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式典について、聞けば聞くほど面倒

改訂いたしました。27.5.10

 レーバレンス様と魔法具創りで魔力受け渡しをしてから3日目。愚痴を言いながらも魔術研究室にくる双子ちゃん王子。アーグラム王子はやはり手首にリボンを巻いていた。とても分かりやすい。見なきゃわからないけどね。


 このおかげで彼らの侍女様たちに有り難られた。それはなぜか。見分けが出きるからである。


 今までほとんど同じだったために目を離したらもう分からなくなるらしい。かと言って侍女が王子をガン見するわけがない。そこで手首のリボン。


 下を見る侍女にとってはとても有り難い位置であり、私という楔となっているのでこのリボンが入れ替わることもない。非常にいい目印となっていた。


 それを教えてくれたのはなんとポメアだったりする。さすがに誘拐されて今は落ち着いているけど、目を離した隙に拐われているので、出きるだけ傍にいさせてくれとの事。


 別に私は断る理由なんてないし、ポメアがやる気ならやらせてあげたい。一応、お父様にも了承を得ているしやらせてあげる事ができるならいいではないか。私は貴族であるけど肩書きだけだし。


 それでポメアなんだけど、私が双子ちゃん王子と出会った事に驚きもあったけど先輩侍女に会えるほうが喜んでいたりする。私が何かしている間に待機していた侍女たちと談笑して情報が得られるからね。


 よき侍女だよ。可愛い頑張り屋さんだよ!私はそれだけで鼻が高い。ポメアは可愛いしポメアが可愛いし!!私と一緒にいてポメアの引き抜きがないか心配だなぁ。


「聞いてた?」


「聞いてないだろ」


「それが聞いてなかったんです。心配事ができましたから」


 素直に言えば両隣から短いため息が。いや、だってまさかそんな事するとは思わないじゃんか。私、一緒に歩いて手を振って契約して終わりだと思ってたんだから。


 ティーカップを持ち上げながら思う。私は馬鹿で早まってしまったのだと―――…


 今現在いる場所は王城。奥の中心部。王族側の王宮にお邪魔してます。門から魔法棟と騎士棟が両サイドに携わり、まっすぐ進むと王城内で働く人用の仕事スペースと上流貴族たちの接待部屋。さらに進んで庭となり、その奥が王族が住まう王宮となっている。


 もっと細かくは残念ながら分からないけど、私はレーバレンス様の魔術研究室から移動させられて王宮の方へ。歩いて移動したけど………先が長すぎて王宮から半分も満たない辺りで私は真っ先にへばったので騎士様に運ばれました。仕事を増やしてごめんね。


 本当はアーグラム王子が運びたかったらしいんだけど、如何せん。私とアーグラム王子との仲は私が成人するまで極秘となっているのでこんな城の中で仲睦まじい姿は晒せない。隠す気はあるのかね、この王子。


 因みに今回のお付きはお父様―――ではなく、レーバレンス様だったり。表情筋は機能していないのか、すごく無表情で私たちの後を着いてくる。その顔が厄介事なんだなあ、て。ちょっと思ってしまったのは疑い深くなってしまったためなのかな。むしろお疲れが先か。


 ポメアもしずしずと着いてくるけど私はぐったりとしながら騎士様に運搬されているので端から見たら変な絵面です。はい。


 双子ちゃん王子と運搬される私と騎士。王宮魔術師と見ない顔の侍女………………どんな編成だっ。明らかにおかしいよ!!


 でも王子を引き連れて王宮に行くなら、お共に王宮筆頭がいないと変ではないか、と言うことでこの編成なんだけど………私がいるだけで疑わしいと思うんだけど………誰も気にしないならもういいや、と投げました。もう、いいじゃん。私は悪くない。


 そうしてようやくたどり着いた部屋は双子ちゃん王子のアーグラム王子の部屋。ソファーに下ろされた私は移動する気力もなく話を進められる。


 話の内容はいたって簡単。私が成人の儀で婚約者となるなら、作法とか順序も覚えなきゃならないし、なによりドレスを見繕わなくてはならない。しかも、そのドレスは相手が作らなければならないらしく、私はここに連れてこられたのです。


