お庭騒動
改訂いたしました。27.5.6
そしてざっと半年が経ちました!多分4歳!回りがなにも言ってくれないので勝手にそう思うしかないのです。
まあ、私はすくすく育っているのでいいじゃないか。しかしながら今とっても一大事だけどね!
今日はニアキスをまあ、携えてお庭に来たよ!花壇にコスモス?みたいな花びらが細めでいくつも付いてて広がってる花がある!
一応、近くで鑑賞するだけど、やっぱりコスモスに見える。しかしここはかの異世界。果たしてこれが何を言うのかわからない。もう夏?に近づいているんだけどね。なんで今に咲いてるんだろ。まあ種類によって夏に咲くものもあるけど―――ここは気にしない方向で投げ飛ばすけどさ。
いやー、異世界でも暑いけど屋敷の中が快適すぎてちょっと複雑だよ。エアコンでもあんなに適温になんない。異世界万歳。
じゃなくて!大変なのです!!
何が大変かって庭師のボテガイラが植木の密林に頭突っ込んでお尻出してる―――じゃなくて、私の抑制魔法具がどっかいったんだよ!!
事は30分ぐらい?に遡ります。回想にする必要はないけど、ここはあえて………
「きょうはっ、おにわで、えほん!」
「かしこまりました」
庭にある丸テーブルに私は嬉々として座り込む。白色?パラソルの下で。大抵の午前はお勉強だけど今日は読書でも、とニアキスがなぜか進めてきたので読むことになった。
絵本って言っても、この前レーバレンス様が置いていってくれた『こどもでもわかる魔法』だよ。忘れてたんじゃない、読む機会がなかったんだよ。でも残念な事に絵がとっても分かんないの。
表紙は全然っ!子ども向けじゃなくてね、濃いめの黒。きっとよく見る紫のような茶色のあの色だよ。それで中を開けたらあら不思議。右に挿し絵と左に大きめの文字が。
絵本だからまあ、それもありか?と思ったけど絵がいただけない。人の顔が丸くて黒く塗りつぶされてるんです。
これは私がモノクロで見えないから、って言う意味じゃない。思わず目をこすって二度見したけど違う。これは滲んでいるんだ、と。
まさかの不良品かと思ってたら、覗きこんでいたニアキスも顔の表情を変えないまま「黒いですね」て言うくらい、滲んでる。
この異世界には色のペンがないのか、だいたい見るものが黒て同じ色。本当に、真っ黒。うん。インクはやっぱり黒なんだよ。
最初の1ページならいいじゃないかとか絵だけ見ようと次のページをめくる。またしてもあら不思議。なんの形をしているのかさっぱり分からないイラストが。
じゃ、次を………てな感じで捲っていくけどやっぱり人なのか動物なのか植物なのか。とにかく、何を表現しているイラストなのかがわからなかった。
因みに書いてある言葉も分からない。文中になぜか『神様』とか書いてあったんだけどさ、『こどもでもわかる魔法』になぜ神様必要か。てかものすごく手書き感たっぷりあるんですがっ。
まさかのレーバレンス様うっかり事件!?誰が書いたのか深く追及しない方がいいのかな!?今度きた手紙の内容にそれとなく書いてみよう!さっぱりわかんなかったしっ。
しかも、読む気もなぜかなくなっていくと言う絵本でございましたから。これは、まずい。逆にすごい。
よし―――気を取り直してまずはお庭を散歩するのもいいじゃないか。なんて。気分転換に歩き出したのがいけなかった。
庭師のボテガイラを発見したので、挨拶しようと声をかけたのだ。挨拶は基本でしょう?伯爵の娘だからって、お父様の家臣にもちゃんと挨拶はする。私はそう言う人間です。
「おはよー、ぼてがいあ!」
「あひっ、じょっ、おじょっ!!お嬢様!!あ、こら待て!!」
ごめん名前間違えた。って言う前に焦って手をわたわたし始めるボテガイラ。ボテガイ、ラ!ね。私もずいぶん発音出来るようになったよねー。間違えたけど。
ボテガイラはアーガスト家に仕える庭師。シャツとベストをシンプルに着こなす服装だけど………いつもなぜかヨレヨレ姿で見かけ、頭に絶対なにかつけてる人。きっと庭いじりしてるからなにか付いちゃうんだよね?仕事熱心でなによりです。
さらに彼のすごいところはすんごい癖っ毛で、寝起爆発をさせてるくらいの癖っ毛!くるんくるんだよ!!私から見た髪の色はうっっっすい!グレー。白にほんのちょっと黒混ぜた感じ。きっとミルクホワイトに違いない。いや、そうであってほしい!!
眼は濃いからオレンジでお願いします!!!!たれ目で完全癒しオーラ全快ならいけるよ!!本当に色付きで見れないのが残念だっ!!
頭の中で想像を膨らませながら呑気に笑って近づく。にへら。とか考えてたら何かが私に突進っ。わけが分からず尻餅をつく。私の鍛えていない腹筋が痛いっ。
いったい何がなんだかわからなくてお尻とお腹を擦って(もうどっち擦ればいいの!?)いたらちょっと野太い声で「な~ん」とかが聞こえる。なにそれ、って思わず声がする方に目を向ければ………なんとまあ。
とってもおデブちゃんなネコ発見です。体がちょっと汚れていてなんとなく白の顔の左目を覆うようにそこだけ黒い………おデブちゃんです。たぶん私だと持ち上げられない。それぐらい丸い。サイズも5000グラム級の赤ちゃん顔負けだよっ。
体当たりで負けたんだもん。きっと持ち上げたら私の方が持っていかれるに違いない。乗れる、かな。
ビックリして声もでなくて呆然と見つめていればニアキスから短い一言。
「あ」
本当にたった一言。いや、一文字。それだけ言って今度は私を呼ぶ。まだ状況が理解できなくて、ネコを尻目にニアキスを見たら指差してる。先はネコ。なんですか?
