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魔法の基礎 1

改訂いたしました。27.5.7

「やはり限界みたいだな」


 やっぱりかー。キラキラが5割増しになってて眼にちょっと痛かったからね。そうだとは思ってたんだー。


「それにやはり頭に―――いや、眼に魔力が溜まっているようじゃな。しかし………なぜ塊がそのままなんじゃ?」


 それは知らないよ。あ、もしかして私の眼に映るものが白と黒しかないのはそのせい?そう言えばまだ伝えてないや。


 お爺ちゃんに言われるまですっかり忘れてたよ。白黒が当たり前だったからさ、うっかりだ。


 とりあえず腕輪はもう一度製作しなきゃならないレベルであるそうなので、今日は魔法の授業をする事になった。魔法具はここでは出来ないんだって。


 もちろん、教えるのは隣でウキウキと自身を取り戻したお父様と。


 目の前でちょっと思案顔のお爺ちゃんです。どうも、私の魔力量が気になるらしい。とくになぜ頭の方に溜まるのかが気になってるみたい。


 私だって分からないからなんとも言えないけど、ほら、魔力が光って見えるんだから。眼は頭の一部だから魔力が集中してるんじゃないかな、て考えてるんだけど。


 お爺ちゃんは未だ考えてる。ま、いっか。それよりさっそく取りかかろうよ。はやく魔法を覚えたいです!


「まず、魔法とは大気に漂う魔素と、体内に備わる魔力が共鳴して初めて魔法となる」


 ほうほう。わりと面倒だね。魔素がなかったら出来ないじゃん。


「詠唱は魔素を集めるため。魔法陣は魔力を安定させるため。それぞれが必要な役割を担っている。これはどちらかが欠けても発動しない」


「だからまず、魔法師となる者は魔素の存在と己の魔力を把握せん事には使えんのじゃ」


「あれ?では、お兄様は扱いきれていないのでしょうか?」


「ん?トフトグルがどうしたんだ?」


 あ、やばい。ニアキスの存在を………てすっかり忘れてたけどいないや。なんでかは気になるけど。まあいないのなら都合がいい。


 初っぱなから話の腰を折ってしまった事に謝罪しながら私は朝の事を説明した。


 ここにいる人、お爺ちゃんは初めて知るけどみな幹部の人たちだもんね。魔法に関する情報をポロリと言うはずはない。


 ロノウィスくんはポロリしっちゃいそうだけどねー。あ、ロノウィスくんも見ていないや。今度あったら飛び付いてやろう。


 少し意識が別にトリップ仕掛けたけど、私は説明してどうなのか聞いてみた。


 そうするとなんだろうね。お爺ちゃんの眼がランランと輝きだしちゃった。


「素晴らしいな!どうじゃ?魔法棟に入ったらわしの助手にならんか?」


「ヴィグマン様。娘は私の下で、と決まっております」


「何を言う!感じるより見るものの方が魔学にピッタリじゃし、魔学を教えればわしより的確で人助けが万々歳じゃ!!」


「私の娘ですよっ!なのでヴィグマン様の配属より、私の下の方が様々な魔法を教えられます!」


「まず入って早々配属は決められないので無理な話だから。ちょっと落ち着いて下さい」


 あ、ならば私は入って早々にお父様につれ回される事はないんだ。安心したよ。


 それが顔に出ていたのか、レーバレンス様から無言の頭なでなでが振ってきた。しかも「頑張れよ」と激励まで貰って。目元がなんか憐れんでいるように見えるんですが?


 あれ、安心したのに急に不安が。まさかつれ回される事は確定なのかな………?


「そ、それでお兄さまのことですけど!」


「ん?ああ。間違いなく魔力を扱いきれておらんのぅ。今まではきっと余裕がなく、気づかなかったんじゃろうな。しかも無意識に魔力を放ち、散らせておる。器用な奴じゃのぅ」


「さすが私の娘だ!!教えがいがありそうでお父様は嬉しいぞ!トフトグルには帰ったら教えておこう」


 トフトグルは不器用な部分があるからなー、とぼやいたお父様は花を飛ばす勢いで機嫌がいい。


 お父様はお兄様の時もスキンシップ過多だ。全員に眼に余るスキンシップを絶対に忘れない。もしかして私も一緒について、抑えた方がいいのかな?


 出来る?と言われればどうなのかがわからない。相手はお父様だもん。お兄様が、と言うなら付き添おう。抑え役は必要だもんね。


「話を戻して下さい。ヴィグマン様(それか私を魔法具作りに席を外させてくれ)」


「そうじゃな。………………まず、娘っ子は魔素を感じるところから始めようのぅ」


「どのようにすれば、感じとれますか?」


「まず、リラックスしてごらん。それが鍵だ」


 おや、ここでとかちょっと無理じゃない?リラックスなんて出来る方が凄いよ。


「そうだなー………そう言えばクフィーは魔素は見えないのか?」


「みえていたら、何かつたえてます」


「まあ、まずは落ち着いて集中してみる事じゃな」


 それが難しいから悩んでるんだけどね。


 だが、ここにはなんと味方がいるのですよ!気を効かせてくれたレーバレンス様から鶴の一声が!


