現実を見ましょう
誤字等を修正いたしました。27.3.26
再!修正!『い』が抜けるのはなぜだっ!!27.3.27
じゃじゃん!私、ついに1歳になりました。
待ちに待った1歳だよ!ようやく1歳だよ!もーっ!!あんまり動けなくて泣きたくなったよ!
それでもまだ変化があんまり見られないから泣きたいものだけどね。頼むから誰かと新たな出会いを求む。お見合い的な意味ではなく。お友達を!
1歳になってもまだまだ、新たな誰かと出会える兆しが見えません。なんでですか?もしかしてジェルエさんとダリスさんは私の両親だったりするのかな?え、教えてくれてもいいじゃん。
1歳ごろになってようやく言葉も理解できるようになったんだよ!凄くない?普通の赤ちゃんならどうなるか知らないけどね。あ、別にすごくもなんともないや。
とりあえず私は『クロムフィーア』であたりらしい。因みにわからなかった語尾は『さま』だった。あれ?ならジェルエさんたちは親じゃないじゃん。
それで前に出てきた『リアディリア』が私の姉で、『トフトグル』が私の兄らしい。そして私はどうやらこの二人の兄姉より世話を焼かなくてとても楽だと言われた。とくに夜泣きをしなかったから楽だったんだって。
近頃ではジェルエさんがちょこちょこっとお喋りしてくれるようになって得た情報です。私一人を相手にしていたら愚痴も溜まるもんだよね。
とくに姉はどうもやんちゃで我が儘だったらしいよ。ジェルエさん大変だね。それを聞いたら迷惑かけられなくて泣けなくなったよ。でも心配するからたまに泣いとく。いや、お医者様と相談しなくちゃとかやめてね?
それで、『クレラリア』が母親っぽい?でもジェルエさん的にダメ親な指摘………………と言うか私に逢わせないようにしてるみたい。嫌われフラグですか?
あ、因みに『グレストフ』は父です。ダリスさん情報で得ました。旦那さましか呼ばなかったからこの名前は誰だろうと思ってたらダリスさんに諭されました。
すごい真剣な顔で。
「旦那さま―――グレストフ様によく似ていらっしゃる。だからクロムフィーア様は絶対にこの部屋から出ないようにしてください。決して、父親に似ないように」
まだ1歳になったばかりの赤ん坊になに諭してんの。て。突っ込みたかったな。てか父を否定するのですか。主でしょうに。
でも余りにも真剣な顔で言うものだから脱出計画はやめておいてあげた。そうしたらダンディダリスさんはいい笑顔で笑ってくれるんだもん。しかも玩具までくれるんだ!笑うしかないでしょ。にへら。
そんなわけで私は父似の赤ちゃんです。覚えたよ。でも逢えないんだ………………なんで逢えないんだろ。
とりあえず私の進化を聞いてください!なんと―――ようやく高速ハイハイ出来るようになったんだよ!元気な赤ちゃんだぜぃ。
と、言いたいところなんだけど。そこまで元気じゃなくなる。今、三回ぐらいやったんだけどね。興奮しすぎると倒れます。意識がプッツンとなくなる。
初めての時はハイハイできたよひゃっふー!と駆け回っていた時―――事件は起きた。
這いずりからハイハイに進化した私はあまりの嬉しさにジェルエさんの回りを走って玩具まで駆けていって、ジェルエさんに届けてまた回りを駆け回っての繰り返しをしていた時………………心の中も最高潮になったのでひゃっふー!とか叫んでいたら熱がぐわ、と。あがったと思ったら意識を飛ばしていた。
その後よくわかんないけど寝ていてね。てか気絶じゃないか。目を覚ましたら珍しく焦っているジェルエさんの顔があってにへら、と笑っておいた。この時にお医者様は様子見、と診断されたらしい。
それからハイハイは普通ぐらいにしといて………………今度はダリスさんのくすぐりが上手すぎて笑いまくったら興奮したのかまた気絶。
起きたらダリスさんが凄い蒼白な顔しながら安堵しててとりあえず、にへらと笑っておいた。でもダリスさん近づいてきてくれなくなった………………こりゃヤバイ!情報がなくなるっ。
しかし、ダリスさんが遠退くならば駄々っ子になればいいんだよ!私1歳!大・号・泣!
