕入の予定もありますし、せっかく手に入ったものを見せたい人がいます。明日の葬儀には出席させていただきます、ロジックさんがルーラのために作らせている皮鎧の完成が明後日になるそうなので。出発はそれを受け取ってからということで。

 本音は葬儀が終わったらそのまま退散したいんですけどね。いろいろうるさくなって来ましたし」

 ある程度動けるようになった彼に、ボーンヘッド商会の関係者や王宮の関係者らが何人もが話を聞こうと接触してきた。みんなゲームの具体的な中身を知りたいのだ。ゲームに不審な点があれば、ジェンヌを攻撃する材料になる。

 それに対し、ベルダネウスは時にはぐらかし、時には今後はボーンヘッド商会と協力体制を整えた方が王族にとっても利益になると逆に説得した。それが効いたわけではないだろうが、どうやら商会と敵対する人達も、とりあえずジェンヌ体制の方向を見極めるまでは様子見、ということに落ち着いてきたらしい。

「このままメルサに留まってはもらえないの。それなりの地位は用意できるわ」

「前にも言いましたが、会社にはあなたをこれまで、そしてこれからも支える人達が何人もいるはずです」

「あなたもその中の一人になって欲しいんだけど」

 命令と言うより懇願するような彼女の目に、ベルダネウスは困った表情を浮かべ

「わかっているはずです。私は、あなたにとって災いにしかならない。特に私を重要な地位に就けたら大騒ぎだ。

 あなたと敵対する側にとって、私の存在は格好の攻撃材料です。ちょっと調べれば、私が過去、どんなことをした男なのかはすぐにわかる。当然、責める側は私の資質と罪、そしてそんな私に肩入れするあなたの任命責任を追及しますよ。

 他の人達だって私の過去を知れば、こんな男が自分の上に立って命令を下すのかといい気はしない。あなたはこれからボーンヘッド商会の会長として様々な責任を背負い、困難に立ち向かわなければならない。

 いまは無用の災いは避けるべきです」

「そんなのは気にしないわ」

「私は気にします。私にあなたの足を引っ張らせないでください。それに、私にボーンヘッド商会の仕事は荷が重すぎる。私が背負えるのは、せいぜい馬車一台分の荷物です」

 口調こそ哀願調だが、そこには絶対引かないという意思が感じられた。それを彼女は感じ取ったのか、ゆっくりとうなだれ

「鍵なんて、見つけなければ良かった、兄様が跡を継げば良かった」

「そんなことを言わないでください。先頭を走る人や頂点に立つ人が弱音を吐く姿なんて誰も見たくありません。空元気でも根拠のない自信で、胸を張って自分に任せれば大丈夫。そんな態度を取ってください」

「そんな態度ばかりでは疲れるわ」

 彼女は彼の隣に座り、もたれるように頭を彼の肩に預ける。

「あなたにいて欲しい」

「周りを見てください。あなたが頼りにすべきなのは私ではありません。私をこれ以上苦しませないでください」

 見つめ合う中、彼女の目が潤む。

「ずるい」

 ベルダネウスの目から力が消え、静かに彼女を抱きしめる。

 抱かれたままの彼女が静かに顔をあげ、目を閉じる。

 二人はしばし相手以外のことを忘れた。


 バールド教会の鐘の音がファズの町に響き渡る。

 グランディスとスケイル、フェリックスの葬儀は、一代にて国家にも負けないほどの大きさにまでボーンヘッド商会を育て上げた人物とその家族とは思えないぐらい、質素なものだった。

 葬儀の後、参列者が皆立ち去った後も、スケイルの妻子は墓の前から動こうとはしなかった。

 その後ろでは、ロジックが無言で立っていた。かけるべき言葉を探しながらも、どうしてもうまい言葉が見つからない。

「叔父さん」

 娘が見上げる目は彼を責めていた。

「どうしてお父さまを守ってくれなかったの。王子様なんでしょ。王子様ってみんな格好良いのよ。強くて、優しくて。ちょっと落ち込むこともあるけど」

 ロジックはゆっくりと彼女の前に片膝をついた。

「そうだよ。だから僕は今落ち込んでいる。僕は兄上が命をかけてまで守るほどの王子だったんだろうかってね。だから僕は、それを無駄にしないためにも、兄上が命を張って守ってくれたことを誇りに思えるぐらいの人間になってみせる」

