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ギフトラベル 改札通ったら異世界だった  作者: 三千百六
新屋格編
3/53

③ガチャとラベル

"良い旅を"か。

常日頃こんな異世界を待っていた。


俺は、ハンドブックを閉じて、静かに妄想を膨らませる。


この異世界は、さしずめ元居た世界に戻るために、

″《トラブルトラベル》″によって引き起こされる現象を解決しまくれってのが目的か。


よし、気を取り直してさっきの5㎝四方のラベルが、何のラベルだったのか確認しよう。

もしかしたらチート能力の得られるラベルかも知れない。


ギフトカタログの代わりに説明書とラベルが入っているのだろうと思いながら、箱に手を突っ込みラベルを手に取る。

ラベルの背景には、虎の顔が彫られた鐘の絵があった。


虎とベル......


書かれていた文字は″《ガチャトラベル》″

説明書には無かったラベルだ。


武器トラベルでは無いが、

このラベルも捲れば使用できるのか?


″《ギフトラベル》″は、箱に貼って効果が出る。なら、″《ガチャトラベル》″も箱に貼れば中に違うラベルが出現するのかもしれない。


「よし、捲ろう」


俺は、″《ガチャトラベル》″を捲った。


すると、捲ったラベルが粒上の淡い光となって、目の前まで上がり、

今度はその光が球体となりバチバチと光った。


「捲るだけで良かったのか」


バチバチとした光が収まっていく。

自ずとテンションが上がる。


「さぁ来いっ!初回ガチャはスーパーレア確定!チート武器こそ異世界の定番だ!」


光が収まり、武器が出現した。


刀だった。


何の変哲も無い、刀。


「えっ、刀?」


剣道も学校の授業でかじった程度の俺に刀が扱えるのだろうか。

鞘から刀身を出す。

きちんと銃刀法違反で逮捕されるヤツだ。


かと言って、銃が出ても扱えはしなかったが。

もっとこう、特撮ヒーローの光線銃とか、何でも斬れるレーザーブレードみたいなのが良かった。


これじゃあ、その辺の鉄パイプの方が余程実用的な気がする。


とにかく台紙だ。武器が出てきたのだから、台紙をセットしよう。

″《武器トラベル》″で出現させた武器では無いけれど、セットできるのだろうか。


台紙のセット方法が分からなかったので、台紙を刀に近付けてみると、

先程の″《ガチャトラベル》″と同様に粒上の淡い光となり、台紙だった光は刀に吸い込まれていった。


すると目の前に、台紙がホログラムの様になって現れた。

これはあれだ、定番のステータスボードでは無いだろうか。

いや、メニュー画面だな。


そういえば、異世界に来たのに、ステータスと呟くのを忘れていた。


「ステータスオープン……」

ぼそっと呟いてみたが、全く変化なかった!


出現したメニュー画面に何か書いてある。


"台紙がセットされました"


上手くいったようだ。矢印が出ていたので触れる。

画面がスライドし、次のページが現れた。


特にステータスのような数値化された能力表は無かった。

メニュー画面には次の項目があった。


・ラベルセット

【】

・レーベル

【庶民】

・DP

【0pt】

・GP

【0pt】

・特典

【台紙Lv1】【貼付Lv1】


よし、順調に異世界ファンタジーだ。


「ガアアアァ!」


メニュー画面を見ていると、電動ドリルの様な低く鈍い音がした。


音のした方を見ると、異世界にはお約束のトロールが出現していた。


岐阜駅改札前から外に出ると、北側にある柳ヶ瀬商店街へ続くデッキがあり、奴らはそこにたむろしていた。


高さは160cm位、全身毛むくじゃら、ゴリラのような筋肉付き、尖った鼻先、大きな口と牙。


見た目は醜悪で、まずアレに勝つなんて無理だろう。


直ぐに食われるわ。


今は、まだね。

直ぐに強くなってやるさ。せっかくの異世界なのだから。


トロールの数は十数体。

襲ってくる気配は、今のところ無い。

これが、″《トラブルトラベル》″の一定のエリアってやつか。


ギフトボックスを開け、説明書を読み、ガチャトラベルを使用して台紙をセットしたタイミングでのトロール出現。

なんだか計られたタイミングに思う。


つまりこれは、あれだ。


「ゲーム開始ってことか」


何時。

自分のいる場所に、

″《トラブルトラベル》″が出現し、そのエリアに入ってしまうか分からない。


また。

逃げてばかりいても、

″《トラブルトラベル》″は攻略・解決し続けなければ、

そこら中、″《トラブルトラベル》″だらけになり、


ゲームオーバー


俺は取り敢えず、もっと簡単なトラブルトラベルを探すことにし、その場を離れた。


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