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婚約?なにそれ

改訂いたしました。27.5.9

 静まり返った食堂?でなにも音がしない。私はこれ幸いと別の事を考えていた。


 色々な記述の中で、国の歴史はいくつか読んでいる。ほとんど同じ内容だけど、年代が古いものや今のものも含めて。まあちょっとだけどね。


 それで私が考えている事はまったく別のところにあるんだけど。私的にはすごく気になっているところです。とくに王子たちの年齢が。


 本の知識ではグラムディア様が負傷して表舞台から消えたと言う歴史がもう刻まれており、彼の王位継承権は取り外しになっていて、その息子のどちらかに譲られている事が書いてある。


 そこで思うのは、そのグラムディア様が負傷した事件は私が生まれる数年前。ざっと数えても7、8年は遡ることになる。


 その差は?現在の私は7歳。双子ちゃん王子の年齢は足して14、5歳。もうすぐ成人。むしろお兄様だよ?これだけの差が出来ている。のにも関わらず婚約。飛び越えたら結婚と言うじゃないか。


 王子は幼女趣味の疑いが私の中でかけられる。許容範囲は分からないけど、この異世界ならどんと来いな気がするけどっ。私とはないでしょ。どこに興味を持つイベントがあった。


「はっ―――え、待て。私たちの名前を知らないのか!?」


「はっ!知らないはないだろう!?噂はけっこうあったはずだ!」


 おお。正常に戻ったね。では、迎撃します。


「ほとんど箱入り生活でしたので、外の話など聞き及んでおりません」


「マルカリアとの無理矢理の茶会で会っただろう!?名前ぐらい聞いてるはずだっ」


「マルカリアから何か聞いているんじゃないのか!?」


「いいえ?私はただ無理矢理に連れてこられただけですし、あの時は私の話題のみで帰させてもらったじゃないですか。その時に「こちらは名前を名乗っていない」と言う名目でそのお茶会はなかった事にしましたよね?」


 はい。二人が撃沈しましたー。頭を抱えるポーズすら一緒とかさすが双子ちゃんです。まるっきり同じ唸り方にちょっと笑えちゃいます。


 そして顔の見えない陛下が復活で遊撃してきました。望むところです。


「お前たち、会っていたのにも関わらず名前すらも名乗っていなかったのか?せてめ愛称とかだな」


「失礼ですが、挨拶はマルカリア様のおかげでしていませんし、王子たちは私を逃がしてくれた時だけしかお話ししていないのです」


「でも、王子たちは一目見て気になる容姿ではありませんでしたか?グラムディア様と同じ銀糸は王家のみとなっているんですよ?」


 そうなんだ。だが宰相様………ごめんなさい。私にはちょっと事情がありまして―――


「先程、父にも話したのですが私の見る世界は白と黒の二色しかないのです。残念ですが色は分かりませんし、引かれる所はありませんでした」


 はい。4人の撃退に成功しました。


 宰相様がとても悲しそうな、そしてなんと言っていいのか分からず切羽詰まった顔で私を見てきます。泣きたいのは私なのにどうしてこうなる。


 陛下は相変わらずキラキラがまとわりついて顔を拝めません。いったいどんな表情をしているのやら。お腹がすいたよー。あれ?私ってけっこうお腹が空いたって言ってない?いやいやまさかそんな。食いしん坊なはずは………


 なにも配膳されない食器を見てみるも誰も動いてくれないので一つため息をこぼす。お父様は魔力を放っていないにも関わらずキラキラといい笑顔です。嬉しそうな顔がハンパない。なぜだ。


 レーバレンス様とヴィグマン様は俄然と真っ正面を向いている。やっぱり疲れたらみんな無表情になるのかな。その顔に表情と言うものか見当たらない。誰かが話しかけるまであのままなのか、ちょっと観察していたいところだね。


