花田幸男①
ちょっと、喉が乾いたな。それに腹も少しへった。そうだ、コンビニに寄っていこう。
とりあえずお茶とあんパンを手に取りレジへ。
あ?
僕は驚いた店員の顔は妖怪みたいだ。口元が少しにやけている。不愉快だ。
それに左胸のネームプレートには花田と表記されている。
「お客さーんさっきの見ーてましたーよ。」
この店員いったい何を言っているんだ?
「何の事だ?」
「やだなー、とーぼけちゃって。ほら、あれですよ、あれ。そーこそこ可愛い女の子に両手に持つ液体をぶっかけたやつですよー。」
こいつ、何なんだとにかくしゃべり方がウザいな。何で言葉の所々を伸ばすんだよ。それになぜかダミ声だ。
「五月蝿いぞ、花田。僕は急いでるんだ。早く勘定を済ませたい。」
「おやおや、つれなーいじゃなーいでーすか。もーっとおしゃべりしーまーしょうよ。」
花田は客と店員を隔てる台を乗り越え僕に抱き着き目を覗き込んでくる。
うわ、気持ち悪‼それと臭‼
想像してくれ、妖怪のような顔をした男にものすごい力で抱き着かれそのうえ顔まで覗き込まれている状態を。おまけに口臭が公衆便所のような臭いだ。
「は、離せ花田。何が目的だ。それに僕の性癖はノーマルだ。」
「いやーだなー。僕の性癖もノーマルでーすよ。ああ、でーも僕は女性の鎖骨が一番好きでーすよ。」
「ええい、黙れ。目的だ目的。目的を言え。」
糞が、花田なんてやつだ、思ったより強いじゃないか。
「だーかーらー、さっき言ったじゃなーいですか。何故あのようなことをしーたのかって」
やめろ花田、その所々で伸ばすしゃべり方を。
「わ、わかった。 しゃべってやるから離せ。」
僕は花田に負けた。 しかも、メンタルでだ。
くそ、一生の不覚だ。
「それで花田、何から聞きたい。」
「そーうですねぇー、じゃとーりあえずメルアド教えーてくださいよー。」
僕は花田にメルアドを教えてしまった。
「あーりがとうごーざいます。いやー、僕友達いーないんですよー。あなたが初めてですよ。意外でした?」
予想通りだ馬鹿野郎‼
「誰が友達だよ。」
「やだなー、あなたですよ。」