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風使いの僕は学園ライフをこうして満喫する  作者: タイフーンの目@『劣等貴族|ツンデレ寝取り|魔法女学園』発売中!
「高校2年2学期」の風使い

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第33話 風使いと「合宿」(2)

「待て待て待て、お前ら、覗きは犯罪だぜ?」


 女子風呂を覗こうという卑しい二人組を、僕はとがめる。


「大体、そんな不審な動きしてたら、先生たちに見つかるだろ」


 しかし小山は、そんな反論など想定済みとでも言わんばかりの笑みで、


「犯罪ね。……じゃあ聞くけどな、風見。女子と見れば誰彼だれかれ構わず話しかけ、日焼けと白い肌との境界線を眺めてはうっとりしたり……」


 ずい、と、小山は僕に近づいてくる。


「スポーツドリンクを一気に飲ませて、唇の端からしたたりり落ちる光の粒を浴びようとするのは……犯罪じゃないって言うんだな?」

「う、なぜそれを……」


 どうやら、ここ二日間の僕の行動が把握されているようだった。


「べ、別に犯罪じゃないだろ。ギリギリ」

「犯罪じゃなくとも変態だ。……それにな、発見されるかもしれない――なんて心配は無用だ。人目につかないルートは頭に入っている。その辺は西野が下調べ済みさ。……この合宿が決まった先月、すでにこの合宿所への潜入捜査を終えている。もちろん、自腹で――だ」


 西野が大きく頷く。バカか。バカかこいつは。


「察してくれ、風見くん」


 朴訥ぼくとつな雰囲気の西野は言う。


「僕の高校は男子校だ。共学の女子と半径十メートル以内に近づけるだけで僥倖ぎょうこうだというのに、ひとつ屋根の下、ましてや入浴をしているなど……このチャンスを逃しては、無念のうちに散っていった先輩たちに顔向けができない」


 しかし、と、さらに力説する西野。


「何も僕は、よこしまな気持ちから鏡を設置したのではない。ビーナスの湯浴ゆあみのごとき楽園を――あくまで美の追求の観点から覗かせて頂くだけなのだ。これは、男子校生(じんるい)の発展のために必要な試みなのだ」


 目にはうっすらと涙が浮かんでいる。もう一度言おう、バカだ、こいつは。


「どうだ、風見。俺たちと一緒に行こうぜ。時間はもう幾分いくぶんもない」

「……僕はパスだ」


 僕の回答に、小山は目を丸くする。


「なんでだ? お前なら絶対に乗ってくると思ったのに……。まさかお前、着衣フェチか? 裸には興奮しないのか?」

「するよ。普通に興奮する。ただなあ……」


 腕組みをして目を閉じる。


「何だ? この作戦に穴でもあるってのかよ」

「そうじゃなくてさ、僕は知り合いの裸を覗くような真似はしたくないんだよ。女子の風呂にも三校……じゃなくて、剣鶴けんづるを除いて二校か。その二校の女子が入ってんだろ? 少なくとも、嵐谷あらしだにの部員の裸を、僕は見たくない」


 むう、と小山が唸る。


「なるほど、それが変態おまえのポリシーか。確かに、変態道を行く俺たちにも踏み外しちゃいけないすじってもんはあるよな」

「何だその変態道って。僕は王道を歩んでるつもりだぜ」


 僕が呆れていると、今度は西野が口を開く。僕の肩に手を置きながら、


「ではこうしよう。まず僕が覗かせて頂く。そして嵐谷の部員がいないタイミングを見計らって、風見くんに声をかける。そうすれば君は、富南ふなんの女子だけを見ることが出来るわけだ」

