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15節 採用試験14 地下墓地第一講堂2

 目が覚める。

 起き上がり、無事を確認。

 ・・・さてどうしたものか・・・


 扉を蹴破りそのまま奇襲・・・なめんなとばかりにラリアット後、両断 失敗

 大型武器の弱点、懐に入り込む・・・懐に入るには素早さが足りない 失敗

 浄化魔法で目くらまし後突撃・・・邪魔な虫を払うかのように魔法を叩き落とされる 失敗

 振落しをギリギリで避けて反撃・・・そもそも避けれない 失敗

 ひっそり隠れて攻撃・・・ 目がなくてもよく見えるんですね! 失敗

 自分を信じて攻撃を受け止める・・・信じてたのに・・・ 失敗

 その後、正攻法に正面から突っ込む・・・失敗

 

 成果としては何度も死ぬ直前まで攻撃食らう事でだんだん目が慣れてきたというか・・・

 

 ・・・これ、ただの特訓じゃね?!


 何気にデロイさんのいってたアドバイスってあってたのか・・・・?

 試験に合格したらデロイさんには今度奢ってあげよう・・・・


 考えながら地下に降り試験会場に向かって歩く。

 兵士のスケルトンは完全にこっちを襲う気がないようで門番のように張り付いて立哨してるヤツ以外は自由に行動してる。

 ・・・おっさんみたいに肩をバンバン叩いてくるスケルトンはなんなんだ。 うぜぇ


 会場の扉を開き中に入る。

 部屋の中心には仁王立ちのフルプレートが待っている。


 奇襲とかしようとしなければ普通に待ってるんだよな・・・このフルプレート・・・

 隠れて入ろうとして隙間空けた瞬間にドロップキック食らった時は本気でびびったわ・・・


 さて、真面目にやりますか


 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・





「今日はここまでっ!」

「え?」


 何度目になるか扉の前まで来た時にクーデルカ様が待っていた。


「何時だと思ってんの?そして土臭い部屋の中で1日待たされた気分わかる?」

「すいませんでした・・・」


 どうやら黙々と挑戦しているうちにだいぶ時間が経ってたらしい。

 途中から思考ゼロ作業感覚で突っ込んでいってたな

 思えば途中から自由行動スケルトンが井戸端会議風のポーズから酒盛り風になってたな

 あれは仕事上がって酒場に行く的なニュアンスだったんだろうか・・・


 「とにかく今日は終わり。帰れ!」

 

 その言葉と共に俺は酒盛りスケルトンズに担がれ地上に戻るとそのまま礼拝堂から蹴りだされた。


 ・・・あれ、俺の立ち位置ってもしかしてスケルトン以下・・・?


 外に出ると日は落ちており、西側の空はまだ明るさが残っているものの星は見えていた。


 「・・・足元真っ暗なんだけど街明かりがある場所までどうやって戻れと・・・」



 酒盛りスケルトンさんが松明を1本分けてくれました。

 優しさが染みる・・・酒盛りスケルt・・・酒盛先輩ありがとうございます・・・


 

