12節 採用試験11 自分の在り方4
朝食より山盛りになっている夕食の皿を前に考えを巡らせていた。
資料作り ・・・ 破格な報酬 ・・・ 即死するレベルの試験から始まる仕事
いや、そもそも自己防衛でも戦力過剰じゃない・・・?
冒険者専属 ・・・ 報酬実力次第 ・・・ 収入参考はその辺で他の冒険者に聞いてみる。
おそらく実入りはそれなりにいいはず。 ・・・体が動く間は。
王都に戻って騎士団入り ・・・ 安定報酬 ・・・ 戦争に駆り出し
そして集団墓地へってか・・・ないな
適当に事務仕事 ・・・ 報酬おそらく少なめ ・・・ 暮らしていけんのか?
鍛冶屋の親方に受け付け募集してるか聞いてみるか・・・?
う、うーん・・・今更だが騎士修道院で将来を考えるのと選択肢があんま変わってない・・・
若いうちに苦労しろというなら報酬高い所を選ぶのが正解なんだろうか・・・
「朝の坊主じゃねぇか?どうした?発酵中のパン生地みたいな顔してるぞ」
宿で食事を前に悶々と心折れかけていると朝、声を掛けて来た冒険者が絡んできた。
いや、パン生地みたいな顔ってなんだ・・・
「いえ、将来を思い悩んでおりまして・・・」
「なんだそれ、冒険者になってから悩むか?普通」
ペンダントになった簡易カードは無駄に周囲に冒険者という事を誇張するな・・・・
ブレスレットにすればよかった・・・
「まぁ、何があったかは知らんがEランクならそこそこ仕事したんだろう?一回や2回失敗した位でクヨクヨすんなっ!」
すいません・・・そもそも仕事もしてないもんで・・・・言えませんが。
「よかったら、食べますか?食欲がないもんで・・・手は付けてないですよ?」
目の前に鎮座してる山盛りの皿を冒険者に勧める。食欲がないのは本当だ。
「新人に奢られるほど落ちぶれてねぇよ。まぁ、人生と冒険者の先輩として相談位には乗ってやるよ」
恰幅の良い女将さんに同じものを注文すると、その冒険者は同じテーブルについた。
本当に相談に乗る気らしい・・・
「俺はデロイ。一応Cランクだ」
「・・・ヴァイトと言います。Eランクです。」
「で、何を悩んでいたんだ?飯も食わずに」
「いえ・・・仕事内容と収入のバランスと将来性を色々と・・・因みにお聞きしたいんですがCランクってどれ位稼げるんですか?」
「なんだ?依頼を成功して赤字にでもなったか?まぁそういう時もあるわな。で、稼ぎだっけか。うーんそうだなぁ・・・Cランクが受けれる討伐依頼を単独でこなして30日でだいたい銀貨200枚と素材分の代金とか?」
「なぜ30日基準なんですか?」
「そら、仕事場所が遠かったり、現地で時間かかったりするからな。仕事してる時間だけの稼ぎ教えるよりかはそっちのほうが参考になるだろ?」
「ごもっとも・・・」
「まぁ、最近はなんかギルドが羽振りよさそうでな。ギルドからの素材の買い取りとかは高いぞ?」
それの原因は貴方の前にいる人物と思われますがね・・・
でも、まぁ30日で銀貨200枚・・・素材買い取って貰って銀貨300枚ってところか・・・?
金貨5000枚と銀貨300枚かぁ・・・はぁ・・・
「何を思い悩んでるかは知らんがこれでもこの町では結構稼いでる方だぞ?稼げないやつはそもそもこういう宿にすら泊まれないからな?」
「そういう人はどうしてるんです?」
「もっと安い宿でタコ部屋に泊まるか野宿するかだな」
「ちなみに、その辺の店で受付とか店番として雇われたらどんなもんなんですかね?」
「いや、それは俺も知らんが・・・」
「この辺じゃぁ1日銀貨5枚位かねぇ・・・30日といっても休みもあるから130枚貰えれば良い方じゃないかね?」
デロイさんの注文を持ってきた女将さんが答える。
「でも、この辺はそんなに大きい店もないからねぇ・・・家族経営ばかりで人を雇うところがあるかどうかまでは分からないよ?」
そこまで言うとまたカウンターの奥に戻っていった。
金貨5000枚 > 銀貨300枚 > 銀貨130枚・・・
この宿が夕飯、朝食付けて銀貨6枚だろ・・・?
人並みに暮らすにはその辺で店員やっても暮らしていけねぇのかい・・・
「なんか絶望って顔してるけど、冒険者だって武器やら防具やら壊れれば赤字だからな?」
金貨60枚位の装備を半日で壊した人が世の中には居るらしいですよ。私です。
おおお・・・あと6日で試験乗り越えるしかねえのか・・・
「デロイさん」
「ん?」
「例えばすごい足元にも及ばない位強い敵がいるとして、短期間にそれを倒さないといけないとしたらどうします?」
「冒険者ギルドに依頼すれば?」
違うそうじゃない。
「あー、いや、それ以外で」
「仲間を集めて袋叩きにする?」
意外に此奴、屑なんじゃなかろうか・・・
「他の案でお願いします」
「相手の事を調べて、自分が強くなる?」
よし、ダメだなこれ。
「有難う御座いました」
「待て待て、諦めが早い」
「他に何かあります?」
「せめてもっと詳しい情報はないのか?それだけでアドバイスも何も出しようがないぞ」
うーん、言える範囲で詳しい情報か・・・
「すげぇ切れ味の大剣を持って、瞬きする間に接近されて切り飛ばす人を倒す方法?」
「何それ怖い」
使えねぇ・・・
「そんな目で見るな、おい。でも、まぁ後はあれだな」
発酵中のパン生地眼力だ、この野郎。
「なんです?」
「人間、何度も経験すると慣れるもんだ」
「?」
「瞬きする間に動き回る速さってのも慣れれば見慣れるって事さ。なんの依頼を受けたのか知らんがEランクの仕事だろう?流石に討伐依頼ではそんなのなさそうだし、試合とかなら慣れるまで何度でも挑めばいいんじゃないかね?」
・・・慣れねぇ
それはもう御膳立てに乗るしかないんじゃなかろうか・・・
ヴァイト 残金:金貨4939枚 銀貨48枚
冒険者ランクE
スキル 浄化系魔法
一般的な武具取り扱い
装備品
頭:
体:普通の服 ☆0
右手:
左手:
足:普通の皮靴 ☆0
雑貨 背負い袋 傷物
携帯食料等
水+携帯用皮袋
種火用火打石セット
止血用麻布




