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ふりまけ社交

改訂いたしました。27.5.8

 どこの誰だかわからない男の人に私のせっかくの社交の場を崩されて、まあ内心ちょっと荒れ模様な私ですが。なにか?


 笑顔がちょーっと、引きずっているような気がするけどすぐに建て直した私はすごい。よし、私はすごい。


 なんか虚しくも感じるけど違うことを考えてなきゃ眠くなりそうなのが真実です。もう疲れたんだよ。主に両親の対応でっ。


 それで、いったい誰が止めたのでしょうか?私の社交場を返せ!


 前に並んでいる長めのテーブルの脇からピン!と背筋を伸ばした男性が一人。貴族特有のフリルたっぷりのシャツに片方だけマント。


 しまったな。異世界大好きだけど冒険ものばかり読んでいたから服の名称がわかんない。


 とりあえず、豪華って言うか派手だなーて感想で終わらせておこう。まあ、お偉いさんだよ。スカーフ止める石がキラキラ光ってるから、身を守らなきゃいけないほどの、お偉いさん。あれは魔法具なのかな?


「まず、陛下からの挨拶です」


 と、言うわけで静まり返った会場は進行します。声をかけたあの人が進行役みたいです。なんと癖っ毛な髪なんでしょうね。眼鏡が研究者を思い出させるよ。


 その男の人の声で横から陛下?らしき人物が入ってくる。なんか重そうなマントと王冠を着けて大股で来るんだけど。王冠は必要なの?わかんない。


 まあ、眼を合わせてはならないと言う本能と常識で咄嗟に頭を下げたのは言うまでもない。数人も同じことをしている。色で説明できないのが申し訳ないけど、けっこうな短髪で白髪。少しガッチリ目の体系に見えなくもない。ローブ?がひらひらすぎるし一瞬で判断つかなかった。


 脇目で確認したところ、私と同じく頭を垂れたのは近くにいた。伯爵から上位のお子さんなんじゃないかな。隣の子爵であるアトラナちゃんはきょとんとして私を見てた。これが爵位の差、ではないだろうか。


 下を向いているから回りはどうなのか分からないけどね。隣から慌てたように布が擦れる音がする。


 それから陛下からのお言葉を頂いて、早急に去っていく。まあ、子どものために王が出てくる方がおかしいよね。後でお父様に理由を聞いてみよう。


 緊張が溶けたのか、それぞれ子どもたちが安堵のため息を溢すなかで親側のテーブルは少しざわついていた。


 私はお父様やお母様と眼を会わせるだけで何が起こるか分からないので、あえて見ないけどね!こんなところで家族愛をおっ始められたら困る!切実に!てか次の指示が聞こえないから黙っててくれないかな?


 進行の人が次に行われる事を述べていく。どうやら、順番に別室に行って魔力量と属性を調べるんだって。


 その間は自由にお茶会なり軽食なり暇を潰せと言うことらしい。ああ。嫌な予感。


 そうと決まればさっそうと親の元へかけていく子どもと。自分はどうすればいいのか辺りを見渡す子ども。隣の子に意見を求める子ども。様々に動き出す。


 私?私はさっそく始まる査定の出ていく子どものチェックです。こう言うのは公爵から順番に行くと思うんだ。ほら、貴族って爵位とかうるさいじゃん。


 だから今のうちに覚えておいて、関わらないように心がけるのです。ただ………色で覚えられないのがネックだよね。


 顔の特徴で覚えろって言うのも苦しい。ホクロがあって見分けやすくなっているのならまだしも、人の顔なんていちいち細かく覚えられないよ。


 しかも、まったく関心が持てない人の顔を。下手をしたら顔をしばらく凝視していなきゃ覚えられないよ。


 一番始めに入っていく子どもを見送って次は親の確認。やっぱり、身なりが良すぎる―――気がする。駄目だ。お母様に聞いてこよう。


「あ、クロムフィーアちゃんもどこかに行くの?」


「ええ。少し聞きたいことが出来ましたから」


 なんかすごく引き留めたそうにこっち見てるアトラナちゃん。なんて罪悪感を残すかな。


「私、心細いからこのまま一緒にいては駄目?親がとてもすごい顔をしてるの」


 そう言うのは男の子にやろうね?顔を私の位置より下にわざわざずらして見上げる感じにつくらなくてもいいから。親の顔色はすごいとかそれはさっさと行った方がいいよ、家より控えめに言ってくれると思うから。


 あと、胸元で手を組んでお願いします!て感じのオーラも出さなくてもいいから。さっさと行こう?君、状況をわかってる?


 おかしいな。相手の爵位が上である場合はここまで声なんてかけちゃ駄目だったと思うんだけど。私が言っていないのがいけなかったのかな?え、私ってそんなに伯爵令嬢っぽくない?そんなっ………


 しかし、私はやる事があるのです!御免なすって!!


 出来るだけ優しく断りを入れて素早く遠ざかる。でも優雅に、ですよ。そうしないとお母様が怖いので。


 後ろから舌打ちのようなものが聞こえたような気がしたのは私の疲れかな。嫌だなー。まだ帰れないのに。面倒だよー。


 少しだけ首を動かしてお父様を探す。って言ってもすぐに見つかったけどね。探すまでもなく、自ら来られましたとも。


 そしてランランと輝くその瞳はなんですか?おかしいな。魔法の影響なんてないはずなのに輝いて見えるだなんて。ちょっとドライになってきちゃったかも。


「クフィー、可愛いよっ」


 声を抑えているけど、ここでも通常運転ですか。


「教えていませんでしたけど、よく咄嗟に頭を垂れましたね。母は嬉しく思います」


 どうやら咄嗟に頭を下ろしたのがよかったみたい。やっぱり王様が出てきたら見ちゃいけないのが常識か。ついでに聞いておこう。


「お父様、お母様。なぜまだ7となる子どもの認定式に、陛下がお姿を見せられるんですか?それとも影武者ですか?」


「本物かは教えられないけど………まあ、簡単な事だ」


「7歳と言っても貴族の子(・・・・)だからよ。今日この日に騎士の道へ進むものと、魔法師の道に進むもの。それぞれは最後にたどり着く者は陛下を支えるために傍らへ歩むからです」


