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《番外編》風使いの「■■■■」(■)
短めの1話ですが、本日は3話まとめての更新です。(2/3話)
私に友はない。
思い出もなく、
進むべき道すらもない。
ただそこにあって、そこで終わるだけの存在だった。
それで良かった。
だから執着などあるはずもない――
あるはずがなかったのに。
だというのに、風穴は空いてしまった。
飢えと、
乾きと、
虚ろな夢だけが次々と流れこんでくる。
気づかなければ良かった。
知らなければ良かった。
ああ、この穴は――
けっして埋まらない。
それならば、
せめて夢は、
この醒めない夢だけは――
(終わり)