「「クロムフィーア」」


「はい。なんでしょう?」


「私はこの国の第一王子、アーグラム・ロスト・フェルニ・サファリナだ」


「私は第二王子、アーグラムの弟でローグラム・ロスト・フェルニ・サファリナだ」


 まずは自己紹介と来ましたか。ふむ。


「「覚えたな?」」


「はい、覚えました」


 覚えるだけなら出来るよ。私はなんともない感じで返事を返して双子ちゃんを見つめ返す。


 本当に同じ顔だよね。こうしてみるとやっぱり瞳の色にほんの少しだけだけど濃さが違う。濃い方が兄のアーグラム王子。少し薄めが弟のローグラム王子。あれは幻覚とかじゃなかったんだ………


 これは正面を向いていて、なおかつ私が彼らの顔を覗き込まなきゃ見分けられない方法。まあ、今後に付き合う事はないと思うのでスルーしよう。


 婚約?よくあるこんにゃくの間違いだよ。私は王族と切磋琢磨したくありません。自由気ままに仲間と戯れるのです。そう―――そろそろ同年代のお友達がほしい!!


 お父様が心配(たぶん)で私を箱入りにしたせいで世間知らずもいいところっ。このままきゃっきゃうふふ計画がなくなるのは許せない。


 そこで王族との接点とか昼ドラになるしか思い浮かばないじゃないの!!絶対にドロドロの面倒な事になるって!そんなの断じて異世界ライフで堪能したくない!!


 そんな決意をしたところで陛下が復活。表情はまったく分かりませんが、声は堂に入ってました。


「せめて孫の成人の儀に婚約者として出てもらおう。もう時間もないし、こちらから探すのも骨が折れる」


「陛下、私は『クフィーが渋る声を出したら引いてください』と申しました。陛下はそれを汲んで下さると言ったではないですか。婚約を決めるのは些か強引では?」


 お父様、頑張って!もしここで強引と勝手で婚約が決まっちゃったら私はひゃっふー!と異世界放浪記の旅に出るからそのつもりで!


「渋る声と言うがクロムフィーアは『名も知らぬ方』と『急な縁談は断りたい』と言ったのだけだ。まだ渋ってはいない」


「急な縁談は断りたいのです。渋ってるではありませんか。これから3人で関係を作って再度婚約、うまくいけば婚姻を申し込ませるつもりでしょう?させませんよ」


 それは勘弁!お父様ファイトっ!


「お前は娘の気持ちも聞かずに事を決めるのか?王子と婚約など、端から見れば羨ましがるほどだぞ」


「それはその場所が欲している娘たちの思考でしょう。他の娘たちと私の娘を一緒にしないでいただけますか」


「それを踏まえて王子たち自ら選んだ結果がクロムフィーア個人だろうが」


「では聞きますが王子たちは本当にクフィーを好いているのですか?一度しかお逢いしてないはずですよね?8つの差があるのです。私の懸念している事は分かってると思いますが、成人の儀に婚約者が間に合わなかったからクフィーで代用しようものなら許しません」


「それは本人たちに聞いてみないと分からんな」


 白熱の言い合い………………の結果がみんな一斉にこちらを見る結果になりました。私は被害者でいいよね?こういうのは先手を取ることで逃げるが勝ちとよく言ったものだ。


 すかさず双子ちゃん王子を交互に見て様子を伺う。だいたい以心伝心?の二人は同じ行動、または左右対称な行動をする事がよくある。見ていて面白いものだよね。見る分は。


 しかしながら私の面白味は一瞬で砕けた。まず、弟のローグラム王子。ちょっと悩む素振りで私の方を見ていた。ううん。その目線の先は私の頭を越えている。視線は王子たちの方が高いからね。


 私を飛び越えて見えるのは双子ちゃん王子の兄、アーグラム王子、ですね。私を見ていないとなれば私に好意を寄せていないのは明らかでしょう。


 あんな話が目の前で交わされたんだよ?ここで私の好きな部分をあげていかなくてはお父様を突破できない。それに、ローグラム王子の瞳は心配そうな瞳で向こうを向いている。美形少年がやればまさに絵になる構図です。憂いも捨てたもんじゃない。


 さて、アーグラム王子がどうした、と振り向けば―――うん。これが美少年の困惑か、と。やけに冷静にその姿を見てしまった。


 目を合わせないように視線は陛下の方へ向けられている。まさか合わせようと回り込むわけにはいかない。ならばその横顔を見つめるしかないよね!