 じゃっかん面倒になってぼやあと考えてたら注意を受けたけどね。だって聞いてるとヤバイな、って思うところが多々あったんだもん。


 まず、式が始まる時は王子たちが民を見渡せる城門の上に出て開会宣言。それが始まりの合図で、そこから王子たちは馬車(下半分までしかないやつ)で城からまっすぐ城下に降りてお披露目。


 その間、私は中央の広場まで回り込んで待機。私は王家側から用意された馬車の中で公園の噴水前で待ち構え、王子たち来て扉を開けたら、手を取り膝まづく。


 それから王子が私の左手を取ったまま、手の甲に口づけを落としたら王子たちの馬車に乗り込んで運ばれる。そして、王子二人の間に挟まれながら顔を隠しつつ王城に戻っていき、そこでアーグラム王子に手を引かれながら登っていくんですって。この時、ローグラム王子は3人の中の最後尾へと位置ずく。


 王の元へたどり着いたら私は膝まづき、アーグラム王子が王太子として認め次世代の王と国民に告げる。それから祝福と婚約発表(ある程度の理由を話す)。契約が行われ、アーグラム王子と一緒に婚約を示すためにある事をやるだけ。


 手順はとても楽。ただ私がアーグラム王子と魔法具を包むように手を重ねて天に魔力をぶっ放つ簡単なお仕事です。ここで注意する事は私の魔力量で、多すぎたら壊れるし、少なすぎたら大変映りが悪いらしい。


 何を写すのか聞いたら王家の紋様だそうな。特別な魔法具でそれを天に打ち込み、民に新たな次期国王誕生の報せと、男女がやった事で将来この二人が担いますよ、とのお披露目。なんとも面倒な作りでしょう。そしてそれを行えば確実に逃げられないような気がしてならないのは何故か。


 それから王子たちは城で公爵を始めとする同じ成人の子たちと社交パーティーなるものをやって一日を終えるのだ。私は発表が終わったらそく撤退。業務は終わりである。因みに城下は祭りで賑わうんだとか。


 そして………………ここで事件、かな。ふと思ったんだけど、魔力もそうだけど私はアーグラム王子とローグラム王子の見分けをまだ見つけていない。瞳は論外だと思う。本番で間違えたらと思うと………………よそう。そう言うのは考えちゃ駄目なんだって。


 それと、王子たちは魔力がふんだんに込められた魔法具を左胸に着けるらしく、魔力は私のを使うわけで、レーバレンス様が言うには以前よりかなりの威力が備わっているだろうとの事。


 左胸から顔は離れている。しかし、陛下の身に付けているものは首から下げている状態で顔は見えなかった。額が見えていたかなんて怪しい。


 見えるのか。見えないのか。そんな事を聞かれたら、見えないだろうと判断した方が私は正しいと感じてしまう。


「聞いてないな。まさか抑制魔法具で酔ったのか?」


「それともまだ疲れているのか?あれだけの距離でへばってたけど半分以上は運ばれてたから落ち着いてるんじゃないのか?」


「あれは驚いたな………走った時もずいぶん遅かったし………………クロムフィーア?大丈夫か?」


「体力は戻ってきましたけど、違う疲れです。レーバレンス様、私の魔力で込めた魔法具はどれだけ違いがあるかわかりますか?」


「なんの心配をしているか知らないが、お前の魔力をふんだんに練り込むんだ。もしかしたら陛下より強力な物が出来上がるかもな」


 それはそれは―――私にとってとてもヤバイ状況になるのでは?


 陛下が身に付けているものより強力となれば、魔力の威力は大きくなる事は簡単に予想できる。となれば、キラキラと魔力が見える私は顔を見えるのか。




 断言します。見えない気がする。




 首もとのネックレスで顔が見えないんだもの。まだ分からないけど胸元のブローチとネックレスの位置はほぼ一緒。見えないだろうなー。


「憶測ですけど、問題発生です」


「………お前には問題事しかないのか?」


「失礼です。まるで私が問題児のようではありませんか!」


「問題だらけだろ」


「問題だらけだな。私のでもかなり問題だらけだ」


「アーグラム王子が原因ですか。認めてどうします」


 む。と顔を少しだけしかめてアーグラム王子を睨み付ける。しかし、あまり効果はなかったらしい。私を見ても面白そうに笑うだけでは意味がないね。


 ローグラム王子なんかけらけらと笑うだけだ。ちょっと腹ただしい。


「で、今度は何が問題なんだ?」


 レーバレンス様がお疲れモードに入ってしまったのかさっきより顔の表情は無。私を見る目は明らかに『もうとっとと全部吐き出しちまえ』的な冷めたもの。


 ちょっと悲しくなったのは気のせいにする!私は問題児ではないんだもの!!