 宿に戻ると食堂はまだ開いてるらしく賑やかな声が聞こえてきた。

 いつもより遅い時間だったが大体同じメンバーが残っている。

 席の一つにデロイさんを見つけて声をかけた。


「こんばんわ、デロイさん。昨日はありがとうございました」

「ん? あぁ昨日のパン生地の・・・ヴァイトだったか?」

「・・・誰がパン生地ですか・・・」

「なんか今日はえらい・・・スレてんな・・・?」


 奢るのやめようかな・・・


「アドバイスは役に立ったか?」

「結果はわかりませんがデロイさんのアドバイス以外の事も思いつかなくなりましたので大人しく従う事にしました。」

「まぁ、死んで帰って来てないってのは正しいって事だ」


 ・・・本当だったら何十・・・何百回死んだかわかりませんが・・・


「なんだデロイ、知り合いか?」

「知り合いという程でもないんだが先輩としてアドバイスをな」


 デロイさんと一緒にいた冒険者が同じ席に移ってきた。


「俺はジャンってんだ。よくこいつと一緒に仕事してる。」

「ヴァイトって言います。先日、デロイさんにアドバイスして頂いたのでそのお礼にと思いまして」

「お礼?」

「一杯位奢ったほうがいいかなと・・・」

「・・・坊主・・・いや、ヴァイト」


 ジャンさんは急に目つきを変えて話かけてきた。


「なんです?」

「俺からもアドバイスが欲しくないか?」


 デロイさんが呆れた目でジャンを見ていた。


「お前・・・奢って欲しいからって・・・・」

「俺の今日の稼ぎ知ってんだろう・・・?」


 話を聞くと魔物討伐の依頼自体は達成したらしいが防具が破損して儲けが消えたらしい。


「で、今日の飲み代を奢って欲しいと・・・」

「おう、どうだ?」


 自信満々に後輩にたかる先輩ってどうなんだ・・・

 酒盛先輩を見習ってほしい・・・


「まぁ、いいですけど何を教えてくれるんですか?」

「むしろ、何を悩んでるんだ?」

「そっからかよ・・・」

「じゃぁ強敵に勝つ方法」

「冒険者ギルドに依頼しろ」

「そういうのは昨日デロイさんとやったので結構です」

「えぇ・・・」


 仲良しかっ


「なんだっけな。『すげぇ切れ味の大剣を持って、瞬きする間に接近されて切り飛ばす人を倒す方法?』だっけ?」

「なにそれこわい」


 なんだろうな・・・

 デロイさんが長身のナイスミドルなのに、低身長の横幅が広い髭モジャのジャンさんが横でボケるだけで芸人の会話のようだ。


「それも昨日やったので結構です」

「えぇ・・・」

「取り合えず、デロイさん一杯奢りますね?」

「いいのか?悪いな」


 女将さんにエールを頼むデロイさんの横で頭を悩ませるジャンさん。

 デロイさんがエールを飲む姿を見ながら机を指で叩きながら頭を絞ろうとしてるジャンさん。


 必死か。


「あー、あれだ」

「?」

「結構、昔なんだがな?」


 ジャンさんが話始める。


「前の王国騎士団団長の時代に入団試験で団長と良い勝負したヤツがいてな?」


・・・ほぅ


「まぁ一度の試験で受かった訳でなく何回も挑んだらしいんだがな」


・・・いいねぇ緩むよ・・・財布の紐緩んじゃうねぇ・・・・


「前団長って大剣使いだっけ?」

「結構有名だったぞ?」

「俺は騎士団に興味なかったからなぁ」

「一応、前団長は並ぶ者無しの剣豪と言われてたんだがなぁ・・・」

「で、その団長に勝ったのか?そいつ」

「勝ったというかなんというか・・・」

「なんか歯切れが悪いですね?」

「いや、そいつな?1回負けて剣技で敵わないって判断した後に剣技で勝つ事を諦めてな?」

「「はぁ?」」

「じゃぁどうやって騎士団に入ったんだよそいつ」

「そもそも団長に勝てないと入れないんですか騎士団」


 それって騎士団員増えないんじゃないか?


「いや、騎士団に入るのに別に団長に勝つ必要はないんだが」

「じゃぁなんで挑んでるんだよ、そいつ・・・」

「それは俺に聞かれても知らんが・・・」

「それはそれとしてどうなったんですか。その後」

「お、気になる?気になっちゃうー?」


 首を捻じ曲げながらにやけるな。きもい


「一杯奢れば口の滑りよくなりますかね?」

「分かってるぅ」


 女将さんに意気揚々とエールを頼むジャンさん

 俺も一緒にシードルを頼んだ


「で、そいつなんだがな?腕を磨くんじゃなくて体を鍛えたんだ」

「何が違うんですか」

「技術を磨くか、筋力を磨くかの違い?」

「はぁ?」

「筋力つけてどうすんだよ?」

「たしか・・・挑発してぶん殴った?」

「意味がわからねぇ・・・」

「確か前団長ってすげぇ真面目というか礼節を大事にする人でな」

「まぁ人の上に立つ立場だからそれは判るが・・・」

「失礼な事するとぶん殴りに来るんだ」

「それは礼節重んじてるのか?」


 あー・・・それであのラリアットとドロップキックか・・・

 いや、マジ本人か、あのフルプレート・・・


「だから頭にプッツんきてる団長の最初の一撃を全力で凌いでその後は剣振られんように全力でボコってた?」

「それ最初から最後まで全力じゃありません?」

「腕に関節キメた後は結構いい勝負って聞いたな」

「何がしたかったんだそいつ」

「最終的に『根性叩き直してやるっ!』って団長が騎士団に無理やり入れてな」

「それ、本人別に騎士団入りたくなかったんじゃねぇか・・・?」

「腕試しで喧嘩売ったようにしか聞こえない・・・」

「まぁ、最終的に剣技VS喧嘩殺法みたいな試合だったと聞いたぞ」

「それで勝ったと言えるかどうかってことか・・」

「おう」


 奢る価値のある話だったかなぁ・・・


「まぁ、その後そいつ武勲を立てて爵位まで貰ってるから団長の面目も保てたんじゃねぇ?」

「武勲を立てる要素あったか?そいつ」

「それは知らん。だが最後は筋肉がモノを言うってことだな。ヴァイト、筋肉はいいぞぉ」


 筋肉ねぇ・・・


 上腕二頭筋見せつけながらポーズ取るな・・・

 もう酔ってんのか・・・



 ・・・でも、1個思いついたな

 確認は必要だが・・・



「ジャンさん、ありがとうございます」

「おぅ、またなんかあれば相談になるぞ」

「時に、そいつ爵位貰ったんだよな?なんて名だ?」

「だいぶ前だったし、当代限りだったはずだからなぁ・・・なんだっけ」


 喧嘩殺法貴族が存続しても困るだろう・・・


「あぁ、そうそう確か・・・・・・クロウ卿!」



 俺は口に含んだシードルを全部噴出した。

ヴァイト 残金:金貨4949枚 銀貨44枚 


     冒険者ランクE




 スキル 浄化系魔法


     一般的な武具取り扱い




装備品


     頭:なし


     体:普通の服 ☆0


     右手:怪しいナイフ ☆?


     左手:怪しいメリケンサック ☆?


     足:普通の皮靴 ☆0




雑貨   種火用火打石セット

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