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楽しい授業の始まり?

改訂いたしました。27.5.23

 少し大きめな男の人が入ってきた事により、みなが一斉に座った。その次にタイミングよく鐘がなり、可愛らしいチリンチリンとした音が鳴り響く。


「今日は私、デルダータが務める。さっそく始めようと思うが―――クロムフィーア若魔法師が今日から授業に入ることになる。自己紹介を軽くしてから始めよう」


 マジで?ちょっと驚いていたら私は立つように言われてしまう。え、今?しかもこの場で?この場で、のようです。まさかの自己紹介にちょっとドキドキである!と言っても、名前と私の諸事情をちょっと暴露して座るだけなんだけど。


 まあ、案の定といいますか、再び目の話をすれば二重になって驚かれた。魔力が見える説明はしていても、もう一回驚いてくれるんだから律儀だよね。それだけ驚く要素を秘めているらしい。ついでに色が見えないんです、と言えば少しだけ哀れんだ顔で私を見てくる者がいる。後ろからくすくすと何か聞こえるけどね。気にしない。今はこの白黒の世界は私だけのものだもん。


 軽く自己紹介をしたところで。魔法師様は「後は自分から紹介してもらえ」との事。まあ、入ってきた当初でだいたいの自己紹介なんて終わっているよね。返事をして座っておいた。


 これから始まる授業は、日によって同じ属性の勉強を午前中に。午後に雑学を入れていくらしい。軽く説明してくれる当たり、いい魔法師だろうと勝手に好感度をあげていく。


 今日は風の日なので、風魔法を教えてくれるそうだ。1年はほぼ同じことを繰り返し繰り返しの説明だから初回の私にはうってつけのお話だ。すでに授業を受けている生徒は知らないけどね。私の隣に座るのはジジル。その奥がエリー。私の片側は空席である。


「では、【風】の頭から。左後ろの席から右に、一頁ずつ交代で読むように」


 国語かよ。と言うツッコミを飲みこんで………………エリーからジジル、ジジルから私へページの場所を教えてもらって読み始めた。パラパラと捲ったんだけど、最初に【闇】の単語があって【火】も見つけた事からこの本は全属性すべてを納めてこの厚さなのではないかと思われます。全部を集めたらこんなに分厚くなるのは当たり前なのに………なんで1冊にまとめちゃったんだろう。必要があったとか思えないんだけど。不思議だね。


 【風】属性について。風は世界が四番目に産み出された生命で魔素で一番、多く作られる源ではないかと知らされている。魔素は大気に多く含まれており、魔力との相性は一番ではないかと言われている属性だろう。


 【風】属性は主に風で相手の魔法を吹き飛ばす攻撃ができ、広範囲で放てる事が【風】の利点だろう。ただ、【風】は魔素との相性がいいせいで集める時には注意が必要である。―――こんな感じの文が続いた。眠くなりそう………


 他にも風は声を送る事か出来たり、音を拾う事もできる。ただし、音を拾う時には注意が必要である。この方法は範囲を広げれば広げるほど魔力を使うし、集中力が少しでも欠ければ余計なものまで聴き拾い、頭の要領が越えて死ぬそうだ。それよりも先に魔力の枯渇になって死ぬかもしれない。


 他にも色々な風魔法の詳細が書かれていて、いい点も悪い点も書き出してある。ほぼ図鑑だと私は思った。なんか細かく書いてあるし。1ページに1魔法の詳細が書かれていればちょっとげんなりしてしまうって、こんなの。全属性がこれでしょう?うわ。


 それらはずぅーと続いて、私も読み終わっても続き、ようやく50人が読み終わればその続きを魔法師様が当てた順になる。どうやら【風】について全部を読ませるまで続くらしい。座りっぱなしは読書で慣れているのでかまわないけど、風属性を持っていない人にはなんの意味があるのだろうか………疑問のまま、朗読は続いていく。てか意外にもいっぱいありすぎじゃない?これ、本当に全部を扱えるの?
