「王は身を守るために、もっとも信頼が出来るものしか傍にいてはいけない。だからここで親がどのような教育を受けさせているのか見定めて、適応力や判断力を試されるんだ。目の前のテーブルに数人いただろう?あの人たちが今日の子どもたちをみて評価して後で陛下に報告するんだよ。まあ、試験みたいなもんさ。さすがに女の子は城に貢献する子が少ないせいか、そのままの子が多かったがね」


「因みに王子の認定式も近ければ女の子たちは別の評価を付けられるわ。それでも、あくまで目安みたいな事よ」


 いやいやいやいや。こんな時に目安測るな!


「それを私に言ってしまって宜しいのですか?」


「終わった後だからね。もうどうしようもない」


 そりゃそうだね。今のなしで。


 まさか王の突然訪問はちょっとした試験だったなんて、誰が思うよ。


 うんざりしているように回りを伺ったら、私と同じように親に聞いたのだろう。青ざめて落ち込む子が数人いた。


 後は楽しそうに親と話している。あ、最初の子が終わったみたい。まさかこれも何かの試験とかじゃないよね?


 とりあえず、構ってほしいオーラ全快の両親にどこの貴族か教えてもらいながら談笑に励もう。放っておいたら叫びそうだもん。本当にオンオフが激しい親だなぁ。


 話ならなんでもいいのか、誰がどの貴族なのかと色々教えてもらいながらお勉強。ぐるりと見渡しても、どこも家族となにやら話していた。


 アトラナちゃんも結局は親の元へ行ったらしい。私の顔をみて驚いているのは爵位を聞いたか、父の有名さを知ったか。さて、どっちだろう。


 眼を会わせたらこっちに来そうだから合わせないようにお母様に話を振っておこう。社交はまだ慣れませぬ!


「もう少しでクフィーの番ね。今年はやはり少ないわ」


「代わりに平民の方は多いみたいだ。一人二人ぐらい魔力が多いと報告を聞いている」


 だから、そんな情報をぺらぺら喋っていいの?それとも大した事のない情報?まったく分かんないよ。


「失礼。クロムフィーア様で宜しいでしょうか」


「はい。何かご用ですか?」


「順番でございます。魔力査定へのご案内をしますので、着いてきて下さい」


「ありがとうございます。お父様、お母様、行ってまいりますね」


「行ってらっしゃい。ここで待っているわ」


 待ってくれるのか。心細いからそれはありがたいけど………………果たして私は見つけられるかな?


 ドレスも淡い系が流行りなのか白っぽい貴婦人が多くてお母様で探すのは当てにならないかも。お父様でわかるかな?すぐさま声かけてくれたらなんとかなると思うんだけど………


 最初に連れてきてくれた騎士様(マントの色が一緒だから多分!)に連れられて一つの部屋に案内される。


 中に入れば一人の男の子が繋ぎ扉のすぐ近くに設置されている二つのうち一つの椅子に座っていた。私の顔を見るなり立ち上がる。


 う。これが世に言う貴族の挨拶か!?先手を取ってくるとはっ、侮れないね!挨拶は基本!こいっ!


 私が近づけば軽く会釈。私も会釈。そして何も言わず私に席をエスコート。完璧ですね!


 微笑んで座らせてもらえば彼も座って静かに、並ぶ。会話はしませんよ?お父様が言うには相手も伯爵らしいけど、目が合わないなら話しかけないんだって。


 やたらと喋るより助かるよ。隣に騎士様がいるせいだったら笑っちゃうけどね。


 話もせずにどこか一つを見つめて待てば、中に入っていたらしい男の子が出てくる。彼も私たちに軽く会釈をしてきたのでそれを返せば傍にいた騎士が彼を連れていった。会場に戻すためかな。


 それを見送った後は座っていた男の子がまた私に会釈をして部屋の中に入っていった。扉がしまったらすかさず私が隣の椅子に移動。うん。ほのかに椅子が暖かいです。ちょっとやだ。


 見張りの騎士が扉の前に立っているけど、当たり前に会話はなし。しばらくそのまま静止して待てば足音が。どうやら次の人を連れてきたらしい。今度は女の子。


 優しげで少しだけふくよかな。項の脇に二つのおだんごをぶら下げたグレーの髪。んー、グレーなら寒色系かな?ぼやけないから本当のグレーかも。


 瞳も優しげに私を見て微笑んでる瞳は白より!白よりだと………なんだろ。金、とか?いいな、それ。大好物だよ。金の瞳。


 さっきの男の子と同じように私も立ち上がり会釈をしておいた。ニッコリと笑い返してくれたので、挨拶は大丈夫でしょう。確かこの人も伯爵家だったかな。


 でも、いくら女の子同士でもお話はしないよ?さっきみたいに髪―――しかも色で誉められたら私の場合は絶対に返せないっ。お世辞にもさっきの返し方はアトラナちゃんが気づいてなかったから出来たものだし。


 ちょっとドキドキしながら待機。異性であれば無理に喋る必要ないけど、同性は危険です。気を許して話しかける例が。すごく怖い。


 顔に出さないようにすまし顔で………次が来ました。みなで会釈を交わして私は部屋へ。


 さて、いったいどんな事を、するのかな?




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