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ギフトラベル 改札通ったら異世界だった  作者: 三千百六
神室迅編
28/53

⑧42とラベル

神々しく天使達は羽ばき、ゆったりと浮遊している。

その数多13体。


身長は2m程、目を閉じ、優しさの笑みが溢れているようにも感じる。


神室達が足を踏み入れた42階に広がる、平原と空。

これらすらも″《トラブルトラベル》″の効力なのだろうか。


神室は【虎牛の眼】をもって原因の″《トラブルトラベル》″を探す。

すると、小さな光の点を見付けた。


それは、この異空間にあって余りにも遠い位置に″《トラブルトラベル》″があるということだった。


また、神室が懸念したのは、いずれかの″《トラブルトラベル》″を剥がした時、それがこの空間を広げている″《トラブルトラベル》″であった場合だ。


それを解決した瞬間に、

この広がっている空間において、ビルの外側の位置に居れば、42階の高さから落下することになるのではということ。


もちろん、空間が元に戻るだけで自分達はビルの中にいるのかもしれない。


それも、この天使達を振り切るか倒すか出来ればの話なのだが。


天使達が目を瞑ったまま微笑むと、吸血鬼かと思うような牙を剥いた。


「来るぞ!」


タケル、コウスケ、マナ、サツキも構える。

″《役トラベル》″


彼らも此処に来るまでにDPを稼いでいた。

神室が″《ギフトラベル》″を使用し、ギフトカタログを出す時間は峯島の脅威が迫る為、無かった。


四人ともDPを使用し各レーベルのラベルと、″《武具トラベル》″までを獲得している。皆、戦える。


タケル達から見ても、天使達に峯島程の脅威は感じられない。

いきなり、サブマシンガンをぶっぱなしてきたりしないからだ。銃を所持している峯島は、対人戦においてかなり有利と言えるだろう。


「くらえっ!」


″《武具トラベル[技士ギミック]》″

″《電気トラベル》″


タケルが天使に攻撃を仕掛ける。

[技工士の手甲]から無数の角が出現し、各々の角から、レーザー状に収束された電気が放たれ、天使達に向かっていった。


レーザーが13の天使達の羽を貫く。が、胴体部分は装甲が厚いようでダメージはあまり無く、依然浮遊したままだ。


タケルの攻撃を合図にして、天使達が目を開いた。

その目には邪悪な赤さがある。


天使達は、牙の生えた口を大きく開き、そこから光輪を放った。


「皆を守って!」


″《武具トラベル[青の指輪]》″

″《水トラベル》″


マナが[青の指輪]の効果により、″《水トラベル》″に手を加え、巨大な水の障壁を発生させ、光輪を防ぐ。


光輪は障壁に触れると爆散し、障壁から外れた光輪の爆発は地面を抉った。


神室は、これによってタケル達に恐怖心が芽生えていないか心配したが、杞憂だった。


「次は俺だ!」


″《武具トラベル[手繰り襷]》″

″《樹トラベル》″


コウスケが″《武具トラベル》″を使った瞬間、13の天使達は[渇望の槍]から伸びる布に巻き付かれた。

コウスケは、槍を地面に刺す。


槍が大樹の如く根を張り、天使達に巻き付いている布は植物と化し更に絡み付き光輪を吐き出させないよう、天使達の口を閉じさせた。


そして槍は、天使達ごと布であった植物を手繰り寄せる。


「最後は私ね!」

サツキが勢い良く飛び出し、渇望の槍から出ている植物を伝って天使達へと駆け上がる。


″《武具トラベル[天滴の針]》″

″《回転トラベル》″


[転の鞭]の先に針が飛び出る。

サツキはそれを、鞭を振るって天使達の頭上に、天に刺した。


すると、13の天使達に向かって空間がゆっくりと突出し、無数の針の形に整形されて行く。


「さぁ、私の天滴注射をくらいなさい!」


その無数の針が回転し、天使達の硬い表皮を刺し貫いた。


13の天使達は灰色の煙となって霧散した。

″《堕天使トラベル》を解決しました″


結局、神室の出番は無かった。