 ようやく、朗読が終わった頃にはみながちょっと疲れた感じで背中を曲げていた。私は別に大丈夫だけど、隣のジジルはちょっと慣れないらしい。まあ、じっとしている事がなかったのでしょうね。


 それで、読み終わったら今度は魔法師様が質問を投げ掛けてくる。もちろん、【風】について。これまたバラバラに当てていくのでちょっとハラハラものだ。今のところ間違いは出ていないが、間違えたらどうなるか、心配だよ。


「では、クロムフィーア若魔法師」


「はい」


「風属性の最上級はどんなものになる」


「雷です」


「どのようなものだ?」


「存じません」


「君は先程の朗読を聞いていたのだろうか?なんのために教本がある」


「この教本には『天から雷鳴が地に降り注ぐ』と書いてありますが、私はみた事がないのでその雷鳴もどのようなものだと聞かれても正確には答えられません」


 電気って、この世界にないもん。摩擦とかもなさそうだし、私には説明なんて無理だよ。てか魔法師のニヤリと笑う笑みが怖い。なんか後ろの方で誰かがこそこそと話をしているんだけど、これは目を付けられたパターンじゃないよ、ね?ね?


「では、覚えるように。雷とは、雲と雲がこすれ起きた現象だ。実は雲も魔素の塊であり一番、目に見える魔素である。この雲には二つの魔素、魔素を運ぶ【風】と雨を降らす【水】で形をとっており、その二つを混ぜ合わせた雲が激しくこすれあった場合のみに生じる。それが【雷】だ。因みに白い雲は【風】の魔素が多く、黒い雲は【水】の魔素が多い。ゆえに雨が降る」


「はい、デルダータ魔法師様」


「なんだ、クロムフィーア若魔法師」


 ちょっと私ってば目立っているなー。でも魔法の勉強は楽しいからいいや。


「雲が【風】と【水】の二つの属性で成り立って【雷】になりますが、風属性が【雷】を操れるのはなぜですか?水属性では出来ないのでしょうか?」


「そうだな………」


 ………………………………て、そのままちょっと考え混んで固まっちゃったんだけど!?なんで!?いや、もうちょっと待とう。相手は魔法師と呼びれる人だよ。大丈夫。私は余計な事をしていない。


 と思っていたけど魔法師は固まってしまったまま動かなくなってしまった。顎に手を当てて悩む体勢で、静止。とてつもなく浮き出てます。そしてそれをやったのは私です。回りがこそこそと話を始めてきたのでそろそろ復活して下さいませんかねえ!?


 なにやらかしちゃったんだろうと、はらはらしながら魔法師にみんなが注目。でも私は耐えきれずに隣のジジルに視線を送る。だって耐えきれない!でも助けを求めたジジルも困惑な顔で苦笑いの首ふり拒絶。やばい味が方少なすぎる!


 ジジルを飛び越えてエリーに視線なんか送ってみたり!しかしこっちも苦笑いが返ってきた!それはどんな意味が込められているのでしょうね!?


 次第に部屋の全体がひそひそからがガヤガヤに変化していく。中には「あの子のせいで授業が受けられない」との声が聞こえた。それを聞き取った私は思うのです。




 いるんだ、いじめっ子―――…




 これから接触していくのかは分からないけど、初日の敵(名前は覚えてない)みたいに貴族なら遠回しに嫌がらせをしてくるのではないだろうか?まあ、その時はその時に考えるけど。いじめってこの世界にも存在するのかな?するか。


 なんだか現実逃避しそうになるのをぐっ、と堪えて魔法師様に視線を送る。あのまま本当に固まっているので、どうすればいいのかわからない。なにかないかと本を捲るしか私にはやれる事はないのだ。なにか書いてないかなー………………てか書いてあったら私に聞いていなかったのか?て怒られるんじゃない?うわ、やっぱり何もなくていいかも。


「よし、まとまった」


 復活した。よかった。


「すまんな、まさか質問してくる奴なんていると思っていなかったからな。説明を考えていた。先程の答えだが【水】だけでは【風】を動かせないからだ。雲の形になっている二つの魔素はその時【水】の魔素が多い。その【水】は【風】より重い魔素なので雨になって落ちる。だから水属性では雲を擦り合わせる力を与えられないので、水属性には無理となる」


「魔素に重いと軽いがあるのですか?」


「ある。それについては教本に書いていないが、知っても知らなくても気にするものではない。知りたいなら自分で探してみると面白いだろう」


 よし、みたいに満足そうな顔で頷かれてしまったのだが、まあいいか。魔法師様はだいぶご機嫌がよろしくて………後ろから「珍しい」と言う声が聞こえるのですが、なんだろうか。


 とりあえず私は怒られる心配もないし、魔法師のプライドも傷つけたようではないので気にしないことにしよう。うん。気にしすぎたらハゲちゃうよ、私。


 それからまた戻って魔法師がどんどん適当に当てて質問をしていく。先程のよりすいすいとみんなは答えていくので、ちょっと私が悪目立ちしてるようにしか思えなかった。いいもんっ。


 それからしばらく、質疑応答をしていけばあの可愛らしい音で授業の終了を告げてもらう。「では」と素早く身を翻して去っていく魔法師の後ろ姿にみなでお礼をのべて午前の授業は終わり。これからお昼でだよ!待ってました!