ダリスさん捕まえました。にやり。元通りだよ。さすが私。
そしてまだ記憶に新しいあの事件。興奮するとなんとなく気絶するんじゃないか、なんてわかったからほどほどにはしゃげばいいじゃないか。なんて。
ほどほどがわかんないけどやる事がまずないからね。だから大人しく、を心がけて。ダリスさんが待ってきてくれたウサギの(でも角が生えてる)ヌイグルミと、ジェルエさんが持ってきたなんかの針鼠みたいなでもフサフサしてる丸い物体のクッション?を抱き締めて遊ぶことにした。
さすが貴族だよね!ウサギ(多分)はモコモコで気持ちよすぎだし!丸い物体は肌触りなんか良すぎるし!
うふふ~とか思いつつ顔を埋めて喜んでいたら興奮したのか気絶。てかじゃっかん窒息しそうになっていたためにお医者様が登場らしい。寝てた(気絶してた)からわかんないけど。
起きた私にジェルエさんがため息を吐きながらこうだったのよ、と教えてくれる。だから1歳になに語っているの。
でも心配かけちゃった。ごめんなさい。
それ以来だね。完全な付きっきりでもう離れない気迫を放つジェルエさんが怖いです。監視されてます。ストレス溜まっちゃうよ。
でも、心配しても寝る最後に安心したように頭を撫でてくれるから―――いっそママと呼んでいいですか?
最近ようやく言葉が出るようになったんですよ。「あー」と「まー」と「ぶー」だけどね。
あー、は発生練習みたいなもので。ぶー、は嫌だとかそのまんま。トイレの時よく使います。まー、は当然ご飯だよ!
使いわけて会話しているんだ!その度に「どうしたの?」て声をかけてくれるジェルエさんはマジでママだと思う。ママじゃないんだよな………
それと、気にしたくなかったんだけど………………最近、その興奮のおかげでようやく落ち着きを取り戻した私は現実を見ることにしたよ。
もしかしたらあの興奮は現実から目を背けるためにしていたのかもしれない。
だって―――私の見える世界が白と黒でしか映し出されていないんだもの。
最初はまだ赤ちゃんだし、色なんてわかんないんだろうと思った。実際に見えるのも1歳でようやくボヤけていた視界がクリアになっていたんだもの。見えない、じゃおかしくなる。
最初は白が多かったからそれほど気にしてなかったんだけどね。ダリスさんなんかスーツ。ん?燕尾服かも?わからん!まあ、それが黒だったから気にしてなかったし。
ジェルエさんの髪も服もそんなに気にしなかった。けどね。
ヌイグルミを貰ったとき、すごい違和感を覚えた。ウサギは白く見える。そりゃあ私の知ってる基本のウサギは白だからなんの疑問も持たなかった。ただ、次に渡された針鼠くんは納得なんて出来なかった。
丸い物体の触り心地はウサギのと比べると断然いい。おまけに丸くてちょうどいい抱き枕なのだ。
だからウサギも抱き締めるけど二つ抱えると興奮するからよくこの針鼠くんに抱きついて眠ることが多い。
そこで聴こえた話。
「やはり赤ちゃんは目立つ赤色を好むのね」
赤色。赤色なんだって。この針鼠くん。想像しただけで禍々しいね。
確かに赤ちゃんはまだ視力が覚束ないから目立つ色で気を引かせたらいいとか聞いた事はある。
でもね、ジェルエさんにそんな事を言われても私にはちょっと薄めた黒にしか見えない。
それが決定的な瞬間だった。