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お兄様

誤字等を修正いたしました。27.3.27

 

 これはどういう事なんだろうね。まあ、今のところ害はなさそうだから別にいいんだけどさ。


 今、目の前におられまするは私事クロムフィーアの兄にあたるトフトグル兄上でござるよ。


 そしてすごい笑顔で私の頭を撫でてくださっています。


 思わずぽか~んと口を開けて見つめていたらさらに笑われてしまいました。だって、唐突すぎでしょ。


 まさかいきなりお兄ちゃんに逢うとは誰が思いますかっ。まずは両親からじゃないのね、こういうの。


 それでも会いに来てくれたからいっこうに構わないんだけどね!嬉しすぎて笑っちゃうよ!にへら。


 そうしたらほら!トフトグルお兄ちゃん………兄様も笑い返してくれるのです!


 てかモノクロでもイケメンはイケメンだよ!カッコいいよ兄様!!


「どうやら嫌われてないみたいだ」


「さようでございますね。私どもも喜ばしい事でございます」


「クロムフィーア……………クフィーだな。クフィーはいつもここで一人なのか?」


「あい」


 クフィーって愛称いいですね。私も会話に混ぜて下さい。


 そんな感じで返事を返したら大層、驚かれてしまった。いや、別に驚く事じゃないでしょ?


 なのに三人して。ん?もしかして1歳半だとまだそこまで理解していたらおかしいの?ま、いいじゃん。どうせもう少し成長するまで誰とも会わないだろうし。なんかそんな気がする。


 でも空気がおかしくなってきているから私は無邪気に兄様の腕をニギニギしてみる。注目されている私が行動を起こさなければこの空気は払拭されそうにないし。


 て、おお!なんか筋肉ある!まだ固くないけどしっかりとした筋肉が腕にある!


「クフィーは母上に似て強かになりそうだ」


「うー?」


 そうなのか?てかそれって母様が強そうに聞こえるんだけど。かかあ天下な意味で。


「はは。今日は少しだけ私の相手をしてくれ、クフィー」


「あい!」


 なんと!遊んでくれるのか!イケメン兄様ゲット!!


 嬉しさのあまり興奮するところをなんとか抑えて兄様に飛び付いてみる。勢いがよすぎたのか、兄様がじゃっかん傾いたけどしっかり支えてくれた。逞しいじゃないか!


 ジェルエさんも微笑んで席を外して………え、ジェルエさんは行っちゃうの?


 不思議そうに見ていたら兄様が優しく語りかけてくれた。


「今日は父上と母上、それにクフィーの姉であるリアディリアがお出掛けなんだ。ジェルエは仕事だよ」


 なんと!そうなのか!?どんな仕事をするのかはまったくわからないけどね、大変そうなんだね!


 じゃあわがままを言わないよ。泣かない。変わりに挨拶で送り返してあげる。


 まだ舌足らずだけど、頑張れば喋れるんだよ!


「いっ、てあ!」


 手も一緒にフリフリ。でも上下に振ることしか出来なくて兄様がすかさず私の腕を持ってバイバイしてくれた。なにこの兄様、物わかりよすぎる。


 そんな私の姿をみたジェルエさんとダリスさんは和んだ顔で


「全速力で仕事を片付けて参ります」


「私も早急に終わらせて時間を作りましょう」


「すごい溺愛ぶりだな。他のメイドが泣いてしまいそうだ」


 私もそこまで言ってくれるとは思ってもなかったよ。溺愛してたんだ。


 しかもいい笑顔でお辞儀したら出ていかれました。あの顔は冗談が通じない顔だと思う。


 ちょっと驚きながらも帰ってくるまで兄様が遊んでくれるそうなので早速、おもちゃで遊ぶことにした。


 兄様はカッコいい上に優しすぎるよ。運が向いてきたかね!?