「本当?」

「本当だ」

「約束してくれる?」

「ああ、約束する」

 姪の手を取ると、その甲にゆっくりと口づけをする。

「ロジック・ボーンヘッドの名にかけて」

 立ち上がる彼を、スケイルの妻は静かに見つめた。その手は、新たな命の宿ってる自分のお腹をさすっていた。

「義姉上、元気な子を産んでください。その子が生まれて良かったと心の底から言えるように、私はそのために歩みます」

「信じていいのですね」

「信じてもらうには、今までの僕はあまりにも愚かすぎました。でも、その愚かさの結果を決して忘れません」

「今のあなたには、まだ言葉しかありませんよ」

 その言葉は今吹いている風同様、冷たかった。

「わかっています。言葉以外のものはこれから少しずつ作り上げるしかありません」

「わかりました。今はこれ以上のことは言いません。ただ、あなたを助けるために自ら犠牲になった夫は正しかったと信じます」

 冬の風と共に、彼女は娘の手を取っていった。風には春の兆しはまだ感じられなかった。

「ロジックさん」

 今まで距離をおいて見ていたルーラがやってきた。

「ルーラさん」

 彼は去りゆく義姉と姪の背中を見つめながら

「僕は忘れない。あのゲームの中で、僕が何を思い、何を考え、何をしたのか。その結果どうなったのか。決して忘れない」

 無言でルーラは彼の背を軽く叩いた。それが彼には彼女からの餞別に思えた。

「明日、ここを発つのですね」

「うん。今夜、ヒュートロンさんが腕を振るってくれるって。バルボケットさんやヨロメイさんも来るって」

 楽しげに笑う彼女に、彼は寂しげな、しかし真剣そのものの顔を向ける。

「このままメルサに留まってはもらえませんか」

 今まで見たこともない彼の顔。上からの命令でも、下からの哀願でもない。ルーラにも、その意味はわかる。ずっとずっと言ってもらいたかった言葉。けれども、その言葉を口にして欲しいのは彼ではない。

「ごめんなさい」

 彼女はそっと背伸びすると、唇を彼の頬に触れた。

「ここまでしか応えられない」

 済まなさそうな彼女に、ロジックは静かな笑顔を向け

「今のところはでしょう。僕も諦めが悪いんです」

 一礼すると、彼は早足で去って行く。これ以上この場に留まっていれば、決心が鈍るかのように。

 建物の陰に入り、誰からも見えなくなると彼はそっとルーラの唇が触れた頬に指をやり、思わず顔をほころばせた。


 ベルダネウスとルーラの出発の日が来た。

「約束の包丁セットを十。ゲーム参加料、移動日を含めて九日間で九万ディル。確かに」

 ボーンヘッド商会本部の馬車置き場で、ベルダネウス達は約束の報酬をもらい、領収書にサインをして返す。約束のもの以外にも、彼がここ数日で仕入れた様々な商品が馬車の半分近くを埋めている。その中に「勇者グランディスの冒険」をはじめとする別荘の書物が含まれていたのは言うまでもない。

 二人を見送るため、あのゲームの場にいた人達が集まっていた。ルーラとロジックだけは皮鎧の受け取りのため、ここにはいない。

「それと、これは報酬とは別に。戻ってからも足止めしてしまった分」

 ジェンヌに言われて、モームがディル硬貨の入った革袋を出した。ちなみにモームはゲーム終了後、ボーンヘッド家でメイドとして働いている。

「怪我の治療ですから足止めとは違いますが、断るのも何なので」

 こういうときは「もらえる物はもらおう」とばかりに遠慮無く受け取るのがベルダネウスである。あっさり受け取ると、重みでいくら入っているかを推察する。

「それとこれも」

 とジェンヌが渡したのは、新しいマントである。受け取ったベルダネウスは軽く表面を撫で

「これは、火浣布のマントですか。」

「ボロになったものの代わり。中に極細の鉄糸を縫い込んであるから刃物に対しても身を守る助けになるわ」

 見ただけでわかる。このマントは明らかにこれまで使っていた物よりも薄く、質の良い火浣布が使われていた。鉄糸が縫い込まれているのにもかかわらず、これまでのものとほとんど重さは変わらない。内側には鞭を入れるためのポケットも付いている。

