お久しぶりです
改訂いたしました。27.5.6
到着!!
馬車に乗って揺られる事30分ぐらい?ニアキスと会話と言う会話もせずにたどり着いた。
別に気にしないけど、なんと言うのか居心地だけは悪かったからもう帰りたい。
馬車から降りれば二人の門番兵。片方はきっとお父様の知り合い。確か………
「大きくなったな。覚えてるか?」
「ええと………ウェルター、さん?」
「当たりだ。ずいぶんとしっかりしてるな。いくつになったんだ?」
「この前、5さいになりました」
そうか。となんかすごく懐かしむように頭を撫でてくれて私もホッとする。リボン避けながら撫でるなんて器用ですよね、みなさん。
それで―――門でお父様が来てくれるはずなんだけど、姿が見えない。絶対に待ち構えているイメージしかないから変な感じ。
もう一人は俄然と前方を見ている。人、だよね?微動だにしなくて怖い。
「父を見ませんでした?迎えに来てくれるはずなんですが………」
「その事で、なんだけど。今は手が離せなくなったらしくて来れないんだ」
「なら、出直す事にします。父には―――」
「いや、代わりに人を寄越すってさ。もう暫く待ってくれ」
えー。帰りたいよー。
じゃあ、それまでどこにいればいいのかな?そう考えているとこっちだよ、て。
ウェルターさんか待合室みたいなところに案内してくれた。厚待遇ですなぁ。
迎えにくるまでここで待つように言われる。私は一つ頷いてお礼を返しておいた。いい笑顔で帰っていきましたよ。
で、ニアキス。貴方は私の侍女だよね?なんで座っているの?
主より先に座った彼女は疲れたと言わんばかりにため息を吹いてソファーに座った。姿勢そのものは綺麗だけど、体裁は最悪だ。
視線で訴えるが………見向きもしなかった。ふむ。やっぱりスパイか何かかな。不馴れすぎるよ?
「ニアキス。あなたは本当に、じじょかしら?」
「ええ。そのように配置されました。間違いありません」
ふぅーん。………なんと図々しい侍女なんでしょうね?侍女の返しが配置、なんだ。私は嫌われの余り物かなにかかな?怒るよ?うーん。やっぱりちょっとお父様に聞いておいた方がいいなー。
もしこれが伯爵家の品位に関わるなら是非とも芽は取り払いたい。私はなりふり構わずやる気はもっとうないので。構わないであげよう。
手持ち無沙汰で暇になるけど。仕方ないから私は少し離れたところに本棚を発見したのでそれで暇を潰す事にした。
なんと面白い事に児童向けのちょっと薄い本と、大人向けの分厚すぎる本が並んでいる。
児童向けは私が中身を覚えるぐらい読み込んだものばかりなので、今回は大人向きのものを読むことにした。
騎士の軍事法なんて、面白そうだよね。つい立ったまま読んでしまったのは、はしたないからでは…………ないよ?一緒に座りたくなかっただけであって。
やばいかな。ニアキスへの態度が表に出ていないといいんだけど。
「騎士に興味があるのかしら?」
ぎゃあ!?
あ、危っない!変な声でそうだった!!
「っ―――少しだけ。きしさまのお話は、めったに読めませんから」
まったく、誰ですかっいきなり声をかけるのは!
本を元に戻しながら振り替えれば、長く波打つ髪を頭の頂きに高く結った、優美と言えるくらい素敵な笑顔のお姉様がいた。
金糸だろうと思わせる薄い灰色より、もう少し濃い灰色が混じる髪はきっと水色に違いない。てかそれを希望します!
瞳は暖色系なのか、黒が濃いめに感じるけどその眼は優しく私を見つめ返していた。
よく見たら………なんかお父様と同じローブを来ているね?
襟首に細い紐と濃いチェーンが1、2、3、4………あ。やっぱり10個ある。
ローブの端は葉のようなモチーフ。これは魔法師のお仲間と見ていいかな?しかも、魔法師は魔法師でも、十進魔法師の人、だね。
「あなたさまが父のかわりに、あんないしてくれる方ですか?」
「ええそうよ!アーガスト様をふんじばって私が迎えに来たの!!」
え、ふんじばって?そんな事が出来るなんて羨ましい。
「そうなんですか?あ。もうしおくれました、私はクロムフィーアといいます」
「ええ、ええ!噂は聞き及んでいるわ!私は十進魔法師の五の席を担うマルカリア・ラートよ。魔法師重役の十人の内の一人ね!噂通り可愛いわあ!!」
なぜか直ぐに私を抱き上げて頬擦りされました。なんだろ、お父様と思考が重なる………
これからスキップでもするんじゃないだろうかと言うくらいはしゃいですごい勢いで歩き出すマルカリアさん。
ちょっと、付いていけないんだけど?まあ、お姉さんだし。お父様よりはいいかとそのままにしておいた。
だってどうせ抵抗しても無駄に疲れるだけでしょうから。
代わりにいろいろな事を教えてもらいましたよ!十進魔法師とか。
十進魔法師って、近衛騎士の人と似たような感じて、王に遣える10人の魔法師の事なんだって。それぞれ席で数えるらしい。
その中の一がお父様。五がマルカリアさん。十がお爺ちゃん。実はかなり重役と顔合わせをしている私がいる事に気づきました!