ただそれだけで私には分からないよっ。けど、ニアキスがなにか言いたいらしい。多分、彼女も私と同じで状況がうまくつかめてないんだと思う。まず助け起こしてよ。
まったく………とか考えながらネコに負けたと内心はしょぼくれ、でももう一度ぐらいネコを見ようと顔を戻せば
「ああー!!お前、なに咥えてんだ!?」
おおっ。ビックリするじゃん!思わずボテガイラの方を振り向いたら彼も指差してた。ネコになにかあるらしい。なぜか彼のわたわたしてる姿をみたら落ち着いてくる自分。なんだろう。
とりあえずネコを観察しよ。ネコ、可愛いよね、おデブちゃんだけど。おデブちゃんてなんか睨んでるようなふてぶてしさがあるから、いるだけで存在感がすごいよね!
まるで鏡餅とはよく言ったもんだよ。なんか輪っかぶら下げてさ~。これじゃあ招き猫っぶふ!やばい笑いだしそう。
「あれ?」
ネコに輪っかなんかぶら下げますかね?新手の異世界変成?いや、輪っかで異常とかおかしいし、首輪のアクセサリー?おデブちゃんに首輪を着けたら絞まっちゃうか。
「て、なに呑気に見つめてるんですか。あれはお嬢様の身に付けていた腕輪ですよ」
「ん?うでわ…………あ」
ない。抑制魔法具の腕輪が、ない!?
慌ててネコのおデブちゃんを見ればそこに輪っか。そうか、あれは私が身に付けていた腕輪なのか!?ネコの変成だと思ってた!だって異世界だし!
うっそー!てさすがに叫ばなかったけど驚いて声をあげたらダダダッとおデブちゃんは軽快に走って植木の密林に入って行った。
それを追いかけたボテガイラが一緒になって突っ込むものだから―――…
今にいたる、と。………………………………どうしよう。
おデブちゃんのわりにあの無駄のない動きはまさにネコ。いや見た目もネコだけど。よくあの植木の間を通れたな、と。心底思う。
ボテガイラが犠牲になって突っ込んだままだけど。抜け出せないのか、動くけど非常にゆっくり体を動かしてる。どうやら枝を折らないように慎重になってるみたい。
しかし困った。まさか私があの中に入るわけにはいかない。一応、お嬢様だし。虫がいっぱいいそうだし?樹海って怖いし?子どもは無邪気に駆け回るもんだし?いえいえ。私は伯爵令嬢なのであんな狭いところに入りたくはありません。
「お嬢様があの中に入ったらいかがですか」
ふざけてる?この前ちょっと指を挟んだだけでお父様の心配っぷりがすごかったんだからっ!!魔法で治療しようとして私の視界全体をキラッキラに使ったんだよ!?あの時の治療の加減が明らかにおかしい事ぐらい私でもわかるよ!
指を挟んだだけで血も突き指もなんともないのにあんな威力の魔法を使わせちゃったんだよ!?あの小さい密林の中に入ったら絶対に擦り傷を作る。私にはわかる。うっかりで傷ができあがってる事をっ!
「むし、いっぱいに、でそうだから、や!」
「確かにたくさんいそうですね。なら諦めますか」
本当にニアキスって疑問で訪ねないよね?それとも私が聞き違えてるのかな?
しかし、どうしたもんかなー。ここ最近はそんなに悲しいとか淋しい感じがないから大丈夫と言えば大丈夫なんだけど………
貰い物って考えると割りきれないんだよねー。うーん。ボテガイラ、そろそろ出てきたら?
未だに頭だけ突っ込みっぱなしってどうなの?実は中でおデブちゃんと対話してる?ボテガイラにそんな機能が付いていたなんて………じゃなくて、本当にそろそろ出てきてよ。さすがにお尻と会話をし続けたくないよ?
「ぼてがいあ、どーしたの?」
「あ、ちょっと待ってください」
ええ、待ちます。待ちますから出てきて。でもやっぱりゆっくり動く動く。とってもじれったいです。
しばらくお尻………は、さすがにあれだったから庭の花を見てたけどね。今度あの『植物大図鑑』を、いや。ボテガイラに聞けばいいじゃん。後で教えてもらおう。
………まだ?この花の名前を教えてよ。コスモスだと思うんだけど名前は違うんでしょう?
「まーだ?」
「あ、ちょっと時間かかりそうです。髪が引っ掛かって枝が折れそうで抜くに抜けないんです」
結局お尻と会話か………
「だいじょーぶ?」
「あ、心配してくれてありがとうございます。あ、腕輪はなんとか見つけますので、クロムフィーアお嬢様は好きな事をして下さってかまいませんよ?」
あ、て癖?癖は髪の毛だけじゃないんだね。
ちょっと下らない事を考えて遠慮なく私は絵本を読む事にした。いやー、放って置けないからね?ちょっと遠目で見守るんだよ。
でもニアキスは絵本を読ませてくれない鬼畜所業。かわりに庭で日光浴に早変わりとはなんたる事かっ。
それでも遊ぶ私は大概にも大いにはしゃいでた!私の笑い声が庭に響き渡っていたのでしょう。後でジェルエさんに「楽しそうでしたね」て言われた。
子どもだし?楽しくなきゃ駄目なんだよ!
そしてすっかり腕輪とボテガイラの事を忘れていた私は夕食時にわざわざ届けてくれたボテガイラに目を丸くするのであった。
頭にはいっぱい、葉っぱがついておりましたとも。大変さが目に見える。本当にごめんっ。
忘れててごめんね?ありがとう!にへら。




