私の魔力量と属性
改訂いたしました。27.5.8
扉に入って見たものは、なんとすっごく知ってる人と眼が合いました。今日も真っ黒ですね!後ろの髪はそのまま長いんでしょうか!?
すぐにお辞儀しちゃったから確認はそれほど出来ていないけど、わかりますよ。レーバレンス様。あと何方ですか。まあいいか。
しかし、なんでいるのですかね?わかんないけど挨拶を交わしたら前に来るように促される。
そこには二つのテーブルが。一つは角張ってる少し大きめな道具がデン!と独り占め。キラキラ光ってます。魔法具ですね。
もう一つもです!そこには大人の拳?ぐらいの綺麗な水晶玉が。机には色々と魔法陣が書いてある。微かに光ってます。あれは純粋な透明じゃないみたいです。ちゃんと見えるよ。
魔法陣=レーバレンス様か。そうか、王宮魔術師筆頭様は使われている魔法具の管理も行っているんですね。そんな感じかな?水晶玉はよく聞くマジックアイテム!異世界ひゃっふー!
でもレーバレンス様を呼ばなきゃいけないほどこの魔法具ってすごいものなの?責任者がいないと使えないとか貴重って意味?お疲れさまです。
「クロムフィーア・フォン・アーガスト………アーガストと言えばグレストフ十進魔法師殿の娘か?」
ええそうですよ。王宮筆頭魔法師と十進魔法師の一の席を担うお父様。は、仮の姿で本当は親馬鹿な父です。
肯定をとったらまるで珍獣でも見るような眼でジロジロと見てきたんですが。なんだこの人。失礼です。
七三分けのピシッとした髪型に鋭そうな眼光。うん。濃そうな髪と薄そうな黒ですね!これはそうだな…………お父様に近い感じがする!瞳は水色かな!?
もう一人は白いけどグレーっぽくてどっち付かずだね。ピンクだったら笑うな。瞳も似たような感じ?もうあなたピンクでいいよ。おっさんだけど。M字の侵食はきっと早いでしょう………見ちゃいけなかったかな。笑いそう。ピンクで。
「まず、魔力を測定しましょうか。そちらへ」
ふむ。目付き悪い人が進行でピンク(だと面白い)のおじさんが案内役かな?レーバレンス様は監督ですか?楽でいいですね。
案内された一つのテーブルはわざわざ子どもの身長に合わせられた低いもの。あの変な道具が陣取ってます。針も付いてるね!
まるで気圧計………そっか。これなら見易いのかな?見つめていたら進行人から説明が入りましたー。
「これは魔力を測るための道具でね、とても貴重だ。変な事はしないように。とても高い。金貨数十~百のものなので、くれぐれも壊すような真似はしないように。親が泣くぞ。この天を指している針だが、魔力を通したら触れたものの魔力を読みとって限界まで右に振り切る。この天から近ければ魔力はそんなにもたず、青いラインの真ん中辺りが一般的な魔法師の持つ魔力量。右の赤に近づけば近づくほどその人の魔力が多いことを表す」
へぇー、なんとなく色が別れてけど境目がわかんない…………まあ、半分あたりからだんだんと濃くなっているよな気がする事も、ない?
言い切った感バリバリに漂わせて教えてくれた進行人はどうぞ、と私に進める。その眼が次第にランランと輝いて見えるのは気のせい、気のせい。
言われた通りにやってさっさと終わらせよう!
誰の手形か聞きたいぐらいの大きな手のひらの型に私の手を乗せて針の動きを見つめる。キラキラが少し強くなったけど見える針も―――細くてなかなか見にくいよ。頑張ってみなきゃ。
ゆっくり右回りに動く針を見て……ん?止まっちゃったよ?これで終わり?1センチ―――と、この世界だと語尾に『クター』って付けるからええと。1センクター、だね!あれ魔力がショボくない?
それを思ったのはみんな一緒だったらしい。沈黙がかなり痛い。多分、みんなお父様の娘は魔力が高いんだよ!て噂になってたみたいだから期待してたんじゃないかな。私だって期待してたよ!!
「これは………………どういう事だ!?あの噂は嘘だったのか!?」
「誰だあんな噂を流した奴っ」
いや、私に言われたって。私にどうしろと言うんですか。なんとなくレーバレンス様を見たらため息までつかれたんですけど?
え、レーバレンス様も期待していたよって人ですか?過度は駄目だって。
「クロムフィーア嬢、抑制魔法具を外しなさい」
「あ。すみません、忘れていました」
ため息ってそのため息だったんだね!いそいそと外してたらおじさん二人が変な顔してます。抑制魔法具の影響が出ちゃ駄目だから、レーバレンス様に預けて、と。
じゃ、もう1回!
改めて手形の上に自分の手を乗せる。なんとなく魔力が吸われた気がするんだけど、これが測るために必要な事なのかな?