「ピッピピ」

「彩ボールも驚いてるよ。まさか君らだけで倒せるなんて」


神室はタケル達を誉めた。

「神室さんのおかげですよ。それに、ほとんど″《役トラベル》″の力ですし」

コウスケは謙遜して言った。

タケルが勝利を喜んでいる中、マナとサツキの会話も聞こえる。


「サツキちゃん格好よかったよ!」

「あら、マナこそ。守ってくれてありがとう」


「まさか、俺達もこんなに戦えるようになるなんてな」

タケルは興奮気味だ。


「今なら峯島でも倒せそうだぜ!」

タケルがそう言うと、不穏な声が響く。

神室は、やはり復活し追ってきたかと身構える。

前回よりも禍々しい凶気のオーラを纏った、峯島が現れた。


「じゃあ、試してみな。小僧共!!」

峯島が間髪入れず、サブマシンガンを乱射する。


神室は、峯島が現れた時点で、彩色のβソードを光球にしていた。

そして、峯島が引き金を引くより早く、

光球を彩色のχ(カイシールド)へ変化させて銃弾から皆を守った。


「彩ボール!」

「ピッ!」

神室が叫ぶと彩ボールが反応し、峯島を襲うがやはり軽くあしらわれる。


「皆、頼む!」

神室は防戦一方になっては不味いと、タケル達に応戦を頼んだ。

タケル達も覚悟を決めそれぞれ返事した。


″《武具トラベル[手繰り襷]》″

コウスケが再び槍から布を伸ばす。


″《凶刃トラベル》″

峯島の纏う凶気のオーラが刃となり、布を切り裂いた。


″《天転トラベル》″

″《電磁刃トラベル》″


サツキが峯島の足元の空間を転がし、峯島のバランスを崩す。

一旦銃撃が止んだところへ、タケルの[技工士の手甲]から放出される電磁の刃が、峯島のオーラを纏ったサブマシンガンを弾き飛ばす。


神室はχシールドをΖチェーンに変化させて峯島の手を狙い、峯島のナイフを落とさせる。


「なにぃっ!」

サブマシンガンが峯島から離れた事により、峯島の纏っていた禍々しい凶気のオーラが消える。

峯島は、タケル達の戦法を知らなかった。


このチャンスにコウスケとサツキが峯島に飛び掛かり武器を振るう。


だが、


「なんちゃって。甘いなぁ、神室ちゃん」


銃声が二つ響く。

峯島の茶色いトレンチコートの両袖から現れたのは、


二丁の小型拳銃(デリンジャー)


コウスケは腕を撃たれ、サツキは、胸から血を流し倒れていた。


「サツキちゃん!!」

マナが叫ぶ。


峯島はトレンチコートの内側からも拳銃(ハンドガン)を出し、神室達を牽制しながらサブマシンガンを回収した。


「クックック。異世界に来たらまずはホームセンターか、ヤクザの事務所で重火器漁りだろう」

峯島は続ける。

「因みにだ、この世界には人間を殺せば大量にポイントが入るなんて裏技は無い。クズはポイントにも成らない、クズだ!」


「クズは、お前だろうがぁあ!」

激昂したコウスケが峯島に再度飛び掛かる。

タケルも雄叫びを上げて峯島を攻撃する。


″《枯渇トラベル》″

″《電磁刃トラベル》″


「やめろぉぉおっ!」


神室は大声でその特攻を止めようとするが間に合わなかった。


″《凶トラベル》″

″《凶硬トラベル》″


二人の攻撃は、再び峯島の纏ったオーラが硬質化し防がれた。

そして……


″《凶弾トラベル》″

二人も、その場に倒れることとなった。

圧倒的なまでの経験の差があった。


「さぁ、どうする?神室ちゃん。と、残りのお嬢ちゃん」

峯島はニヤリと笑う。


「峯島!俺が間違ってた。殺して欲しいなら、殺してやる!!」

神室は後悔していた。

最上階の為に、力を温存していたことを。峯島相手にそれは間違っていた。



″《終トラベル[役彩図(エキサイト)]》″



神室は、様々な彩りの輝きに包まれた。


そして運命の時が来る。

活動報告にて″《運命トラベル》″発生します。


因みに、サツキの天滴注射を受けたい人はいるのでしょうか。

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