 持っていたティーカップを置いて改めて向き直る。今思えばもしかしたら(・・・・・・)だもの。たぶん。まだわからないよ!よし、希望を持て!!


「魔力で顔が分からなくなるかも知れません。実際、私は陛下のお顔がわからないのです。陛下は首もとにかなり込めた魔力の魔法具を身に付けてますか?」


 て―――言った途端にレーバレンス様は項垂れてしまいました。長く深いため息が床をめがけて投げ出され、見るからに面倒事じゃないか、と物語っている。


 おかしいな。ここは『まっさか!ありえないだろ』てぐらい言ってくれると思ったのに………残念な事に誰も聞き流してくれない。なんてこったい。


 両隣の双子ちゃん王子は黙って頬を掻いて苦笑い。二人して小声で「問題事じゃないか」とダブって聞こえたのは私の耳がおかしくなった訳じゃない。双子ちゃん威力を発揮させるからそう聞こえるんじゃないかっ。


「それはまったく考えていなかった」


 レーバレンス様の感想はそれだけで、動かなくなりました。さて、どうしようか?もしかしたらですよ、と声をかけてみるも、返事はない。


 双子ちゃん王子は苦笑いしたままベルを鳴らして侍女を呼んでいた。どうした。お茶のおかわりですか?


 しかし、来た侍女に短くなにかを伝えたと思えばそのまま引き返す侍女。なんだろう?聞いてみても二人して内緒と言う。双子ちゃん恐るべし。にこやかな顔も行動もセリフも一緒だよ。


「そういえば、私はクロムフィーアをクフィーと呼んでいいのかな?」


「………………私は構いませんけど………」


「アーグラム、その前にクロムフィーアの父親に話を通しておいた方が安全だぞ」


「グレストフ魔法師か………厄介だな」


 厄介なんだ。


「お前は直情になる事があるからな。まあ、気に入られれば早い話だろ?」


「ローグラム。簡単に言うけどあのグレストフ魔法師だぞ?他の十進魔法師にそれとなく聞いてみたら家族愛が相当、激しい。婚約の話だけであれだ。取り付けられると思うか?」


「………………頑張れよ、アーグラム。これも試練だ」


「どんな試練だ」


 いや、たぶん試練だよ。お父様と言う障害物を乗り越える試練。


 ちょっとげんなりとした顔で言ってるけど、試練は必ず訪れると思うよ。私が予告しておいてあげよう。今度、お兄様と対峙させて剣の実力を見るらしいし。あの怪しい微笑みは絶対よくない方法でやるに違いない。確信できる。


 私の予想では、王子たちと自分の息子が剣の対峙なんてしたらそれこそ疑われてしまうので、見習い騎士を巻き込んで大規模に模擬戦みたいのをするんじゃないかな。そうすればバレないし。教官辺りと話しをつけて二人を会わせれば見れるわけだし。やるだろうなー。


 それをこの双子ちゃん王子には言ってあげない。なぜなら、さっき問題児といってくれた事を私はまた根に持っているからである!!


 私は問題児じゃないからねっ!そこに問題が転がっている事がおかしいんだよ!!まあ、マルカリアの事件は面倒な事件だったけどね。解決してなによりです。


「それで?私はいつになったら紹介してくれるの?」


 危うくお茶を吹き掛けたのは言うまでもない。私の知らない第三者の声に思わず肩を跳ねあげればアーグラム王子が微笑みかけてくれた。大丈夫だよと。


 ならば誰か説明してよ、と思っていたらレーバレンス様が床に膝まづいていた。うん。私ヤバイ!ここ王宮だった!!


 第三者が誰なのかわかった途端に血の気が引いていく私。慌てて私も膝まづこうとしたら両肩にガッチリとした重み。そして止められる声。うん………………咎められない事を祈るよ。




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