「お前のそれは自己犠牲に見せかけた、ただの劣情だよな……つーかまだ二日しか経ってないのに、二校の女子を見分けられるのか、西野」

「もちろんだ。シルエットだけでも判別できるくらいには。……君だって、そうじゃないのかい?」


 西野が口の端を歪める。


「……てめえ。いや、てめえら。はは、分かったよ。お前らは男だ。そして僕も男だ。熱いな、熱すぎるぜ」


 僕の中で、何かが吹っ切れた。


「法律が何だ。モラルが何だ。たとえ極刑に処されたとしても、どんな監獄からでも僕は抜け出してみせるぜ。僕を待っている女の子たちのためにもな」

「その時は、もちろん俺たちも一緒に脱獄させてくれるんだろうな?」


 小山がニヤリと笑う。


「当たり前だ。僕たちは……戦友だろ?」


 僕たちは笑みを交わし、固く手を取り合う。

 

 富南高校の小山、嵐谷高校の僕、そして剣鶴工業の西野。そう、これが後に『富嵐剣ふらんけんトリニティ』を名乗ることになる僕たちの、初めての活動であった。


 ■ ■ ■


 早々に風呂を上がり、西野が選定したという人目につかないルートを通り……僕たちは今、高いブロック塀と合宿所の壁とに挟まれた幅一メートルくらいの空間を、音を立てないよう慎重に進んでいた。


 西野の手には双眼鏡。『覗きと言えば双眼鏡』というお約束がある。しかし西野は、ただ形から入るだけの、薄っぺらい変態ではなかった。


 目的の地点にたどり着いて、僕はそれを思い知った。


「なるほど……こうして見てみると、肉眼じゃ厳しいな」


 大浴場の窓は高い所にあり、そこに控えめな手鏡がひとつ固定されていた。滑り出し窓は外向き、つまりは僕らのいる空間に向かってせり出している。


 手鏡は、窓の銀色のフレームに馴染むようなデザインをしていて、あれなら、よほど注意して見ないことには内側からは気づけないだろう。


 しかも、このデジタル化の進んだ現代日本においてこんなアナログな方法で覗きを行う変態……いや、勇者の存在など、彼女たちにとってはきっと盲点なはずだ。


 今回のリーダー、小山が低いトーンで西野に告げる。


「よし西野、まずは中の様子を見てくれ……」

「分かった。美の探求者、西野駆流(かける)――参る!」


 無駄に格好いい名前の西野が、決意に満ちた目をして頷く。外壁に背をぴたりと密着した姿勢で、窓を見上げて双眼鏡を構えた。


「ど、どうだ……西野」


 ひそひそ声で小山が訪ねる。しかし西野は、ぬう、とか、むう、と唸るばかりで、色の良い返事は返ってこない。


「おい……独り占めは卑怯だぞ……」


 小山が西野をつつく。


「いや……」


 西野が双眼鏡から目を離して、小さく首を振った。


「どうしたんだよ、何かToL0VEるか? いや、トラブルか? もしかして角度がマズかったとか…」

「そうではないが。ううむ……」


 歯切れの悪い西野に小山は焦れる。


「だから何があったんだ」

「曇っている……」

「曇ってるって、まさか――」

「そのまさかだ。鏡に曇り止めをほどこすという配慮が欠けていた。鏡が曇っていて……見えない」

「そんな――そんな馬鹿な……」


 肩を落とし申し訳なさそうにする西野と、がくりと膝から崩れ落ちる小山。

 ちなみに、この作戦は小山が立案し、西野が下準備を終えた。事前調査や材料に掛かった費用は折半したそうだ。


 そして、僕は誘われて付いて来ただけ。……このまま、何も貢献できないまま終わりたくはない。


「二人とも。ここまでよくやった。後は僕に任せろ」


 自信満々に言う僕の顔を、二人は驚いたように覗きこむ。


 僕は目を閉じ、鼻から空気を目一杯に吸い込む。真夏の夜の湿った空気が鼻腔びくう内を満たす。鼻から吸い込んだその『風』を、口の中に貯めこむ。その間に、『風』は乾燥し、温度を上げた。


 もちろんこれは自然現象ではない。風使いである僕による――超自然的な作用だ。


 僕は目を見開き、鏡を目掛けて、乾燥した温風を勢い良く噴き出す。


 途端、鏡に貼り付いていた白い幕は、さあっと晴れた。晴れたはずだ。


「よし西野、もう一度覗いてみろ」


 僕の言葉に半信半疑ながらも、西野はまた同じ体勢になって双眼鏡を覗きこむ。


「おおっ――!」


 西野は小さく感嘆の声をあげた。

 その様子に小山は興奮して訊ねる。


「どうだ、見えたか?」


 しかし西野は、


「ああ、見えた……だが……」

「何だよ、まだ曇ってるのかよ」

「違う、そうじゃない……見えるんだが、おかしい……」


 失敗だったのか?