「それは助かります。ありがとうございます」

「これは私から。道中で召し上がってください」

 ヒュートロンが朱塗りの弁当箱を手渡した。箱だけでも商品になりそうな上物で、今すぐにでも中を開けたくなる。

「できれば開店日にお招きしたかったのですが」

 彼の店は、建物の受け渡し手続きが済んだばかりでまだ工事にすら入っていない。

「いつかまたメルサに来た時には予約を入れさせてもらいます」

「お待ちしています。それまでには、私もカリーナの残したレシピをいくつか生かしますよ」

 カリーナのレシピは素人の覚え書き程度だったが、中にはヒュートロンの興味を引くものもあった。彼はそれを活かした新メニューを作るつもりなのだ。

「その頃には、私ももう少し魔導の腕を上げますよ」

 これはバルボケットだ。

「自分が冷気魔導で食べていけることに安心して、他の魔導の鍛錬をしていないことを思い知りました。せめて治癒魔導と飛行魔導だけでもしっかり身につけますよ」

 この二つをもっとしっかり会得しておけば。そんな気持ちが彼にはあるらしい。

「おまたせ」

 そこへ新品の皮鎧を身につけたルーラがロジックと共に戻ってきた。

「すごい鎧ですね」

 バルボケットの単純だが素直な感想だ。

 彼女の体に合わせて作られただけあって、身につけていると言うより肌に張り付いているかのようで、前の皮鎧に比べて一回りスマートに見える。光沢はないが優しい色合い。灰色っぽい若草色だが、地味な感じは受けない。よく見るとうっすらと鱗のような紋様がある。

「これすっごいの。全然動きの邪魔にならないし、鎧着ているのも忘れてしまいそうなぐらい。袖や裾もしっかり止めてあるから、飛んでも服の乱れを気にしなくて良いし」

 軽く動いてみるが、確かに前に比べてキレがある。

「ちょっと見せてくれ」

 ベルダネウスが鎧の表面を撫で、驚きの表情を見せる。

「これ、まさかトリケラスの皮ですか!?」

 途端、ルーラの表情が固まった。遙か東の大草原地帯に生息するという四足獣トリケラスの皮膚は強度、柔軟性に優れ、熱、冷気に強く、雷も外に跳ばすように流してしまうという、四足獣の中では最強クラスと呼ばれている。

 その皮を使った鎧の強度は鋼の鎧にも勝ると言われており、正に皮鎧としては性能も値段も最高級である。ルーラも名前は知っていたが、実際に見たことはなかった。

「ええ、倉庫に眠っていた皮の在庫がのがあったので。このまま埃を積もらせるよりかはと思って」

 トリケラスのことを知っている人はそろって

(嘘だ)

 と思った。トリケラスの皮ならば、例え最初の予定が駄目になっても、変わりの買い手はいくらでもつく。倉庫で眠っているなど有り得ない。これは明らかにロジックが無理を言って仕入、彼女の皮鎧を作ったのだ。

 実際、ジェンヌは彼の言葉に口の端を緩めている。

「ちょっ、ちょっと困ります。こんな高いの。もらって良いものじゃないです」

「いえ、返されたところで、それはルーラさん専用に加工しましたから他の人には合いません。却って困ります」

 そう言われては、彼女も無理に返すことは出来ない。

「もしかしてこれも?」

 ベルダネウスが、先ほどの火浣布のマントを手にジェンヌを見るが、彼女は応えずにいたずらっ気のある笑みを返すだけだった。

「ルーラ、誰かに鎧のことを聞かれたら、模造品だと言っておけ。本物だと知られたら、それを目当てにお前を狙う奴が出てくるぞ」

「そうする」

 実際、高品質のトリケラスの皮鎧はそれだけで一財産になる。ベルダネウスの危惧も、決して考えすぎではない。

 少しもらいすぎたかなとベルダネウスが思った時、商会から男が二人出てきた。一人は布に包まれた細長いものを持っている。

「ジェンヌ様、グランディス様が頼んでいたものが出来たとこの者が」

「よかった、間に合いましたよ」

 細長い包みを受け取る。何だろうと皆が好奇の目を向ける中、彼女が包みをほどく。中から出てきたものは、ベルダネウスやルーラに見覚えのあるものだった。

「カブスさんの剣。レミレさんから鍛え直しているとは聞きましたが」

「ええ。確認してください」

 剣を手渡され、戸惑い気味にベルダネウスは剣を抜いた。刀身にかつてあった無数の傷は綺麗になくなり、新たな光沢を見せている。

「本当にカブスさんが使った跡を消してしまったのか」

 不快そうに唇を噛む。

「どうぞ持っていってください」

「これはカブスさんの形見です。ボーンヘッド家が所有すべきです」

 さすがに戸惑うベルダネウスの胸をジェンヌが軽く叩く。

「あなたは、カブスがこの剣を居間の飾りにすることを望んでいると思っているの?」

「そうですね。剣は戦う者が手にすべきです。けれど私は商人です。私が持っていたら、この剣を誰かに売ってしまうでしょう」

「あなたの言う誰かとは、きっと戦いに誇りを持つ戦士なのでしょうね。きっとカブスも満足すると思うわ。それと、最後にもう一つ」

 ジェンヌが馬車に積まれた包丁セットの箱を指さし

「あれが売れたら、どこの誰に売ったのか連絡しなさい。人を出して、その後の使い心地や問題点の聞き取り調査をさせるわ。買った人も人間ならば、思いもかけないことで刃が欠けさせるなんてこともあるでしょうし。もちろん、カブスの剣も同様に」

