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不本意なお茶会

改訂いたしました。27.5.7

 

 今日、私は、誘拐と言う突拍子もないイベントにあいました。オブラートに包んだらお誘いです。お茶の。


 レーバレンス様と和気藹々?に話していたら突撃マルカリアさん!が、何かを叫んで私を空中に飛び去っていきました。


 空中にいる私は地につかない足と、いつか顔面強打をするんじゃないかと思うほどの激しい高低に意識を飛ばしたのは言うまでもない。


 ようやく意識を取り戻し、眼を覚ませば全く知らないところにつれてかれていた私。目の前にいい笑顔のマルカリアさん。


 ちょっと、張り倒していいですか?


 じゃっかんその顔を見たらイラッときちゃいました。なんて事するんだよ?ジェットコースターも黙っちゃいない恐怖に見回れて怒らないはずがない。


 でも、起きれば即効で「着替えましょうね!」とか言ってどこから現れたのか三人のメイドさん。連携と手際のよさで瞬きしてたら着せ替えられました。


 そして私を抱えてすごく嬉しそうに歩いた先は庭。それも中心に。しかも、そこにはソファー………………


 異次元ですか?そう言いたくなるぐらい、白?のソファーは明らかに浮いていました。因みに私から見てテーブルも白。テーブルがデカイくせになぜ細く中央しか支えていないのか意味不明である。


 端に重みがいけば絶対に倒れる、よね?それなのにそのテーブルのにはすでにティーカップなるものと中央にお菓子。あ。よく見たらあのテーブル光ってるじゃん。


 さらには一人の男の子が肘を付きながらついでとばかりに私たちを見ていた。隣の男の子と同じ顔の双子ちゃんだ。そのさらに隣にはキリッとして凛とした切れ長目の女性。


 近づけば優雅に会釈するマルカリアさんは、私を紹介すると目の前の3人の前に平然と座り始めた。


 私は彼女の膝の上。まったく意味がわからない。


 確かに私と、て言質をお父様からかっさらっていたよ?それでなぜこんな形になるのかな?あれは不充分すぎる言質だったよね?


 今見ただけでもわかるのは、5人で仲良くお茶会しましょうね―――じゃなくてこれ、子連れのママ友お茶会だよね?絶対に子どもはついででしょ。


 そう言わざるおえないのが、この大人たちがおほほほと笑いながら優雅に紅茶を飲んでいるから。


 会話はこの大人だけで、何一つお茶会をしている気分にはなれない。


 私が思うに、お茶会はみんなでお茶を飲んで楽しくお喋りしましょ?と言うのがお茶会だと思うんだ。


 でも実際は子どもを置いてきぼりで放置だよ。しかも私はマルカリアさんの膝の上だから逃げられない。なんたる事かっ。


 しかし、我慢強く待てばようやく私もお茶会に参加できるようで………………挨拶させられました。もう、ついていけません。野放しを希望です。


 さて、私はこの人を知らない。どう挨拶した方が一番いいんだか。


 この二人の会話はすでに世間話。ならば私は誰の娘ではなく、私の名を言えばいいんだろうか。えぇい、ままよ!無難な挨拶で失礼!!


「クロムフィーア・フォン・アーガストです。ことしで5さいとなりました」


「まあ。アーガスト魔法師の娘さんかしら?」


「そうなんです!だから引ったくっちゃいました」


 え。マルカリアさん?言葉がすごい突飛してますよ?


「可愛いわね!アーガスト魔法師が自慢するだけはあるわ~」


「でしょう?なのに帰ってきてから私、一週間もこの事知らなかったのよ?酷いと思わない?」


「それは貴女を警戒していた事なのでしょうね。子どもを見ると貴方はひどいもの。でも5歳ならなぜここにいるのかしら」


 え、ここで私に振らないでよ。マルカリアさん、なにか言って!


 マルカリアさんにお願いするように言えば、なんとっ。彼女は知らなかったようです!だからお茶しようと誘ったそうな。


 だからって、ね。拐うのはどうかと思うけど。きっと彼女は猪突猛進タイプに違いない。すでに言質?をとっておめかしまでさせられてお茶会してるのだから、それしか考えられないね。


 しかしですね。私にだって秘密の一つや二つ、あるのは当たり前なんですよ。女は秘密を持ってなんぼと言うじゃないですか、5歳だけど。


 すでにお父様たちから箝口令敷かれてるので。はぐらかす方向でいきたいと思います。丸投げとも言うよ!


「なにも言われず、お父さまにつれてこられました。くわしくは、お父さまにおねがいします」


「でも自慢―――するのはいつもの事ね。連れてくるのは初めてでしょ。何かあるはずよ!」


「そうね。クロムフィーアちゃんは本当に知らないの?」


 なんか、鋭い視線を頂いちゃったんですが。相手は5歳児です。脅しは止めてください。


「ごめんなさい。なにも、しりません」


 ええ、5歳児には何も分からないのです。お取り次ぎはお父様へ!どうぞ!