 背中を伸ばす者や緊張していたのか机にぐったりする者。急いで庭にあるらしい食堂へ向かうもの。様々に休憩となった。


「次の鐘までお昼休憩だよ、クフィー」


「そうなの?あ、ねぇエリー。デルダータ魔法師様のお顔、なんだか楽しそうじゃなかった?」


「私もなんとなくそうだと思ってたけど………なにかあったの?」


「あー、デルダータ魔法師様は理論が大好きな方なの。だからクフィーの問いかけは楽しくてしょうがなかったんじゃない?」


「そんなに楽しい話ではなかったと思うのだけど………?」


 内容なんて雷だよ?理論とかちょっと大袈裟な話ではないと思うんだけど………


「言い返してくる人が好きなんだって」


「えー………でも、最初のは驚いた。クフィーちゃん、「存じません」て!私、隣で教本を見せようかと思ってたよ」


「ジジルは慌ててたよねー」


「だって普通あんな事を言う?しかも相手は魔法師様だよ?」


「知らないものを知ったかぶるよりはいいと思うけど?それに雷なんて説明、私には無理だったもの」


 どう?て聞いたら目を反らされましたー。はい、君たちだってアウトじゃないか。私だけ攻められる筋合いはないでーす。


 と言う事でちょっと怒った素振りで色々と聞いちゃった!毎日こんな感じなのか、とか。午後の授業が終わればみんなどうしてるのかとか。アトラナとハルディアスも見当たらないし………ケヤンは男友達が出来たみたいだね。さっき楽しそうに話ながら出ていったのを見た。


「そっか、クフィーちゃんは帰宅してるもんね。アトラナとハルディアスは個別指導だよ。二人とも協調性に欠けるから私たちと一緒に受けられないの。とくにアトラナは魔力抑制がまだ不十分だからなおさら私たちと一緒に授業を受けられないの」


「ウィル八進魔法師様から聞いたの?」


「そんな十進魔法師様たちをお目にかかるなんて滅多にないよ。昨日来た魔法師様にこっそり教えてもらったの」


「そうなの?」


 わたし、すでにお父様は抜いても5人にあっているんだけど………そういえば十進魔法師の穴埋めってどうやってするんだろうね?


 お昼に行こう、と言われたら私だってお腹が空いている。断るわけないじゃないか!!学食ってどんなものが置いてあるのかなー?………おうどんないよね。オムライスもないよね……………あれ、今思えばなんで“ クッキー ”はあるんだろう?あ、そうだった。


「ごめんなさい。先約があるから明日は一緒に食べましょ?」


「あ、そうなの?じゃあ明日は私たちが予約だね。一緒にいく?」


「迎えに来てくれるらしいからここで待ちます。ねぇ、話題を変えてしまうけどクリミア・アマンツェ若魔法師ってどんな方?」


 そうだよ。情報収集と言うものを忘れていたよ。こんな時に私の十八番うっかりを発動しなくてもいいのに…………で、クリミア・アマンツェさんはどんな人なのかね。その微妙な顔つきをされるとこっちも色々と考えちゃうんだけど。


 え、すごい人なの?いや、関わっちゃいけない系?知らぬがと言う人なの?ジジル………は、なんだか遠い目をしているね。なんで?


「えーと、その子の事は分からないんだけど、アマンツェ魔法師様の事なら話せるよ」


「魔法師?親が魔法師なのね」


「クフィーも逢ってる人だよ………ほら、一緒に待ってて通報された人」


「………………………………………………え」


 通報って、あれだよね?デレッとした顔が変人すぎて通りすがりのメイドさんに通報されてた、あれだよね?え、えーと。えーと。………ジジルはなんで知っているのかな?


「私は案内の時に名前を教えてもらったんだよ。あれはさすがにちょっと気持ち悪かったからエリーに話していつもどんな人か教えてもらったの。名前を聞いて今その子を同情してる」


「あの人の、娘さんがクリミアさん、なのね………」


「たぶんそうだと思うよ。父親があれだから有名だし………なんでお昼を一緒にする事になったの?」


「会談中、失礼する。どうしても、クリミアお嬢様がクロムフィーア嬢とお話しされたかったからだ」


 うわー。もうお迎えが来ちゃった。




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