「それは良いですね。サークラー教会を通じて連絡します」

「あなたが来なさい」

「え?」

「あなたが直接報告しに来なさい。この私に」

 一瞬、きょとんとしたベルダネウスに、周囲が一斉に笑い出した。

「それはいい。売りっぱなしで後は知らんぷりなんて、自由商人としてあるまじき無責任な態度だ」

「そうそう。是非ファズまで報告に来てもらわないと」

「ベルダネウスさんが直接ね」

「ちょっと待ってください。私がここに来るまでどれだけかかったか」

 しかし皆はそんな異議には聞く耳もなく

「二回目以降は慣れているし、それほど苦にもならないでしょう」

「新規開拓に良いですよ」

 とむしろ楽しんでいる。

「待ってるわ」

 そう言うジェンヌの目は男を待つ女の目だった。

 二人の間に流れる男女の空気にかまわず、グラッシェが自分もいるぞとばかりに嘶いた。

「忘れてないわ。グラッシェ、あなたにもお世話になったわね。特に最後はあなたにすっかり助けられた」

 なだめるように声をかけたモームに、グラッシェがどんなもんだいとばかりに再び嘶く。

 時を知らせるサークラー教会の鐘が鳴る。それが合図であるかのように、ベルダネウスが御者台に上り、ルーラが馬車の屋根に登る。二人のお定まりの指定席だ。

 グラッシェが馬車を引く。次なる町へと向かって。

「ザン、本当に良いの?」

 屋根からルーラが御者台をのぞき込んだ。

「ここに残れば、地位と安定した収入が手に入るわよ」

「それがどうした」

 前を向いたままベルダネウスは答えた。

「何度も言わせるな。私は自由商人だ。こんな楽しい仕事を捨ててたまるか」

 そう言う彼の顔は、まるで冒険小説の主人公のようだった。


 小さく手を振るジェンヌの目には、御者台のベルダネウスの姿は見えない。

「背負えるのは馬車一台分か」

 誰にともなく彼女はつぶやいた。

「その中には、あれも入っているのかしら」

 彼女の視線の先は馬車の屋根の上。ベルダネウスの分もとばかりに手を振るルーラの姿があった。


(遺産遊戯/終わり)


 長い間のお付き合い、ありがとうございました。

「遺産遊戯~ベルダネウスの裏帳簿・3~」完結しました。

 今作は自分の未熟さを感じさせられた作品でもあります。最初書いたプロットは書いている内に二転三転、さすがに大筋こそ変わりませんでしたが、別荘という舞台の中で、各キャラが私の予定とは違う動きを次々とはじめました。おかげで最初に書き上げた後、あちこち書き直す羽目になりました。

 キャラクターがプロットとは違う動きをはじめる。これは、プロットの段階では私が各キャラをつかめていなかったからです。各キャラの心情もつかめないままストーリーを作ったが故に、書き進めている内にズレが生まれ、どんどんそれが大きくなっていくのです。

 要はまだまだ未熟と言うことですね。


 そんな今作ですが、今回はぐっとファンタジー色は弱くなっています。ルーラが精霊使いである必要がないほどです。

 今作の基本姿勢は「不慣れなゲームマスターが仕切るTRPG」です。プレイヤーの勝手な、しかし筋の通っている動きに翻弄され、不慣れなゲームマスターが力業で無理矢理まとめようとする。私も以前覚えがあります。

 つくづく思いますね。他人というのは自分が思っているほど馬鹿じゃない。


 もともと「魔導人の心臓」は単発読み切りの予定でした。それが書いている内に主役の二人をもっと書きたくなり、それに伴い今作を書くに当たって、大雑把だった二人の過去を練り直しました。ルーラが元衛視とか、ベルダネウスの過去の悪事の具体的な中身とか。

 いずれそれに合わせて「魔導人の心臓」も書き直しておきたいです。

 これからベルダネウスとルーラの話は、しばらく短編で行くつもりです。

 次に長編を書くとしたら、ちょっと過去に遡り二人の出会いの話になるでしょう。書いている内に、これだけはしっかり書いておかないとと思うようになりました。ルーラの衛士時代も書いてみたいですが、本作が定着していないのに脇にそれるのはまずいので後回しです。

 今は二人の本作、一作一作、欲張らずに書いていくつもりです。


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