 僕が眉をひそめ、小山と目を合わせ、そして鏡のほうを振り仰いだ――その時だった。


 ☆ ☆ ☆


 それは、風見がドライヤーのごとき温風を発生させる数十秒ほど前のこと。


 虎走あぶみは、大浴場で鏡に向かい体を洗っていた。二日間の合宿の疲れをいたわるように体を撫でる。


(お風呂から上がったら為末ためすえくんに連絡入れよっと)


 などと、のぼせたことを思いながら泡を広げる。


 ちなみにここで、思春期の男子諸君の儚い夢を打ち砕く、残念なお知らせがある。


 女子だらけのお風呂タイム。楽園とも言うべきこのシチュエーションに付きものだと思われがちな……


「○○ちゃんって胸大きいね」

「そ、そんなことないってば……」

「どれどれ、もみ心地はどうかな……うわあ、悔しいなあ、このサイズと柔らかさ!」

「やめてってば! ……もう、大きさなら△△のほうがすごいんだからね」

「え、本当?」

「何、何よアンタら、ちょ、ちょっと触んないでってば! きゃあ!」


 みたいな、耽美たんびで素敵な出来事は滅多に起こらない。――起こらないのだ。


 女子ばかりとはいえ、それぞれ恥じらいはあるし、それ以上にやはり遠慮の気持ちがあって、友人同士であってもこのようなイベントはまず発生しない。


 ただもちろん、あけすけでオープンなパーソナリティを持った女子がいれば、ごくまれにこうした奇跡は起こりうる。実際、この合宿においても、確かに大浴場の隅で奇跡は起こった。


 しかし、この時点ではそんなバラ色のイベントはすでに終了しており、浴場の中は落ち着いたものだった。


 ――残念である。恨むのなら、ダラダラしていた風見たちを恨んで欲しい。



 閑話休題。足の指を洗っていた虎走の横で、先ほどまで洗顔をしていた北条美織ほうじょう みおりが、静かに立ち上がった。


 虎走は、そのしなやかな肢体に思わず見蕩みとれてしまった。

 健康的に日焼けした手足はすらりと長く、無駄な贅肉など全くないが、さりとて痩せすぎている訳でもない。

 

 しっとり濡れた長い黒髪は背中にたらされており、ひたいあらわになったその顔には凛々しさが溢れていた。何かを警戒するような表情。


 虎走はその姿から、たかはやぶさのような、美しい猛禽類もうきんるいを連想した。


「どうしたんですか、北条さん」


 問いかけてみると、北条の薄い唇が動いた。


「いえ、怪しい気配が……」


 一層注意深く、辺りをうかがい出す北条。


 ふと、虎走は彼女の体の異変に気がついた。胸や腰の辺りといった――『まさにここ!』というピンポイントだけが、白い湯気で隠されているのだ。それは晴れることなく、常に彼女のほっそりとした体を覆っている。


 見渡してみると、他の部員たちもまるで白いビキニを着たかのように、局部だけに湯気をまとっていた。虎走が自分の体に視線を落とすと……湯気ではなく、ボディーソープの泡が、薄い胸や腰回りを覆い隠しているのだった。


