表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/242

魔法の基礎 2

改訂いたしました。27.5.7

 

 次のステップはなんと、魔力の操作でした。ちゃんちゃん。


 え、扱う必要あるの?と思ったらそれが出来なきゃお兄様みたいに勝手に魔力を使っちゃって疲れるらしい。


 逆に操作ができなくて溜めたままで魔法が使えないと思い込む人もいるらしいよ。色々な人がいるんだね!


「まぁ、簡単な話だ。手に集めように魔力を動かそうと意識を向けるだけだ」


 いや、そう言うのはプロのセリフです。でもとても分かりやすい説明どうもありがとうございます。


 ようはそう仕向けるように意識―――イメージでいいんじゃないの。


 そうとわかれば手のひらに集まるようにイメージ。魔力は暖かいから、すごく分かりやすい。集まるようにイメージ。集合。招集。参集。集結。




 集まるように。




 それだけをイメージしていればいつの間にかすごい量の魔力が手のひらに集まってた。手のひらの形がよくわからないぐらい。


 さすがに集めすぎたのか、レーバレンス様が今度は血相を変えてゆっくり止めるように言い放つ。


 うん。これは私もやりすぎちゃったかな。ごめんなさい。


「魔力が高いな。今ので殴れば必ず大事件の引き金になる」


「だいじけんの引きがねって………そこまでですか?」


「私はまだお前の属性を知らない。グレストフの娘なら―――仮に火の属性であればあれだけの魔力に火が灯るのだから大爆発だろう。当事者は消滅だな」


「きをつけます」


「そうしてくれ。ああ、その魔力操作なんだが、そもそもそれは身体強化からの始まりだ。その後は人にその強化を渡す形が出来上がり、今度は別の手段として攻撃魔法が作り上げられた。だから、魔力操作は基礎として絶対に必要だ」


 ほうほう。そんな歴史が。身体強化だって?ならば一部分だけに他より少し強くすれば強化に繋がるんだよね?


 じゃあ、眼を少し魔力で強化したら?もしかして魔力の流れとか見えちゃったりするのかな?むしろ待望の世界に色がっ!?


 よし、やってみよう。


「今、細かい事はするなよ。下手をすれば負荷がかかって使い物にならなくなる」


「あっぶない!」


 まだ馴れてないのに大変な事をやるところだった!お父様にバレたら絶対おかしな方向に騒ぎが大きくなるの間違い無しだよ!


 レーバレンス様の冷たい視線を受けながら私は冷や汗を拭いつつ笑っておいた。誤魔化しは必要ですよね?


 でもどうやら相手は素晴らしい勘の持ち主だったようで、もしもの話でたいへんグロイお話を聞かされましたっ。


 新人が魔法の威力を高めようと指に自分では扱えないぐらいの魔力を集中させたら掌が爆発で手首からなくなる事件。


 火属性の騎士が魔法剣に挑戦しようと、剣に魔力を移動させていたら暴走して根元に魔力が溜まり剣が爆発。折れた刃が顔面に刺さると言う事件。


 風属性が空を飛びたくて足の裏に魔力を集中。集中に目を閉じていたらしく、浮いている事に気づかず魔力の枯渇の転落事件。


 水属性で回復ができるのだが、自己回復を早めるために魔力を集中させすぎて切り口が(ただ)れて治らなくなった事件。


 土属性の騎士が鋼の肉体を作ろうと自分の体全体を強化したところ体内の魔力が土化して窒息しする事件。


 二人分の魔力を集めればどれだけ凄いのか実験して抑えきれなく、あえなく廃人事件。


 土の中を掘り進めて魔素を吸いすぎ、魔力暴走を起こしてしまった事件。ついでに魔物も魔素を取り込んであわや魔物と人間との戦争に繋がった人魔狂騒戦争。


 ようは体内にある魔力は自分の属性に深く関わっており、扱いを失敗すればこんな例があると、淡々と教えてくれた………と。


 しかも最後はご丁寧に穴を掘ったらどうなるか教えてくれる。まさかの事件話で大変ショックだ。


 静かになった私にレーバレンス様は「楽と焦りは禁物だ」とさらに教えてくれた。


 なんだかんだ優しい人だよね、レーバレンス様って。返事は笑っとこ。にへら。


「体内の魔力を操る、どれだけ重要な事か分かったな?」


「はい」


「では、今から体全体を使って魔力を動かす事。集めたり、一点に集めてみたり、全体に均一に広げてみたり。今はまだその程度に止めておけ。これをやるだけで魔力の扱い易さが個人で変わるし、自然と魔素もわかるはずだ。それと今の限界を超えないように。やれば分かるので絶対にそれ以上は無理をするな」


「わかりました」


 ふむふむ。そっかー。魔力を操らなきゃいけないのかー。ちょっと面倒だなー。


 あと30分近くあると言われたのでちょっと集中してやってみる事にした。私の限界はどこまであるんだろ。えーと。


 まず、感じる事。うん。暖かい。次に全体を把握させて………血液と一緒に魔力が流れるイメージで。


 ちょっと難しいかも。これは毎日やった方がいいかな?チートじゃないのがちょっと残念。


 無詠唱とか、やりたかったんだけどっ。さっきの話じゃ無理そうだよね。


 詠唱で魔素を集めて、魔法陣で魔力の固定………うーん。無詠唱にはどうやって結びつけようか。無詠唱だから魔素を集める事と魔法陣で固定させる事をなくす手順を考えなきゃならないんだよね。