「私たちが見ていたら気が散るだろう。一人にさせるか一人だけ傍にいたらどうですか」


「なら、私が残ろう!」


「娘っ子はそれで集中ができるのか?」


 ぶっちゃけて言うと、一人にしてほしいんだけど。さて、どうしたものか。


 魔法の知識は本で読んだとしても、確かなものが私にはない。ならば誰か一人は残っていてほしいのだけど………誰が一番の適任になるか………


 そう聞かれればレーバレンス様と答えたいんだけど。うーん。どうしよう。


 悩んでいるとお父様とお爺ちゃんがまた騒ぎだした。また私をどこに配属させるか揉めてる。これは必然的に決まったね。集中できない。


「レーバレンスさまに、おねがいしたいです」


「む」


「なにぃい!!??クフィー、どうしてレーバレンスなんだ!?」


 お父様、口調が戻ってる。ここにはヴィグマンお爺ちゃんが一緒なんだよ。切り替えはどこにいった。


 言わせてもらうけどお父様が王宮魔法師筆頭と言うのは知っているよ?でもね、身内だからと言うものもあって親馬鹿だし、やりずらい。


 と、言う事をお父様に伝えると面倒な事になるなんて当たり前なので、全部を省いてもし出来なかったら教えてください、とお願いしておいた。それでもまだ渋ってたけど「お父様の格好いい姿は別の機会にみたいです」と言えば手のひら返して了承を得た。


 ふっ。お父様はちょろいね。


 思わずニヤリと笑いそうになったけど、我慢我慢。面倒事は分かりきってるからね。


 ヴィグマンお爺ちゃんは何も言わずに一つ頷いて部屋を後にする。お父様もその後を追った。一時間後に戻ってくるらしい。


 この部屋に残ったのは私とレーバレンス様。いなくなって早々、私はお礼を述べていた。


「ようやく落ちつけます。ありがとうございます」


「あれと一緒にいればだいたい分かる。よく堪えれるな」


 いえ、堪えられませんから。ダリスさんがうまい事交わしてくれているみたいだから今は平気なんです。


 家族愛の暴走は本当に酷いから。なにか喜ばしい事があればすぐに全員で旅行とかプレゼントの話になるんだもん。


 それを止めるダリスさんの手腕が凄すぎてお兄様とたまに労ってる。おかげで、たしなめる私たちの技術があがったんだよ。冗談抜きで。


 私は『可愛い娘』でお兄様は『アーガストの跡継ぎ』と言う自分を最大限に利用すれば、コロリと、ね。


「後がうるさいから早速始める。まず、自分の体内にある魔力を感じとれ」


「まそではないのですか?」


「魔素がどう言うものか知らないだろう?お前の父やヴィグマン様は感覚派に近い」


 ああ。素直に頷けてしまう。そしてそれはなんて納得できる言葉なんだろう。


 そう言えばこの前魔法の話を聞いたとき擬音を交えていたような気がする。あと難しい単語と短い説明の羅列。教えるの、向いてないんじゃない?


 ちょっと遠い眼になりかけたけど、レーバレンス様の言われた通りに体内の魔力を感じる所から始めよう。今は忘れることだってお勉強だよ。切り替って大事。


 なぜか頭の上に手を置かれたけど気にしない、気にしない。別に嫌じゃないからね。不愉快でもないのだよ。


 意識を体内へ………………………血液と別の、なにか。魔法具に吸われる時の感覚は?


 血液と一緒にまた別の、暖かいものを感じる。これが魔力、なのかな?


「早いな」


「分かるんですか?」


「そのまま意識を頭に集中してみろ」


 それはなかなか難しいと思うんだけどね。レーバレンス様、実はスパルタですか?


 言われるままに暖かい何かを頭の方に………なんか頭が熱い。でもそこから伸びるように暖かいものが広がってる。


 そのまま意識を継続させながら眼で追えばそれは当然、レーバレンス様で。暖かいものはそのまま繋がるようにレーバレンス様の感覚を知った。


 暖かいのが、すごくいっぱい、ある。真っ赤な人間みたい。そんな感じ。


「まりょくって暖かいんですね」


「魔力はそもそも魔素だ。それを人が呼吸で取り込み、体内で蓄積させ、魔力とする。一説によると魔素はそれぞれの属性が濃い大気が終結し拡散。を繰り返し溢れだしている、と本に残っているな」


「土をほったら土のぞくせいのまそが、あふれるんですか?」


「出る。深ければ深いほど濃い魔素が出てくるだろう。火山に行けば火の属性を。山に行けば風を。海に行けば水の属性を………ただ魔素を吸収できるのは人間だけではない」


「まもの………げんどはひつよう、と言うことですか」


 そうだよね。魔素でいっぱいになったら魔力を持った魔物なんかも強くなるもんね。


 レーバレンス様が驚いたように無表情を崩しました。すぐに戻ったけど、魔素の乱れはまだある。こんな事もわかるんだ。


 魔力操作が出来れば、触れるだけで大抵の人は流れとか読めるって。これは基本動作らしい。うん。本にも書いてあった。


 感心していたらすぐに体制を立て直してレーバレンス様の次の指示がとぶ。うまく出きるなら次は魔素を感じとれ。だって。


 この部屋は薄いから家で、って言われた。魔力を把握できれば魔素が捉えられなくてもなんとかなるらしい。意外と大雑把じゃない?前のお父様の説明より断然いいけどね!


 まあ部屋の魔素が少ないのは致命的だ。馴れると当たり前のように感じるんだとか言ってるからいっか!


 あとはお父様に教えてもらえって言われた時はついげんなりと顔を崩してしまった。


 花を持たせろって言うけどさ、お父様に花を持たせたら調子に乗るんだもん。放置でいきたいな。


 後々、面倒だぞ、なんて言われたらやるしかないけどさ。


 代わりに次のステップを教えてくれるらしいので許してあげる事にしました!なんて単純なんだろう、私。






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