 これは、虎走の兄がよく読んでいた少年漫画の入浴シーンのような――大人の事情を反映させたかのような――不自然な光景だった。


「あれ――?」


 首をかしげると、隣に立つ北条が静かな声で言った。


「それは忍法『泡遁ほうとんの術』です。私や皆さんの体は『霧遁むとんの術』で覆っています。『何者か』の視線から逃れるための緊急措置です」

「なんです、それ? 忍法? 北条先輩ってくノ一(くのいち)だったんですか」


 と笑ってみると、北条は至極まじめな顔で頷く。


 年下に対しても敬語を崩さない生真面目な北条。そんな彼女にも、こんなお茶目な一面があるのだと嬉しくなり、虎走は親近感を強めた。


 しかし一方の北条は、真剣な表情のまま閉眼する。神経を研ぎ澄ませ、何かを探っているように見えた。


 ややあって、北条は目を開けると、


「私は、頭から洗って、次に顔、最後に体――という順です」

「お風呂での洗う順番ですか? ああ、私もそうですよ。そのほうが泡が全部流れてく気がしますよね」


 その会話に何の意味があったのかは分からないが、北条は持参した小さなボトルに手を伸ばす。旅行用に小分けにされた、シャンプー、コンディショナー、そして洗顔料の入ったプラスチックのボトルだ。


 北条はその三本のボトルを、左の人差し指から小指までを使ってそれぞれ器用に挟み込み、胸の辺りで構えた。


「北条先輩?」


 北条は浴槽の方向へと向き直ると、左手を鋭く振り抜く。それは神速の投擲とうてき


 三本の小瓶が銃弾のような速度で撃ち出され、白い湯煙を切り裂いて飛ぶ。


 殺傷力すら持っていそうなその弾丸は――浴槽の遥か上にあった窓にカツンと跳ね返って――消えた。


 その動きがあまりに滑らかで、しかも刹那の出来事だったため、北条の行動に違和感を覚えたのは虎走だけだったらしい。

 

 北条は『何か』を確認すると、元の位置に座り、ボディーソープのボトルを手に取った。


「あの?」

「大丈夫です。急所を突いて脳を揺らしましたが、十四、五分もすれば目を覚ますでしょう」

「……?」

「体はまだ洗っていませんでしたから。ボディーソープは残しておきたかったのです」


 北条は一体、何を言っているのか。

 虎走にはさっぱり分からなかったが――北条が泡立てるボディーソープの華やかな香りにうっとりしつつ、自分の体に付いた泡をシャワーで洗い流した。


 ☆ ☆ ☆


 僕たちの企みが、空から降ってきた――物理法則を置き去りにしたかのような――驚異的な速度と精度の弾丸によって阻止された、その次の日。つまり合宿最終日。午前中は軽めの練習で流し、昼食を摂り、僕たちは帰り支度をして玄関を出た。


 昨夜、あの後、しばらく気を失っていた僕らが目を覚ますと、無情にも入浴時間は終わっていた。その上、倒れている間に大量の蚊に刺されていたらしく、かゆくて夜も寝付けなかった。今もまだ痒い。


 ぼてぼてと重い足取りで歩いて行くと、駐車場には小山たちが居た。


「……じゃあな、風見、西野」


 目の下を黒くした小山は、覇気のない声で言った。彼の目の辺りには睡眠不足によるくまだけでなく、例の『弾丸』にやられたアザも残っていた。


「うむ。また会おう……」


 西野も、おでこをさすりながら別れのあいさつを口にした。


「んじゃな。次こそは、だな」


 鼻の頭に絆創膏を貼った僕は、戦友たちに向け、手を上げて別れを告げる。マイクロバスに荷物を積もうと振り返ったところで……北条の姿があった。


「よう北条。次に会えるのは、大会かな」


 眠気と疲労でフラフラな僕が努めて明るく言うと、北条は、


「いえ……」


 と首を振る。


「……まずは風見さん。気配の消し方を覚えたほうがいいです」

「どういうことだ?」

「『忍び足』は鍛錬不足ですね」

「――?」

「昨夜の話です」

「な……!」


 まさか、あの弾丸を放ったのは北条?

 僕らのことがバレてた?!

