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ギフトラベル 改札通ったら異世界だった  作者: 三千百六
灰喜典子編
53/53

③Hope:toラベル

静けさが広がる岐阜の中心街の道路。


私が宙を蹴れば、ブーツのジッパーがチェーンとなって飛び出す。

鎖の一線が伸び、私の意思でしなる。

鎖を引き戻そうと思えば、ブーツに引き込まれ戻っていく。


「何となく、扱い方は分かったわ!」


……く


「よしっ」


私は周囲で一番近く、8階建ての高いビルに狙いをつけ、そのビル目掛け駆け出した。

本当、驚くほどに体が軽い。


ビルへ近付き、地面を蹴って思い切り飛び上がる。前に出した足先のブーツからチェーンを伸ばす。更にそれを操って先端の刃をビルの外壁に突き刺す。それを両足交互に繰り返し、ビルの屋上へ一気に駆け登った。


「中々、便利ね」


屋上から辺りを見回す。

特に綺麗な景色を求めている訳では無い。

星々が照らす闇夜の地平に、何かが蠢く。


それを見て危機感が逸る。

早くしないと、この世界も終わってしまう。


さっきのチュートリアルで私の中にインストールされたのは、鎖技師の所作だけでは無かった。


私は急いで岐阜駅を目指す事にした。

ブーツから延びる鎖を操り、ビルからビルへと渡る。空を駆けるように。


そうして、あと少しで岐阜駅に到着するという所で、私を目掛けてコンクリートの瓦礫が複数飛んできた。

否、私を目掛けて投げられたんだ。アノ鬼達に。


″《武技トラベル[刃千切りチェーン]》″


私は飛んできた瓦礫を武技トラベルによって粉砕した。


道路を挟んだホテルの対面、着んの信長像か設置されている広場に、煙のように影を漂わせる、身の丈3mはある笠を被った太い鬼が10体ほど居る。

鬼達は次の瓦礫を持って投擲の構えをとっていた。


″《武技トラベル[柔位置の戻り(イレブンバック)]》″


武技トラベルによって素早く地上へ鎖を打って移動し、滑るように鬼達へ近づく。


″《武技トラベル[縛り]》″


そして更に、鬼達の首を空間から出現させた鎖で縛っていく。


「かーらーのー!」


″《終トラベル[都落ち]》″


鬼達の首へ巻き付いた鎖の根元に、異空間へ続くワームホールが渦を巻いて現れそこへ鬼達を引きずり込んでいく。


「いっちょ上がり」


″《警鬼トラベル》を解決しました″

″DPを150pt獲得しました″

″GPを100pt獲得しました″


鬼を倒し、私は駅の中へ向かった。

そして広場の階段を上り、改札前のホワイエへ入った所で日本刀を多数所持した鬼と遭遇した。


「さっそく次のエンカウントね」


その鬼の顔面にある複数の目は、歪な並びをしている。


ジャマダ、ジャマダ、ジャマダーーー!!!!!


鬼は風切り音が暴力を伴う程の勢いで剣を振り始めた。

柱に当たれば、当然のごとく斬るではなく砕かれてゆく。


私は直ぐにラベルをセットする。


″《劇トラベル》″

″《激トラベル》″

″《撃トラベル》″


″…3chain!″


「さぁ、劇を始めましょう」


鎖の巨人が異空間から何十体と現れる。

《激トラベル》により、現れた鎖の巨人が強化される。


「直ぐに終わる劇だけど、ねっ!」


鎖の巨人の両腕がバスターとなり、眩い光を溜めて鬼を狙う。


「いっけぇ!!」


その放たれた激しい光はレーザーとなって鬼を貫く。

流石に光は斬れなかったようだ。


アッアッ……


″《刃鬼トラベル》を解決しました″

″DPを200pt獲得しました″

″GPを150pt獲得しました″


「けど、《層トラベル》は無かったか」


「じゃ、プレゼントだ。ギフトフォーユーってとこ」


″《層トラベル》が発動されました″


「誰っ?!」

「初めまして。けど、また会おう」


世界が重なり始める。

突然現れた男の姿もボヤけていて上手く認識出来ない。


誰が《層トラベル》を獲得しようと、私が成さなければいけないことに支障はない。

問題は、このボヤけた男が任意で発動させたように見えたこと。


まだ、私の冒険は始まったばかりだ。

ゆっくりとはいけないが、徐々に行こう。


運命を、鎖で縛りに。


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