針を見つめながらそんな事を考えてみる。その針はどんどん時計回りに進んでいって………………あ、一周しそう。
「待て。悪いがこちらでもう一度試すように」
レーバレンス様に止められました。なんで?手首をひっぺがすように掴まれてあえなく後退させられますよ?どうした。
おじさん二人も変な顔のまま魔法具を似たような奴と交換。無言が痛いのは本当にどうした。空気、おかしいよ?
またもやもう一度、と言われたので手を離してもらってやり直し。同じ速度で針は動いて………ちょうど一周?ぐらいで止まっちゃった、ね。
カリカリと何かを書き込んで神妙な顔付きでおじさん2人は私と、紙と、ペンを交互に見て動く。レーバレンス様もなにやら書いてますなあ。
私はこのままですか?もういい?
「次に、行きましょう」
どうやら次に移動です。もう余計な事は言わなくなりました。でも、説明はしたいみたいです。
さっきの魔法具は最初のよりもっと強化した物らしい。魔力が高い人専用の、魔法具。半分ぐらい濃縮したから普通の奴一周分に対して強化した奴は目盛り半分。
私は最初の魔法具で一周しそうだから代えた方がいいと、レーバレンス様が判断したみたい。あのままだと壊れる可能性が高いとか。よかった。弁償をま逃れたよ!説明ありがとう、おじさん!!
そして次にとうとう、私の属性がわかる魔法具登場です!この水晶玉がそうなんですよ!!
「これも触れるだけで結構です。いいですか?魔力を探さなくてもいいですからね?壊さないで下さいよ?」
なんで敬語なの。そんなの知らないよ。だったら抑制魔法具をつけさせて。でも先回りされました。短い期間しか合ってないのに、よく理解してらっしゃいますね、レーバレンス様。
「この抑制魔法具は少し強い。下手をすれば属性が感知できないのでまだ付けないでもらう」
はい。そうですか。ならば今度こそさっさと終わらせて帰ろっと!
ではと促されたので早速、手をかざす。テーブルが低くてありがたい。
魔法陣が書いてある真ん中に置かれた水晶玉を………………魔法陣は見ない方向でいこう。『貴方之属性教得手下才※貴方の属性教えて下さい』なんて、読めませんでしたからね!笑っちゃいそうなんで止めてっ。なんで訪ねてるの魔法陣っ!!
ぐっと堪えて水晶玉に意識を向けるさて、どうなる。キラキラしてます。こうなるか。
「え?」
「ん?」
「………はぁ」
レーバレンス様、お疲れですか。ため息しか出ていませんよ?私もよくわからなくてお疲れですが。
手をかざしたのはいいんだけどね、なんと言いますか。やはりと言いますか。なんで考えなかったんだろうと、すごく後悔してますっ。
かざした水晶玉からボヤリとキラキラ発動で中に色がつくみたい。異世界ファンタジーでよく読む属性を調べる時ってそれぞれの色が出されるんだよね。ふっ………わかんないよっ。もう泣いちゃうよ!?
とりあえずグレーです。それしかわからない。あ、でもマーブルになりかけで端にちょっと濃いめのグレーを発見しました!んん、でもこれ少し逆の場所に薄いのもあるね。なんだろ。
誰か教えてくれる事を期待して3人の表情を伺う。進行人は眼と口を開いて微動だにしません。きっと現実逃避してるね。
じゃあ、M字のピンク髪希望のおじさん、は………ただ水晶玉を見つめて停止しています。表情筋の機能も停止してる模様。レーバレンス様顔負けの無表情です。
さて、本命のレーバレンス様は?頭抱えています。こちらも再起するためには時間が必要でしょう。え、私とんでもない事しちゃった?
まさか、属性3つ、とか?まっさかー。あの仮説は本と家系図を見て、かもねー、て口にしただけなんだけど………………稀なんでしょう?
誰かっ!真実!!
「………王宮魔術師筆頭、レーバレンス・ヘクト・ミュグダスがこの場を持って全責任を負います。この事は他言無用。報告は私に一任させてもらう」
「………十進魔法師九の席、エモール・ポルナ。王宮魔術師筆頭に従います」
「同じく十進魔法師四の席、ゴーデ・ロバック。王宮魔術師筆頭に従います」
「彼女の属性は3つを所持しているようだが、他の火と風の2つが薄い。故にクロムフィーア・フォン・アーガストの属性は水属性と診断された事にする。お前の属性は水だ。なお、この事は先程に言ったように他言無用にするように。この事が許可なく露見する事があればそれ即ち、二度と陽を拝めないと思え。クロムフィーア嬢は出来るだけ火と風の魔素に近づかない事を胸に止めておくように。この事を父親以外には告げるな。以上。理解したのならこの場で名を告げ、了承を告げよ。名を告げたのならば、それは例え口約束でも契約だ」
「………………………………クロムフィーア・フォン・アーガスト。心に刻みました。―――診断、ありがとうございました。これにて、失礼させてもらいます」
どうしよう。怖い事になっちゃった………