「本当に可愛い子ね。でも―――この魔力量は隠せないわよ?」


 ありゃ、そこにいきますかマルカリアさん。私の抱っこは逃げ出さないためですか。


 にっこりと笑うけど、私から見ていたらあんまりよろしくないよ、その笑み。


 上からビシバシと何かを訴えられてる感じに目眩が起きそう。そんな虚弱な体質だったらこのお茶会が終わるような気がするのに。


 前方では扇を使って笑う美人奥さま。隣に双子ちゃん。お菓子をゆっくり食べている。いいね。そこだけ空間が違う。


 これは前方に虎、後方に狼ってやつ?………………前門に虎、後門に狼………………あれどっちだ。まあいいや。正しいのなんか調べようがない。


 さて、どうやって逃げようかな。


「そんなにまりょくが多いのですか?」


「ええ。ヴィグマンよりは感じとれないけど―――なんとなく、と言う感じで魔法師はわかるのよ」


「はじめて、しりました。私にもわかるようになりますか?」


「これだけの魔力があるんですもの。出来るに決まってるじゃないかしら」


 やれば出来るけどね。やらないだけだよ。てかダブルで攻撃ですか。あの人も魔法師………なの?


 しかし、ここで話題変換をしたいものだね。このまま聞かなかった事にして本当のお茶会に洒落こみたい………ううん。帰りたいな。


 お茶も飲めなくてお菓子も食べられない。マルカリアさんはいいお姉さんだと思ったけど酷い人だよね。


 目の前でお預けを食らっておるのだ。それも、尋問みたいなものを受けながら。


 そろそろイライラしてきた。お父様を出しに帰ろうかな。この人の名前も聞いてないし。帰りたい。


「母上。そいつと話をしてみたい。あっちの花でも見せてやりたいんだ」


「僕も話をしたい。花はいっぱいあるから僕も見せてやりたいんだ」


「あらあら………………そうね。いってらっしゃい。いいでしょう?マルー」


「そうね。問題ないわ」


 名残惜しそうにお腹に回っていた手を一度ぎゅっ、と抱き締めて下ろしてくれた。以外とあっさりしてるんだね。


 ちょっと中身がぐふって来たけど下ろしてくれるならいい。双子ちゃんのおかげで助かったには違いないのだから。


 降りれば当然、とばかりに双子ちゃんの両手を取られて小走りに歩かされる。双子ちゃんは私より頭二つ三つ高いのでついてくるのがやっと。


 もつれそうな足をなんとか必死に動かしてようやく植木で止まってくれるけど………………君たち、私を殺す気かね。


 そんなに遠くに離れるとは思っても見なかったよ!


 たどり着いた場所はあの二人からまあまあ見える程度の距離の植木。なんの木かはさっぱりです。そこに白い―――おおっと、わからないから白っぽい花がいくつも小さく咲かせていた。


 この距離を運動もなにもしていない5歳が休むとかもなく小走り。息切れは当然で座り込んでしまった。もしかして、双子ちゃんも私を陥れたいの?泣いちゃうよ?


「体力ないな」


「体力なさすぎだ」


 そらわかってるよ!じゃあゆっくり行こうよ!あそこのお母さんの優雅を見習って!


「「大丈夫か?」」


 でも優しいとかっ。落として上げるの?それが普通なの?子どもがそんな技能を身に付けないでっ。惚れてまうっ!


 二人して同じ顔を覗かせて心配してくれるとか………なんなの。ダブルで可愛い。


 なんとなくあのお母さんと違うのかな、と思った私はお礼を言ってみる事にした。なんとなくね。だって、この濃いめの瞳は真っ直ぐ私を見てるんだもん。


 疑いたくなかった、と言えば本音かな。私もまだまだ甘いね。よし、息が整ってきた。


「さきほどはありがとうございました。少し、いごこちがわるかったので、お二人に声をかけてくださった事、かんしゃいたします」


「別にいい。母上の嫌がらせはいつもの事だ」


「そう、いつもの事。こちらは名を名乗らなかったのだからお前は帰った方がいい」


 嫌がらせだったんかい!!面倒な相手ですなあ!!


「お茶会のマナーは知っているのか?」


「マナーを知らないなら抜け道はいくつかある」


「多少なりは知っていますが、細かくは」


「じゃあ、このまま帰った方がいい。母上たちには僕らが言っておく」


「ああ。帰った方がいい。何か聞かれたら、お前はまだ5歳である事と頭に起き、マナーを知らない、誰に誘われたのかも知らない、と答えればなかった事に出来る」


「マルカリア―――さまのほうからは、さそわれてしまっているのですが、そちらのほうは―――ああ。いいです。もみけす方法がありました 」


「なら、体調が悪いだろう。帰った方がいい」


「体調が悪いなら仕方がない。帰った方がいい」


 またもやどこから出てきたのかわからないメイドさんを目の前に、双子ちゃんから押し出されて私は服を返した後はそのままお父様の元へ帰った。


 その後はどうなったかは全く知らない。とりあえずお父様に事情を話してなんとか音沙汰もなくお茶会は終了したと言える。


 あれは誰だったのか、は考えないようにした。だって本当の事を告げたお父様が珍しく険しい顔をしていたから。知らない事にしておきなさい、て。


 それがきっかけで私は「城には連れていかない」と告げられたのは………お父様の最善の配慮だと、思いたい。





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