 ジェルエさんのをみる限り、何か文字を書いて円(陣)となり、詠唱で出してる。この文字を書く手段もはしょらなきゃならないから………


「レーバレンスさま。まほうじんを、こていする事はできるんですか?」


「出来る。魔法陣をそれ専用の紙と液体で書いておけばいい」


「ではまそをあつめるまほうぐと、すでにかいてあるまほうじんがあれば、むえいしょうまほうになるんですか?」


「………………言葉だけで聞けばその無詠唱は魔素を集める段階を省く事を言う。何がしたいんだ?」


 あ、そうだね。この世界だとそうなりますね!私は指パッチンとかでポンと出したいだけなんだけどな。一瞬で出したいんです!


 だがしかしっ、ここでポンと魔法を放ちたいと言えばさっきもらった注意を颯爽と破る事になっちゃうっ。魔法って難しいっ。


 さすがにそんな事を言えばレーバレンス様がどんな反応をするのか眼に見えている。ならばここは笑って誤魔化して適当に流し、話題を変えなければ!!


「まほうの事を、私なりにかんがえて、りかいしたいだけですよ?そう言えばお父さまは王宮まほうしと、うかがったんですが本当ですか?ふだんがあれなので………レーバレンスさまのけんかいでいいのでおしえてください」


「お前は本当に5歳児か?」


 え、真顔でそんな事聞いちゃう?5歳児かと聞かれたらそうです、としか答えられないよ。5歳なんだから。


 ただ、前世とかで合わせたらレーバレンス様並の年齢になるんじゃない?実際いくつか知らないけど。


 なんだか分からないよ。と言う顔を作って首を傾げておいた。こう言うのはボカした方がいいんです。


 ほら、まだ何か言い足りない渋い顔でレーバレンス様は深入りせずに私の質問に答えてくれる。よし!


 レーバレンス様から見たお父様は性格はとても残念だけど、人当たりがよくて伯爵家までなら幅広く人脈を持っているらしい。


 それに加えて人より強力な魔力。私にはどれほどが強力なのか分からないけど、お父様も十分に蓄えてるみたい。レーバレンス様も、ね。


 魔法はなんと2つの属性を所持しているらしくて、本来は1つ持てればいいものを2つも所持しているのでそう言う人を“ 異常魔法師 ”て呼ぶらしい。


 ヴィグマンお爺ちゃんも感じる人だから“ 異常 ”なんだとか。変なくくり。


 なんだかそんな括りにされたらやだな、って思ってたらそうでもないらしい。環境がいいのか、異常のみんなはそれを受け入れて大々的に公言してるんだとか。




 “ 異常 ”で何が悪い!“ 異常 ”でも人は助けられるし、人を支えられる!




 遥か昔、民衆にそう唱えた魔法師のお陰でもあるかもね。今ではこの国が“ 異常 ”持ちを大歓迎で迎えているとか。懐が広いね、この国。


 そして、私のお父様はそれだけじゃない。魔素を集めるのも、魔法陣を作り上げるのも、他の一人より遥かに精密で早く作り上げるんだとか。


 魔法師は詠唱と魔法陣で大幅に時間がかかる。狙ってくださいと言わんばかりの弱点だけど、お父様はその器用さで通常の半分で魔法を完成させるんだとか。


 しかも綺麗な魔法陣を作り上げるし、魔素を集めるのが早くて濃縮したものだから初級でも上級レベルで放ってくるので、今のところ国一番の魔法師とまで言われている、てさ!!


 そんなに凄い父だとは思わなかったので思わずあんぐりと口を開けたまま固まっちゃいました。だって、誰があの親馬鹿でそんな凄い人物を想像できる?


 魔法師のお父様と普段のお父様がかけ離れすぎて頭が痛いよ。


 なんとなく私の気持ちを理解してくれたのか、レーバレンス様も追撃で


「私も昔はそんな馬鹿な、と現実逃避したものだ」


 そんな事言われちゃあ、ねえ?私の中ではレーバレンス様は信頼できる人だ。ここで茶目っ気を出されても困る。


「そろそろ奴等が戻ってくるだろう。聞いてみるがいい。あの親馬鹿に『異色の覇者の名前が格好いい』と。長々と語ってくれると思うぞ。あいつは自分を飾らないから見たままを答えてくれるはずだ」


「………レーバレンスさまって、お父さまよりお若いですよね?やはりお父さまが色々となにかされた……してきたんですか?」


「突き放しても戻ってくるしつこさで絡んできたな」


 うわ。それはなんとも御愁傷様な。しかも、あまり思い出したくないのか眉間に綺麗な深いしわが寄りました。


 思い出させてごめんなさい。そして今一緒にいてくれて、ありがとうございます。


 口にすればきっと大人は照れるだろうから言わないでおこう。それに5歳児が言うのもおかしいもんね。


 なるべく目立たないようにしなきゃ。新たな決意を胸に拳を握っておく。なんだかわからないレーバレンス様が怪訝な顔で私をみていたけど。


 大きく音を鳴らして開いた扉に二人して意識はそちらに流れていった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