 僕の動揺を察したのか、北条はこくりと首を縦に振った。


「いや、はは……あれは……」

「ですが、『風遁ふうとんの術』はお見事でした。毎朝の鍛錬の成果なのでしょう。よろしければ、流派を教えて頂きたい」

「え、どういうこと? 流派?」

「私から名乗るのが筋でしたね。私は『秋鳥あきどり流』のくノ一(くのいち)、北条美織です。よろしければこちらを……」


 彼女はポケットからカードケースを取り出して、一葉いちよう紙片しへんを僕に手渡す。ピンク色の小さなカードだ。


「これは?」


 どうやら名刺のようだった。彼女の名前や電話番号、住所など。背景には可愛らしくデフォルメされた忍者のキャラクター。


 くのいち? 忍者? 全然忍んでないんだけど……。


「あのさ、僕……忍者とかじゃ……ないよ」

「――そうですか。これは私が無粋でしたか。自ら身元を明かす真似はしないと。……貴方は、古き良き忍の信念を貫き通していらっしゃる方なのですね」


 北条は何を思ったのか、軽く頭を下げた。そして、


「……実は。私は以前から貴方をお見かけしたことがあったのです」

「僕を? 大会で?」

「いえ。私は昼夜問わず、様々な任務のために、付近の町を訪れることがあるのですが……」


 北条は目を細める。


「早朝、自転車にまたがり、鍛錬を欠かさぬ姿を何度も拝見して、私は尊敬しておりました。あの苦行に耐えたからこそ、ああも素晴らしい『風遁の術』を身につけられたのですね」


 やばい、この子は何かを勘違いしている。しかも、僕の善行はんざいがバレている。


「尾行してご自宅を確認したり、ご家族を含めた経歴を洗ってみたりしたのですが……結局、あなたの正体も、どこで忍の技術を磨いたのかすらも分かりませんでした。なんという隠身の技術。素晴らしい」

「マジか――」


 僕の家や家族もバレてる……もはや北条のほうが犯罪者なんじゃないか……。


「それに普段の言動も。あれも忍法の一種なのですね」

「いや――」

「ご謙遜は不要です。忍の技術は、何も水の上を走ったり、火を吹くだけではない。それは私も承知しております。会話の中で虚を突く話術もまた、我々には必要です。……その点、私はまだまだです。この合宿でそれを痛感しました」


 北条は眉根を寄せて苦い顔を浮かべる。


「貴方のその、道化に徹する演技力は素晴らしい。よろしければいつか指南して頂きたいものです。気が向きましたら、その名刺の連絡先へご一報を。……では」


 そう言って彼女は軽やかに去っていった。足音ひとつ立てずに。


「……くのいち、て」


 呆然とする僕は、迎えに来た虎走に連行されて、帰路についた。


 ■ ■ ■


 さて、あの合宿の後、僕と小山、西野の三人は、月一くらいのペースで人には言えない『課外活動』を繰り返している訳だが……僕は、どこで光っているか分からない監視の目を恐れ、犯罪めいた行為はなるべく自粛するようにしている。


 そんな風に、くのいちに怯える日々だったが、しかし『風遁の術』の鍛錬だけは欠かすことはなかった。


 これが小山の言うところの、僕なりの譲れない変態道――なのかもしれない。


(第33話 風使いと「合宿」(2) 終わり)

(「合宿」編 了)


《あとがき・お知らせ》


 炎天下の合宿って地獄だと思うんですが、冷房に慣れた今の体だと、少し外に出るだけで十分に苦しみを味わえてしまいます。なんというお手軽ボディ。


 そして暑さのあまりにシャワーだけで済ませてしまいがちですが、快眠のためには湯船に軽く浸かるといいらしいですよ。何でも、寝る前に一旦、体温を上げたほうがいいとか。


 ――というわけで、さあ、みんなでお風呂に入りましょう。


 そしてモラルのスレスレを低空飛行した今回。風見の『お友達』が校外にも出来ちゃいましたが、彼ら彼女らが再登場するかは未定です。本当、変な人しか出てきませんね。


 さて、来週の更新ですが、本編はお休みして外伝の「天馬美津姫」編をお送りする予定です。外伝なんて読んでねえよ、という方には大変申し訳ありません。少々お待ちくださいませ。

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