 まあ、整った美少年の横顔が堪能できるなんて滅多にないから今のうちにでも目に焼き付けておかないと損だよ。


 じぃー、と見つめて………………なんとなく、顔の色が薄いグレーに変化してる模様。あ、顔を背けられてしまった。


 しかし、出ている耳がやはり薄いグレーのような………比較物(ローグラム王子)で見比べるけど、やっぱり白と言うより薄いグレー。風邪かな?だからローグラム王子が心配してるのか。こりゃ大変だ。


「アーグラム王子?体調が悪いのであれば無理をなさってはいけませんよ?」


「え!?」


 おお、振り返ったね。その顔は全体に薄いグレーで瞳が滲んでいるような………うーん。辛いんじゃない?


「大丈夫ですか?なんだか顔色が悪いように見えるのですが(薄いグレーな顔ってやばそうだもんね)」


「ま、待て!これは別に悪いわけではなくっ」


「でもローグラム王子より顔の色が濃いですよ?なにかあるのではありませんか?」


「………色が、濃い?」


「そうですね。私にはそうとしか見えませんが」


 双子ちゃんだから比較対象があって見分けるのが楽です。そう伝えると、ものすっごい!深いため息を吐き出したアーグラム王子。左反面を押さえて唸ってます。まったく意味がわからない。


 ここは大人に助けを求めたいと思います。陛下は顔が見えないので論外です。てか陛下に助けなんか求められない。


 とりあえずお父様―――は、軽くスルーの方向で。もう肘ついて落ち込んでる。あそこだけ暗い。なにか取りつかれているのかもしれない。


「馬鹿な。あり得ない。違う。そうじゃない。こうなるんじゃない。これは違うんだ。一種の勘違いだ。間違いなんだ。認めん。王子だろうが認めんぞ」


 まるで呪詛のよう………………やっぱり放っておこう。じゃあ誰が助けになるか。ここは年の功、ヴィグマンお爺ちゃんに白羽の矢を。


 はい、こっちを見ようとしません。身、一つ動かそうともしません。知らぬ存ぜぬは私の特権だと思っていたのに!!じゃあレーバレンス様!!も総無視ですかっなんで!?


 じゃあ残るは宰相様しかいないじゃないですかっ!!まるで睨んでいるように視線を送ってしまったのは否めないけど、これは事件です。王子がおかしいんです!だから救いの手を!!


「っ…………!」


 笑いこらえてどうするよ。


 唯一の救って下さるだろう宰相様は口元を押さえて懸命に声を圧し殺しています。ええ、あの震える肩。眼を合わせないための背ける顔。堪えるその姿はまさに笑ってます。


 大人組、駄目じゃん。と言う事で陛下………は、分からないのでローグラム王子に視線を。彼は私に気づいて気にしないように言う。いや、気になるんですが?


 首をかしげたら


「それはわざとなのか?なかなか可愛いな」


 と、お褒めの言葉を………………お父様以外に貰ってしまった!?王子、目は大丈夫!?


 私の隣も大丈夫かと聞きたいぐらい焦った声が聞こえるけどね!!双子ちゃんなんだからそっちは別の場所で相談して下さい。私は今、目の前で巻き起った摩可不思議な謎を解明すべく、そのためにご飯に集中するのです。


 陛下がご飯を持ってくるように合図を送っていたのを私は見たよ!片手だけで動くメイドさん。素敵だね!!


「夕食にしよう。なに、楽しい晩餐でいいではないか」


 その楽しそうな声色はなんでしょう。顔が見えないって難しい。


 ただ、その一言で私を跨いで言い合っていた双子ちゃんが静かになったので素直に喜んでおこう。お父様まだブツブツと何かを言っているけど。―――あそこだけ空気が重いけど。呪われてるのかも知れないけどっ。


 ようやくありつける王宮の晩餐に、私の意識はすでにをそちらへ向いているので。もう気にしない事にした。なんだか異様な空気だけど、今から普通の晩餐が出きることを素直に願うよ。




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