 私も負けじと笑顔を振り撒いてヌイグルミを持ってくる。やっぱり一番のお気に入りは触り心地が抜群の針鼠くん。この滑らかな肌触りは兄様にも味わってもらわねば。


 まだ舌足らずで会話が出来ないんだから、こんなふれあいでも楽しんで下さいな。


「にー!あい!」


「ん?これはポーテのヌイグルミか?お。肌触りがいいな。赤なんて珍しい色じゃないか」


 え、それポーテって言うの?なにそれ可愛い。


 初めて知った単語なので兄様にならって言ってみる。けど、やはりと言うかなんと言うかね。


「おーって!おー、て?」


「ポーテ、だよ。クフィーにはまだ早いかな」


 うん。まだ早いみたいだわ。いつになったら喋れるようになるんだか。


 でもこれはこれで楽しかったりする。だって兄様がすごいホッとしたような顔で笑ってるんだもの。


 それに、ジェルエさんたちがいなくなったから、かな。少しだけ肩の力が抜けていったのを私は見たよ。


 遊び相手、ていうより気分転換なのかな。きっと。疲れさせない程度に遊んでもらわなきゃいけないね。


 そう言えば兄様って普段はなにやってるんだろ?勉強?


 とりあえずもう一つのヌイグルミも持ってきてヌイグルミ同士をこすり合わせる。意味はありません。赤ちゃんを全うしているだけです。


 因みにこのヌイグルミは中でも一番小さく四角いまだら模様のヌイグルミ。天面に動物の顔らしきものが書いてあるけど、ヌイグルミは四角だから何の動物なのかはさっぱりわかんない。白黒じゃあ見にくいんだよ。


 と、言うことで兄様。これなーに?


「これは………ウーモルス、かな?」


「うーお?」


「ふふ。ウーモルス。おっきい動物だよ」


 ほうほう。動物なんだ。そう言えばこの世界には魔獣と言うか魔物と言うかモンスターはいるのかな?


「うーおー」


「それじゃあ鳴き声だよ」


 そうなの!?でもわかっただけでも嬉しいのでうーおーといいながらポーテに突進。もちろん、兄様の懐だよ。


 そんでもってやっぱり支えてくれるんだね!いい兄様だよ本当!


 その後はヌイグルミを抱き締めたりしたまま何度か突進したり、兄様が私を抱えて高い高いしてくれたり―――かなり充実な時間をすごす。


 高い高いは今じゃ私のお気に入り遊びですよ。そんなに高くないのもあってふわっ、とした浮遊感がなんとも言えない面白さ。


 楽しくなりすぎて兄様にずっとせがんでいたら兄様がダウンしちゃうほど喜んでしまった。ごめんね。もしかしたら1時間ぐらい?高い高いをやらせていたかもしれない。


 心配するように覗きこんだらなんともまー、爽やかな笑顔で頭を撫でてくれました。兄様大好きだよ!


 疲れさせないように、とか言っておきながら疲れさせてしまって意味がないよね。じゃあ次は疲れないように絵本を読んでもらおう。


 ヌイグルミを片付けて………………今日は何を読んでもらおうかな~。やっぱり女の子だし、お姫様が出てくる物語?いやいやここは魔法のお話しかなー。


 といってもまだ文字とか読めないんだけどさー。イラストもいまいち明暗がはっきりしてなくてなかなか判断しづらい。


 どうせ読んでもらうんだからどれでもいいかな?じゃあこれでいいや。


 一冊の本を手によたよたと歩く。絵本と言っても、薄いけど私にはまだ重い。それにデカイ。


 必死こいで持っていったら兄様がいい笑顔で私を見てた。それ以上微笑んでいたら鼻血が出ちゃいそうだよっ。イケメン兄様最高!


「あい」


「今度は絵本か。よし。おいで」


 おお!膝の上ですか!最高ですなあ!この包み込むような感覚がたまりませんよ!


 よいしょと持ち上げて乗せてくれる兄様。絵本よりもこっちに集中してしまいそうで怖いです。でもせっかく読んでくれるのだから我慢だよ。





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