しかも、レーバレンス様も王宮魔術師だし?顔見知りですよ。魔法具作ってもらってるもん。改めてすごいわ!
ちょっとヒヤリとしたけど私を抱き抱えるマルカリアさんを見ているとそんな重っ苦しい態度じゃないからすぐにいいや、て事にした。
なるようになれ。それが私の座右の銘。なんと心もとない響きか。
「ほかの、じゅっしんまほうしの方は、おいそがしいのですか?」
「そうね。今色々と地方に飛んでいるわね。五年くらい前からか、魔物がちょっと多くなったよ」
「そうなんですか」
やだ。私と関わりないよね?こう言うイベントって転生者によくある設定だよっ。
私は平和に魔法で遊んでいたいんだー!
心の中で叫んでみるものの、マルカリアさんには笑顔で「大変よねー」なんて言う。
それでいいの?まあ、戦争とか起きなければそれでいいや。
今思えばこの世界には魔族とかっているのかな?本は見たことないし…………図鑑でも探そうかな?
「はい!ついたよー」
遠慮ないよね、マルカリアさんて。
ある扉の前にすでに着いていた私たちはノックもなしに破壊でもするんじゃないかと言わんばかりに開け放った。
私は少し目を見開くだけで、次の瞬間にはちょっと遠い目を、下に向けるだけに止めておいたよ。
開けた音だけじゃなくて、何か扉に当たった音も聞こえて、蛙を潰したような声も、私には聞こえなかったよ。
下にお父様らしき黒い物体が蹲っていたって、私には判断できないんだ。黒くて丸い物体だな、ってくらいにしか見えないから。
それを跨いでマルカリアさんはソファーに座る。あれは放置らしい。じゃあ私も気にしない事にしておこう。そうだよ、余計な事は、しちゃいけないんだ!
そうだ。やっぱりここは挨拶でこの雰囲気を忘れよう。そうしよう!
「おひさしぶりです、レーバレンスさま、ヴィグマンさま」
「言えるようになっておるな。よし。息災でなによりじゃ」
「相変わらずしっかりしてるな。本当にあいつの娘か?」
お父様の娘ですよ。レーバレンス様はなかなか辛辣だよね。
軽く挨拶を交わして今日は私の魔法具の調整と、魔法の扱いや知識を教わるのだ。
魔法具はレーバレンス様。魔法に関してはお父様とお爺ちゃんが教えてくれる事になっている。ようやくファンタジーを堪能できる!!顔がニヤけそう~!!
お父様はまだ復活しないので、さっそくレーバレンス様に魔法具を見てもらおう、て話になったんだけど………マルカリアさん?私はいつまで貴方にホールドされていなきゃいけないんですかね?
レーバレンス様もそれを思っているのか、無表情の眼でしきりにマルカリアさんに訴えていた。
彼女は微笑むと気にするなの一言で終わらせる。あ、レーバレンス様がすごい長くて深いため息はいた。
「ラート殿。退出を願う」
「え、嫌よ。こんな可愛い子をここに置いていけないじゃない!むさ苦しい!」
え、なんか本音が聞こえた気がする。
「後でクフィーと」
「言質は取ったわ!絶対よっ!!」
なんとも簡単に釣れましたね。しかもスチャ。と私をソファーに下ろして何事もなく出ていかれました。小さな嵐は過ぎ去ったようです。
はたして、あれは言質を取ったと言ってもいいのかわからないけど………まあ、使えないだろうね。
そして大きい嵐が起き上がってくる。私はレーバレンス様を見て一つ、頷く。
「しずかなお父さまは、すてきですよね」
「そうだろう。お父様はそんな騒がないもんな」
相当、騒ぎまくってると思うんだけどね。それを言ったらうるさくなるから笑って隣に座ってもらった。
これでまだ静かに作業ができるはず。お爺ちゃんが頭を抱えている種はきっとお父様だろうなぁ。お父様の威厳ってどこにあるんだろう。
「じゃあ、見せて」
「おねがいします」
嵌まっている腕を差し出して見てもらう。取り外しはいまいちわからないのだ。この前はスポーンと取れたけど。なぜか私には外せないしよう。どうした腕輪。
レーバレンス様が私に触れれば隣から変な呻き声が聞こえる。もう、すでに疲れてきているのは気のせいかな。
隣は気にしないように、目の前の腕輪に意識を集中させる事にした。




